YOUR SONG IS GOOD × RIDDIM SAUNTER
Guest : THE DEATH SET (from USA)
2009.2.15 (Sun) @ Shibuya CLUB QUATTRO, Tokyo
このサイトでさんざん告知をしてきた、YOUR SONG IS GOOD、RIDDIM SAUNTER、そしてフロムUSA、THE DEATH SETによる東名阪ツアー。誰より、メンバーが一番楽しみにしていただろうこのツアーの最終日だけに、どんなハチャメチャ(このフレーズはTDSのキャッチ・コピーでもあり)な展開が待っているのかに期待が膨らむ。
この対バンだけに渋谷クアトロはギュウギュウで、いつもより狭めのブースから3バンドをつなぐような選曲でフロアをわかせたチャーベのDJに続いて、まず登場したのはRIDDIM SAUNTER。
「Dear Joyce」で始まったライヴは、最近の彼らのベスト選曲といえるラインナップ。ハードコア・バンド顔負けの激しい曲があったかと思うと、美しいメロディとファルセットが聴きどころだったりと、緩急つきまくりの展開。
そしてそれらの楽曲をスタミナのある演奏で聴かせつつ、オーディエンスよりも激しくダイヴし、踊るのだから、袖にいたはずのTGMX(FRONTIER BACKYARD)や高本和英(COMEBACK MY DAUGHTERS)といったゲストまでがステージへと躍り出て(笑)しまったのも無理はないかも。
RDMの激しいライヴの後だけに、続くYSIGも最近のスタイルで、フロアからダイヴをしながらステージへ(ハットリ"ショーティ"ヤスヒコはいつものように歩いて登壇)!
TDSに捧げた「あいつによろしく」から、オルガン担当サイトウ"J×J×"ジュンによるMCの、「とりあえず曲やろう。今日はそういう感じ」という前のめりな予告どおり、「MOVE OR DIE」「ACTION」「A MAN FROM NEW TOWN」といった曲でバンドのパンク・サイドを全面に押し出しつつ、形容するなら、“破壊寸前の暴走列車”なパフォーマンス。
そのギリギリ感は、RDMのライヴでも感じたけれど、メンバー自らがこのイベントの楽しみ方を提示しているようでもあった。モッシュ&ダイヴするフロアもこの日ばかりは、ステージの気迫に若干押され気味だったと思う。
そして、THE DEATH SET。始まってみれば、ステージ上には3バンドのほとんどのメンバー&スタッフがいるというなんだかおかしな絵面になりつつ、パンクロックの初期衝動と開放感、そして笑顔に溢れた、トリにふさわしいアクトを披露。
気付けば、バンドメンバーに限らず、ステージにいる誰もがダイヴし踊り狂っていて、そんなハードコアな状況ながら、カヴァーを熾り込みつつキャッチーなメロディが際立つポップな楽曲でも観客を魅了していく彼ら。そして本編ラストには、このツアーではお馴染みの(?)ギターを叩き壊してもうひと盛り上がりと、最後まで前2バンドのアクトに全力で応えたのはさすが。当然鳴り止まない拍手に3バンドが改めて登場し、サプライズな展開があったのだけれど……これは会場にいた人だけのお楽しみということで。
対談でもJxJx、TA-1が「今、日本でTDSが観られるのが嬉しい」と口々に言っていたけれど、この日のライヴを観て思ったのは、「今、この3バンドが一緒に観られたのが嬉しい」ということ。表現方法/趣味・嗜好/その他もろもろ、が違っていても深い共感を得られること、それはミュージシャンだけじゃなく、オーディエンスも含め、同時代を生きる者同士の特権だろう。今だからこそいっそう彼らの音楽と情熱が必要なんだと、祭りの後の帰り道にしみじみ感じたのでした。
Text : Ayumi Tsuchizawa
Photo : Tetsuya Yamakawa(RDM), Ryo Nakajima(YSIG), Yosuke Torii(TDS)