2011 1.21 (fri) @ Shinkiba STUDIO COAST,Tokyo
2010年の秋、HAWAIIAN6のサイトでベーシストTORUが翌年1月をもって脱退ことが発表された。
結成から約14年目となるHAWAIIAN6は、国内メロディック・パンク・シーンの黎明期をリアルに体現し、その空気を牽引しながらも独自に破壊と構築を繰り返し常に前進を続けてきた。過去にシーンを賑わせたバンドよりも更に深く熱いエモーショナルの美学を掲げ、次世代のファンと音楽的価値観を共有してきた貴重な3ピース・バンドだ。メンバーの脱退は、誰もが耳を疑うまさかの内容だった。
2011年に入り、バンドにとってこの年最初のライヴとなる"HAWAIIAN6 presents HAWAIIAN6"は大阪と名古屋を巡回。そして最終日となる東京は、過去4回開催された"HAWAIIAN6 & FUCK YOU HEROES"でもお馴染みの新木場STUDIO COASTで開催された。開演30分前、フロアもラウンジ人、人、人。HAWAIIAN6のファンは、10年以上に渡って一緒に歩んできた子供連れもいれば、時代ごとに新しい世代が入れ替わるという循環率の高さも特徴だ。年齢は違えども3人の音楽にヤラれた、という事実に変わりはない。
そして迎えた特別な夜。ファンにはお馴染みの「ダンシング・クイーン」が流れ、3人がステージに登場。「この日がやってきたぜ!!」とドラムのHATANOが開口一番に叫び、オープニング・ソング「Song of Hate」が響き渡る。圧迫された緊張感が一気に弾け「Blackout」、「Church」、「Brand New Dawn」と一気にライヴが動き出した。この後、HATANOのMCに開場が耳を傾ける。「今日はいつも通りに臨むつもりだったけど、やっぱり昨日は眠れなかった(笑)。で、最後のミーティングで、もう一度TORUの意志を確認した。でも、本人の想いは変わらないということだった。じゃあ、本人のやりたいことを皆で尊重して応援しようぜって拍手して送り出したんだよ」。会場からも拍手が起こる。TORUも口を開く。「HAWAIIAN6は今後も続くけど、俺にとっては残りわずかな時間。噛み締めていきたいわけで……。ありがとう!!」。その想いを乗せたかのように「The Lightning」がはじまる。そして、終わらない青春=「Eternal wish,Twinkle stars」やKen Yokoyamaから授けられた「Tiny Soul」などが次々に疾走。後ろを向かず前進し続ける、まさに彼ららしい楽曲が連なっていく。
前日にソロ・プロジェクト開始のアナウンスもされたYUTAも、3人でのラストステージに気持ちを込める。最後は「Magic」、「Rainbow,Rainbow」、「Ever Green」と初期名曲が連鎖し巨大なモッシュピットが生まれ熱気は最高潮に。お涙頂戴は無しにしようというライヴだったが、TORUのステージングを見る度に堪えられないファンも多数。しかし、まだ終わらない。TORUコールの中、アンコールで再び登壇した3人。TORUからのリクエストもあって、久しぶりに披露された「The Pride」に続き「A Love Song」、「Fantasy」の3曲を披露。そして正真正銘のラストとなる2度目のアンコールで、花道という意味も込められた“FLOWER”が演奏されライヴは幕を閉じた。最後に客席にダイブしたTORUは、両手の拳を強く握りしめた。
終演と共に、ステージ上のベースがスポットライトに照らされる。3人でのラストを象徴するこのシーンは、この日会場を訪れたファンの目に焼きつけられたはずだ。同時に、スタジオコースト入口の看板の文字が"SEE YOU SOON FROM HAWAIIAN6"に変えられていた。新たなベーシストが決まるまで活動未定のHAWAIIAN6だが、彼らはすでに次のステージに向けて歩き出している。
Text : G.N.PRINCE
Photo : Rui Hashimoto (SOUND SHOOTER)