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LIVE REVIEW

ARIEL PINK'S HAUNTED GRAFFITI "contrarede presents ARIEL PINK’S HAUNTED GRAFFITI"

2011.1.25 (tue) @ Shibuya O-NEST, Tokyo

メリハリもなくダラダラとメンバーがステージに現れる。その時から誰もが思っていたことを中盤になって客席から叫んだ人がいる。「Come On! David Lee Roth!」。前日の"4AD evening"ではラメのシャツでギンギンに着飾っていたARIEL PINK(エアリアル・ピンク)が、この日は真っ赤なタンクトップにデカサンで現れた。どこから見てもVan Halenである。そう言われた彼はハハっと短く吹き出し、小さく「Diamond Dave...」と呟いた。David Lee Rothの愛称であり、RED WARRIORSのダイアモンド・ユカイはそのモジりだったはずである。

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意外と長く行われたサウンドチェックに続いて、ラジオをそのまま録音したようなSEが流れはじめる。ディスク・ジョッキーの声を追って「California Dreaming」が流れるとノリノリで首だけを素早く振るようにしてノりはじめたARIEL PINKは、さらにTHE MONKEES「I'm a Believer」がかかると、衝動のかたまりと化したように動きを強める。彼のポップ・センスが何に由来するのか氷解したような瞬間だった(David Lee Rothがカヴァーした「California Girls」はかからなかった)。そこから彼らのライヴはすでにはじまっていたようなもので、2曲目の出だしで演奏をストップし、「キーボードを高くして!」とPAに注文をつけた以外は実に滑らかに曲を消化していく。

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昨年の話題作となった『Before Today』から曲順通りに「Bright Lit Blue Skies」、「L'estat (acc. to the widow's maid)」と続いた頃には完全に自分たちの世界に客席を連れ去った。早い。見事だし、キラキラと舞うようなキーボードが全面的に組み込まれたサウンドはTHE ANIMALSもかくやという印象である。そして、どこが「ホーンテッド」なんだよ……と、めくるめくポップなステージに呑みこまれまいとして抵抗してしていると(なんで?)、サイケデリックなムードは少しずつゴシック色を強め、結論からいうと、この日のステージは(アンコールも含めて)「光→闇→光→闇→光」という構成で展開された。それこそディズニーランドのアトラクションのようだった(そう、闇から光に移る時にARIEL PINKが「In to the light...」と呟くところはそのままアトラクションの誘導係りのようだった)。もしかすると「ホーンテッド」という名称には自分たちでも違和感が生じはじめているのかもしれない。よくわからないけれど、この日のステージは光と闇を存分に操りながら、ソフトなサイケデリック・ワールドを自分たちでも楽しんでいたに違いない(実際、打ち上げも終わった頃にメンバーが2人、近所のおでん屋ロクに現れ、前日よりもぜんぜんよかったと自己評価を下していたという)。

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実は2~3年前にLAツアーを行ってきた中原昌也が帰ってくるなり「ARIEL PINKはもうダメになっていた」といっていたので、そうかと思っていた時期もあった。それが09年に彼がShits And Giggles(シッツ・アンド・ギグルズ)の名義でテキサス・サイケデリックのバンドを新たにスタートさせ、『Trick Or Treat』と題されたデビュー・アルバムを聴いた時点で、次は持ち直すんじゃないかと踏んでいたのである。それどころか、翌年に入ってすぐにリリースされた(ARIEL PINK'S)HAUNTED GRAFFITI名義の『Before Today』はかつてなく好評を得、あっという間に次世代スターの座についてしまった。持ち直すなどという次元のものではなかった。O-NESTに集まったオーデェンスの熱気も、はじめから期待感に満ち満ちていたものといえ、それがライヴの可能性を一気に押し上げていたことは確かだろう。アンコール前にはひとりの観客とARIEL PINKによるコントのような掛け合いもあり(何があったかは当日の皆さんの記憶オンリーということで)、何よりも印象的だったのは終わってから某ディストリビューター(女性)が「恋してしまったー」と目を輝かせていたことだった(オジャパの口紅がいつもより濃かったことも)。

Text : Itaru W. Mita
Photo : Tadamasa Iguchi
※写真はすべて1月24日におこなわれた"4AD evening"のもの。




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House Arresticon
ARIEL PINK'S HAUNTED GRAFFITI



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