New Audiogram: オルタナティヴミュージック ウェブマガジン

EDITOR'S CHOICE:エディターたちが厳選した最新レビュー!

LIVE REVIEW

“SOUND SHOOTER Vol.3”

2008.3.2 (sun) @ Shinkiba STUDIO COAST
ACTs : suzumoku / ASPARAGUS / FRONTIER BACKYARD / PE’Z / the band apart

一瞬を狙う男の長い一日

ロック・ファンで彼の写真を目にしたことがない人はおそらくいないだろうカメラマン・橋本塁。今回で3回目を迎える、彼が主催するイベント"SOUND SHOOTER"がスタジオ・コーストで開催された。3度目にしてすっかりお馴染みとなった、開演まで会場を彩る自身の撮影した写真の映像、本人からの挨拶、そして出演者の紹介を経て、いよいよイベントがスタート。


登場したのは、期待のオルタナ・フォーク・シンガー、suzumoku。PE’Zとのユニットpe’zmokuでの活動や、デビュー・アルバムの収録曲がFM各局でパワープレイされるなど、注目を集めているニュー・カマーだ。

080302_sound_shooter_suzumoku.jpg

なんとなくスタートした1曲目から、その激しいアコースティック・ギターの音と歌に、会場に緊張感が走る。アコギの弾き語りでありつつ、ほとんど打つように激しくかき鳴らされるギターはエモーショナルで、淀みのないスムースな歌声に乗る歌詞も、とても真っ直ぐに耳に飛び込んでくる。インストを含めた4曲のみの演奏だったけれど、その存在は充分観客の記憶に刻まれただろう。

転換の合間には次に出演するバンドのライヴ写真が流れ、2番手のASPARAGUSが登場。先日、満員御礼のAXをワッショイワッショイさせ、ツアーファイナルを大盛況のうちに終えた彼ら。その1曲目「SILLY THING」がスタートした瞬間、フロアは大揺れ。ワンマンではじつに2時間半に渡ってさまざまな顔を見せてくれた彼らだけれど、今回はタイトなイベント仕様で、緩急をつけつつも、一気に駆け抜けていく。

080302_sound_shooter_asp_01.jpg
080302_sound_shooter_asp_02.jpg

途中のMCでは、「短い時間ですけども、短いっつっても結構やるけどね!ぎゃは!」と一笑いも取り、あっという間に終了。あの濃密なワンマンを観た後では、物足りなく感じてしまうほどだった。

次に登場したのは、今年に入ってからiTunes限定で連続リリースを展開しているFRONTIER BACKYARD。この日のバラエティー豊かな顔ぶれから考えれば、当然彼らはダンス隊長ということになるわけで、ライヴ前のSEからフロアはパーティムード。

080302_sound_shooter_fby_01.jpg
080302_sound_shooter_fby_02.jpg

彼らの場合は、歌や演奏はもちろんだけれど、メンバーのパフォーマンスもライヴの出来に大きく影響していて、この日は1曲目から凄まじかった!途中、新曲「prism force」を挟み、後半「WHITE WORLD」ではいくつもの機材をなぎ倒しながらの熱演で、ラスト「Flower of Shanidar」まで、収拾がつかないほどの暴れっぷり。MCやそのパフォーマンスからも、メンバーの主催者・橋本に対する思いが伝わってくる、とても思いの込もったライヴを見せた。

続くのは、どこか硬派なムードを持つPE’Z。トランペットのオオヤマの風貌によるところが大きいのかも知れないけれど、それは明らかにほかのジャム・バンドと一線を画すものであり、このイベントでもその個性を際立たせていた。

080302_sound_shooter_pe%27z_01.jpg
080302_sound_shooter_pe%27z_02.jpg

海外での経験やさまざまなアーティストともコラボレーションしてきた彼らだけに、ジャズやインスト・バンドとひと言では括れないほど自由な曲、演奏だ。そのテクニックにも驚かされるけれど、キーボード以外はアコースティック楽器だということを忘れるほどすごいパワーが立ち上ってくる。時間が経過するにつれますます加速する勢いは、ある種トランス状態のようになった客席を支配し、動かしていた。

トリを飾るのは、イベント3度目にしてようやく出演が決定したというthe band apart。4枚目のアルバムのレコーディング真っ最中という彼らの、今年一発目のライヴでもあったこの日、1曲目「coral reef」から「Shine on me」「Circle & Lines」「Moonlight Stepper」と最近の曲を次々とプレイ。スタート直後はマイクの調子が悪かったのかよく聴こえなかったヴォーカルも伸びやかで、タイトな演奏も心地いい。彼らのライヴを見ていると、本当にいいメロディ、いい歌、いい演奏がそこにあれば他には何も必要ないんだということを改めて思う。

080302_sound_shooter_bandapart.jpg

アンコールでは、バンドが準備していた曲に橋本からNGが出て、代わりにリクエストされた、「Eric.W」で、じつに4時間に渡るイベントが終了。


印象的だったのは、ライヴ中、演奏をしているメンバーと、会話やコミュニケーションを取りながら橋本が撮影していたこと。その両者の関係性はそのままイベントから漂う空気感にも色濃く反映していて、アーティストのリアルな姿というか、彼らの存在をより身近に感じられるイベントだったと思う。こういうオムニバス形式のイベントは毎日さまざまなライヴハウスで行われているけれど、これほど親密なムードを持ったイベントはほかにないだろうという気がした。

080302_sound_shooter_floor.jpg

Text : Ayumi Tsuchizawa
Photo : Rui Hashimoto

New Audiogram: DISC REVIEW
LIVE REVIEW: MONTHLY ARCHIVES
LIVE REVIEW: SEARCH
LIVE REVIEW: ARCHIVES