2012.1.29 (sun) @ Shibuya CLUB QUATTRO, Tokyo
TOTALFAT企画の恒例イヴェント"PUNISHER'S NIGHT 2012"は、09年から毎年1月の最終日曜日に開催され、今年で4回目を迎えた。“Punish”とは、手荒に扱う、酷使する、強打するなどの意だが、今日のTOTALFATは徹底的に観客を懲らしめ抜いた。もちろんいい意味で、グーの根も出ないくらいに。血祭りならぬ、歓喜の汗祭りである。
開演10分前に会場内に入ると、偶然レーベル担当の方に遭遇し、「チケットはすぐソールド・アウトしたんですよ」と聞き、当然だろうなと思った。今の圧倒的なバンドの勢いに加え、この対バンならば足踏みする余地はない。「STOMPIN' BIRDだぜ、かかって来いよー!」と威勢のいい声と共に、ド頭から野性味溢れるパンクでガツガツ攻め立てる。最後の曲でYASU(Bass / Vocal)はダイヴをかまし、そのまま過密なフロアで観客ともみくちゃになりながら演奏する様は実に熱かった。「(渋谷)QUATTRO、遊びましょう」といつもの挨拶で幕を開けたMONGOL800は序盤から「あなたに」、「小さな恋のうた」と惜しげもなく名曲を披露し、後半は新曲「Love Song」(「大!天才てれびくん」エンディング曲)、「Rise and Shine」(特撮ドラマ「ハルサー・エイカー」主題歌、サトシ(Drum / Vocal)の高音ヴォイスが映える!)の2連発でさらに場を沸かせた。
ここ最近のTOTALFATは初の日本語詞を表題曲に用いたシングル「Place to Try」、「Good Bye, Good Luck」の2タイトルをリリースし、より“伝えること”に命題を据えている。その意味でもこの2バンドを迎え入れ、いい刺激を得たいと欲する前のめりな姿勢が窺えた。彼らのライヴはまさに今のモードを象徴する攻撃的なパフォーマンスで、冒頭曲「Livin' for The Future」から一気に加速度を上げていく。井上ジョーとのコラボ曲「World of Glory」では天上知らずのアッパー感で、会場を大合唱の嵐に巻き込んだ。そこにさらなるトドメを刺すべく、先述した日本語曲「Place to Try」のサビ部分「君はひとりじゃない」を観客は大声で歌い上げ、早くもクライマックス的な活況を呈す。
歌でひとつになる。音楽でひとつになる。そのバンド側の思惑がしっかり聴き手に届き、観客と太い絆を作り上げている様は壮観で、彼らのファン・ベースの固さに唸らされた。それから急転直下、Kuboty(Guitar)のメタリックなギター・ワークが火を吹くスピーディーな「Attack Or Die」に突入すると、身体を刺激するダイナミックな演奏力でフロアを完全掌握した。後半も踊れる佳曲「Summer Frequence」など、ヴァラエティ豊かな持ち曲でタテにヨコに揺さぶり、本編最後はスケール感のある爽快なメロディにシビれる「Overdrive」で締め括った。そして、アンコールの1発目は日本語曲・第2弾の最新シングル「Good Bye, Good Luck」をプレイし、ミュージック・ヴィデオ同様にメンバー全員が学ラン姿で現れ、卒業をテーマにした甘酸っぱい曲調も好意的に受け入れられ、ラスト曲「Good Fight & Promise You」で鮮やかにゴールテープを切った。
TOTALFATはメロコアに深く軸足を置きながらも、持ち前の明るいキャラクター性も手伝い、エンタメ精神に長けた極彩色のパンク・ショウを見せつけた。時折、おバカなアプローチで観客の心を解きほぐす反面、めちゃくちゃ熱いMCでリスナーの心をガッツリ掴む。自分たちのライヴに何かを求めて来てくれた人に対し、絶対に後悔させず、むしろ元気500倍にして返してやる! といった剥き出しのエネルギーに胸が熱くなってしまった。そこが彼ら最大の魅力であり、心から信頼できる点なのだ。2012年、ますます何かやらかしてくれそうな予感大と言っておく。
Text : Ryosuke Arakane
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