2011.2.24 (thu) @ LIQUIDROOM ebisu, Tokyo
ACTs : LITTLE CREATURES / ZAZEN BOYS / toe
近年ますますバンドとしての活動が緩やかになり、ついに5年ぶりとなったニュー・アルバム『LOVE TRIO』を昨年末にリリースしたLITTLE CREATURES。5年ぶりだからなのか、5年ぶりであっても、と言うべきかわからないが、作品で聴けたその新鮮なバンド・サウンドは、相変わらずロックの新しい楽しみ方を提示してくれていた。
昨年はまた彼らの20周年という節目であり、2枚組のベスト・アルバム『OMEGA HITS!!!』、CORNELIUS、SPECIAL OTHERS、クラムボン、toe、向井秀徳といった彼らの周辺にいる先輩、同期、後輩らにカヴァーを依頼した『Re:TTLE CREATURES』の発表など、この間の空白を埋めるような活発な活動が続いている。そして、2月24日、恵比寿LIQUIDROOMでは、カヴァー・アルバムに参加したtoe、向井秀徳率いるZAZEN BOYSをゲストに、対バン・イヴェント"LITTLE CREATURES presents Re:TTLE CREATURES"が開催された。
最初に登場したのはZAZEN BOYS。久々に観る機会を得た彼らのライヴはやはり凄まじかった。念仏のように繰り返されるヴォーカルと、時間軸を歪ませてしまいそうな、延々と刻まれる変拍子。一瞬も気の抜けない、ギリギリまで作り上げられた楽曲を演奏しながらも、「HIMITSU GIRL'S TOP SECRET」、「Daruma」などでわざとカウントをずらしたり、へんな間を取ってみる向井のその動きで、強健な演奏とはまた違ったノリが生まれていく。例えるなら、鍛え上げられたダンサーがすばらしくキレのある回転を繰り出しながら時々わざとつまづいてみせるような、そんなライヴだったと思う(※ ZAZEN BOYSの写真は後日アップしますのでお楽しみに!!)。
そうしたザゼンのライヴを引き継いでか、山嵜の「緊張するな~」というつぶやきが聞こえ、toeの演奏がスタート。彼らの寡作ぶりはクリーチャーズに通じるところがあると思いつつ、作品を経るごとにその楽曲や演奏が豊かな広がりを持って感じられることは、リスナーとしてはこれ以上ない喜びだ。
じょじょに熱を帯びて音からはみ出していくように演奏される「After Image」や、カヴァー・アルバム収録曲であり、コトリンゴをゲスト・ヴォーカルに迎えた「He Passed Deeply」などの静と動のコントラストの美しさは、彼らならではだと思う。ギャップ、ということでいうなら、微妙に時期の外れた話題やマイクを通さずに話してしまうMCと演奏のタイトさ、その好対照も彼らの魅力かもしれない。
ここまでの2時間半弱、フロアは並々ならぬ緊張感と興奮とを抱えていて、雰囲気的には極限に近い状態だったと思う。けれど、ラストのクリーチャーズが登場して1曲目「FOOLISH KING」が鳴り響くと、メンバーを祝福するような温かな拍手が起こってLIQUIDROOMは一転、バンドの20周年を祝う場になった。誰にも何にも寄らない、だけれど誰もが共感できる豊かな音楽を作り続けてきた3人に向けての、心からの感謝と尊敬を込めた拍手だ。
バンドの選曲はといえば、「Dragonfly Day」、「Crimson Shadow」など最新作『LOVE TRIO』の楽曲を中心にしながらも新旧織り交ぜて、今のバンドのモードを表現したような印象。その現れか、もしくはZAZENやtoeといった他のバンドを強く意識したものなのか、アレンジはいつもよりずいぶんアグレッシヴだ。アンコール「TURQUOISE SEA」までの11曲をほぼMCを挟まずに駆け抜けたものの、1曲1曲が背景に持つさまざまな音楽、さまざまな世界観を、リアルなものとしてフロアに届けてくれた彼らのパフォーマンスは、本当に素晴らしかった。
Text : Ayumi Tsuchizawa
LITTLE CREATURES OFFICIAL WEBSITE
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