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LIVE REVIEW

te’ present’s
“かりに、情熱に基く音楽だけが道徳的であるのならば、同様に、情熱の続く音楽だけが道徳的であると言える。しかし、道徳的な音楽だけが革新的であるとは限らず、曰く

2008.2.16 (sat) @ LIQUIDROOM ebisu
ACTs : VOLA & THE ORIENTAL MACHINE / OCEANLANE / ART-SCHOOL / te’

インスト・バンドとして存在するワケ

残響レコードを代表するte’が初めて企画したこのイベント。長い長いタイトルはいかにも堅苦しい印象だが、ゲストに呼ばれたのは日本の良質なギター・ロック・シーンを代表するバンドばかりだし、満員の観客も若くて元気な女子率高し。和気あいあいとした熱気の中でライヴはスタートした。


トップ・バッターはアヒトイナザワ率いるVOLA & THE ORIENTAL MACHINE。ギターもベースもリズム楽器となって構築される緻密なビートに乗せられて、心臓の鼓動までどんどん高まっていく。

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嬉しい時のドキドキというよりは、テンパる時のハラハラに近い感覚だ。しかし、キメるところは思いきりポップなサビが投下され、曲によってはユーモアたっぷりの振り付けも披露。ベテランならではの余裕と技術、なおかつ円熟に走ることのない尖りっぷり。

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アヒトが舞台中央でパーカッションを連打し、バンド全体がノンストップのビートに飲まれていったラストが最高だった。


続いては3月にニュー・シングルの発売を控えたOCEANLANE。その新曲もさっそく披露してくれたが、初期の壊れそうな透明感と、現在の熱いロックっぽさがうまく混ざり合った会心の作である。

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まだ恋を知らない少年のようにイノセントな印象を与えるハジメ&ケイの歌声は大きな魅力だが、その彼らを盛り立て、なんなら追い抜いてやると言わんばかりの存在感を、2人のリズム隊が発揮しているのが興味深い。

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2人組だけど、ライヴはやはりこの4人。そんな頼もしい“バンド感”はますます強まっているようだ。


3番手のART-SCHOOLは安定した人気と実力を堂々と見せつける。“君と僕”の歌を延々と、ときに生々しいほど激しく吐露する木下だが、バンドの音に乗って響くそれは不思議と透明な輝きを帯びる。

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観客のことなど何も見ていないような盲目的な恋の歌が、観客を温かく包み込む光の粒のように感じられるのだ。

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優しいMCなどひと言もなく、「あのー、ちょっとだけ、温めて帰ろうと思います」などと居心地悪そうに呟く彼らだが、ステージを去った後にとても温かく豊潤な空気が残っていたのは気のせいじゃないだろう。


そしていよいよ登場したte’の4人。音を出すその瞬間から、弦楽器の3人は頭を振り乱して激しく暴れ、ギターのネックを客席に向けて煽りまくる(ギターウルフでいうところの「マシンガンギター」だ)。

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そしてまた、ぶっ放される音圧のデカいことデカいこと! 要するに彼ら、やっているのは完全無欠のロックなのだ。歌のないインストという手法、そして意味ありげで難解な言葉が並ぶ曲名やイベント名だけを見ればいかにも知性派なポストロック集団のようだけど、出す音は100パーセントのロック。アートがどうのと理屈をこねるのが馬鹿馬鹿しいくらいの熱さと暴力性を持った、ハード&ヘヴィな音のカタマリがここで爆発している。

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「3バンド見たけど、やっぱ歌っていいねぇ〜。……いきなり自分たちのこと全否定だ(笑)」などと話すmasaのMCもしかり。ポストロックという言葉が孕む、IQ低い方お断りです的なイメージを木っ端微塵にして、結局は熱いモンが必要だろう? 同じ汗かいてデカい音鳴らしてナンボだろう? と迫ってくるのだ。だからこそ、客席にインテリぶった奴など皆無。お馴染みのアンコールではメンバーの拳に煽られてオイオイ・コールまで飛び出していたが、インスト・バンドとしては明らかに異質なこの光景も、te’の前ではごく普通。結果的に4バンドの中で最も熱い一体感をもたらしてくれたのが彼らだった。

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もし、あなたがte’の存在に興味があって、まだライヴ未体験のリスナーだとすれば、一日も早く現場に駆けつけたほうがいい。目からウロコ、全身から汗、落ちまくるはずだから。

Text : Eriko Ishii
Photo : Ryo Nakajima (SyncThings)

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