2011. 2.19 (sat) @ Shinkiba STUDIO COAST, Tokyo
3ピースの可能性を探る、どころか、「これホントに3人なの?」と、常にオーディエンスを驚愕させ続ける"業"の如き生命体、それがavengers in sci-fiかもしれない……、3rdニュー・アルバムに"dynamo"="駆動機関"と題した、新たなスペースシップが大バコ、新木場STUDIO COASTをどこまで浮上させるか? が待ち遠しい。と、ほぼ定刻に客電が落ち、開演のブザー。ステージ上のスクリーンにはドキュメント・タッチの映像にメンバー名が投影され、オーディエンスの歓声と喝采の中、メンバーが登場。
のっけから光・光・ストロボ・ストロボ! の嵐が直撃する中、ニュー・アルバムのオープニング・チューン「Wonderpower」を投下。Vocal&Guitarの木幡は歌い、弾き、エフェクターをマメに踏み分け、シンセもいじりながら、それでも身をもてあますかのようにステージ上を動き、踊る。なにか"完成間際のプリンス"みたいな気ぜわしさだ。もちろん、3人とも担当演奏量は半端ない。地響きを巻き起こす長谷川のドラムロール、しきりに観客を煽るベースの稲見。約3ヶ月に渡るロング・ツアーのファイナルとあって、細部に渡るケアと、振り切れそうなバンドのダイナミズムという、一歩間違えると瓦解しかねないバランスが見事に機能している。
ふたつ目のブロックの冒頭では、シングル「Delight Slight Lightspeed」を演奏し、さらに会場ごと加速し、アヴェンズ・アンセムともいうべき「Sci-Fi Age Riot」で、プリミティヴな快感をたたき出していく。中盤には、絶妙のリズム・チェンジやブレイクで物語性を感じさせる「Heartbeat Satellite (S.O.S From Sci-Fi Planet.A)」と「Space Diamond (S.O.S frpm Sci-Fi Planet.B)」で、広大な意識の旅を表現してゆく。ダンスオリエンテッドなナンバーを主体としたメニューの中で、フィジカルのみならず、脳も刺激する場面だった。
さらに終盤には、盟友the chef cooks meのメンバーが登場し、パーカッションを打ち鳴らす。『dynamo』収録曲の中でも、最も民族的なテイストを持った「Before The Stardust Fades」をライヴで具現化してくれたワケだが、the chef cooks meの3人のブチ切れたパフォーマンスのおかげで、シリアスになりすぎることなく楽しめた。ダンス・オリエンテッドなビートやヒップホップ的な言葉の自由度、そしてトライバルな空間的な広さ……、を堪能させてくれたあと、本編ラストはライティングもダークに、グッと静かに底から押し上げるような「Space Station Styx」で、神聖ささせ漂わせて、いったん幕。アルバムのラスト・ナンバーでもあるこの曲のエンディングは、お祭り騒ぎのファイナルをいい意味で突き放すような温度を放ち、アヴェンズのどこかドライな視点に、むしろ好感を持った展開だった。
アンコールでも『dynamo』の物語性は保たれ、オープニング同様、ステージ上にはエンドロールが流れ、そのBGMはツアー中にも関わらず、制作され会場限定で発売された「El Planeta / Death」が流された。もっと大仰でベタな展開もアリか? と思える楽曲世界なのだが、そこをサラリと走り抜けるような、ノンギミックで届けるのがアヴェンズのアヴェンズたる所以か。感動というより、痛快にやられた感! スペースシップは浮遊というより暴走していた。
Text : Yuka Ishizumi
Photo : Ryo Nakajima (SyncThings)
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