2008.2.8 (fri) @ Shimokitazawa Shelter
w / Qomolangma Tomato
ロックン・ロールに反旗を翻す少女たち
ロック・ファンの間では最もリリースが待たれていただろうバンド、MASS OF THE FERMENTING DREGS(以下、マスドレ)。1月16日にその1stアルバムがリリースされ、レコ発ライヴが開催された。対バンは、こちらもますます注目度が上がっているQomolangma Tomato。今一番観たい2バンドが出演するというだけあって、この日のチケットは完売、シェルターには息苦しいほどの観客が詰め掛けていた。
まずは、Qomolangma Tomatoがステージに上がる。よりタイトに、且つ、より激しさを増した演奏、自問自答を繰り返しながらも外へと向かっていく言葉を発する、石井の歌詞とヴォーカル。ここ1~2年、関西ゼロ世代というくくりで紹介されることの多かった彼らだけれど、今はそんなフィールドをあっさりと乗り越え、ハードコア、ヒップホップ、パンクといった、影響を受けた音楽性を色濃く反映しながらも、ノビノビと自分たちの道を歩んでいるのが感じられる。
間に挟んだMCでは、ライヴでの共演などを通して交流を深めてきたマスドレのリリースに対して、「どんどん汚れていく世の中で、マスドレの音楽に出会えて幸せです」と、最大の賛辞を述べ、そこから一気にライヴの熱が増した。
その後、4月にリリースが決定している2ndアルバム『Limelight Blue on the Q.T.』の収録曲「静寂と壁と闇」から後半にかけて、息もつけないほどの緊張感と高揚感に溢れたパフォーマンスが続く。ラストは、定番曲の「商店街」。大袈裟でなく、本当にビリビリするような感覚が彼らの音楽、動きから伝わってくる内容だった。
続くマスドレの登場に、観客から大きな歓声が起こる。普段は何気なくスタートする彼女たちのライヴだけれど、この日ばかりは派手めのスタート。そして、「I F A SURFER」の最初の音が鳴った瞬間、会場の景色が一気に変化する。太いベースの音と攻撃的なギター、そして、どこかあどけなさを感じる宮本奈津子のヴォーカル。このコントラストの強さがマスドレの最大の特長だと、改めて思う。
サポート・ドラム、吉野功(WORD)のお囃子のようなドラムが印象的な新曲を挟み、歌モノ「delusionalism」と「skabetty」。宮本と石本の伸びやかに響く歌声は、ある種空間的でもあって、一瞬、シェルターにいることを忘れ、どこか違う場所に来てしまったような感覚を覚えた。
この日のマスドレの最大の見どころは、長尺のインスト「エンドロール」。インストだからこそ、より彼女たちのメロディセンスが際立っていた。ラスト「ベアーズ」では、頭を激しく振りながら、笑顔で演奏する2人の姿が本当にかっこよくもあり、かわいくもあり。本当に不思議な魅力を持ったバンドだ。
Text : Ayumi Tsuchizawa
Photo : Shigeo "JONES" Kikuchi
QOMOLANGMA TOMATO Set List
01. Vote creative sounds
02. 無垢ではない
03. 蒸発のイメージ
04. 追い詰められて
05. 静寂と壁と闇
06. FIVE SENSES-FIVE MINUTES
07. Through Your Reality
08. 商店街
MASS OF THE FERMENTING DREGS Set List
01. I F A SURFER
02. 新曲
03. RAT
04. 新曲
05. delusionalism
06. skabetty
07. エンドロール
08. ハイライト
09. ベアーズ