2010.2.25 (thu) @ SHIBUYA-AX, Tokyo
昨年のサマーソニック以来、約半年ぶりにPHOENIXが来日し、ジャパン・ツアーを敢行した。最新作の『WOLFGANG AMADEUS PHOENIX』が来日直前にグラミー賞の【ベスト・オルタナティヴ・ミュージック・アルバム】を受賞したこともあり、満員の会場内は外国人の姿も目立つ。
開演時間きっかりに暗転し、印象的なキーボードのシーケンス・フレーズに導かれ、最新作のオープニング・トラック「LISZTOMANIA」からライヴがスタート。アルバム・ジャケットのバックドロップの前に、青系のライティングに照らされたメンバーたちは、アッパーな楽曲を演奏しながらもクールな佇まい。ヴォーカルのThomasも特に派手なアクションもなく、美しいメロディ歌い上げる。
バンドのサウンドはとてもクリアで、大きめのバランスのドラムとベースが会場全体をグルーヴさせる。サポートドラマーのパワフルかつハネ気味のビートも心地よい。ギタリスト2人のサウンドも抜群で、随所で聴かせるフレーズの絡みもライヴとは思えないほど鮮明に聴こえ、楽曲に彩りを与えていた。
中盤からは演奏も一層タイトになり、縦のリズムを強調したグルーヴに。それにあわせ照明もエレクトロのライヴかと思わせるほど、派手でリズムにシンクロさせたライティングになり、場内もヒートアップ。過去4枚のアルバムから代表曲をほぼ網羅したベスト的セットリストで突っ走り、約1時間のセットはあっという間に終了。
しかし、こんな盛り上げさせておいて、これでオーディエンスは納得できるわけがない。
鳴り止まないアンコールを求める声にThomasとギターのLaurentがステージ上に現れ、熱くなったフロアをクールダウンさせるかのごとく、声とギター1本でアコースティック風に数曲(その中にはAIRのカヴァー「PLAYGROUND LOVE」も!)を披露。やはり、よい楽曲はどんなアレンジでもそのよさは失われないもの。あれだけ大騒ぎだったオーディエンスたちも静かに耳を傾けていた。
そして再びメンバー全員が現れ、「IF I EVER FEEL BETTER」、「1901」をプレイ。先程までしっとり聴かされたきた反動かフロアは再び大爆発。エンディングにはオーディエンスを次々とステージに乗せ、演奏しているメンバーが全く見えない状況になり、一丸となって大団円。ものすごい盛り上がりでライヴは終わった。
正直、こんなアツいライヴになるとは想像もしてなかった。過去に何度か彼らの来日ライヴを観ているが、今回がダントツによいライヴだったと思う。
Text : Kazunori Mizoguchi (New Audiogram)
Photo : Kazumichi Kokei