New Audiogram: オルタナティヴミュージック ウェブマガジン

EDITOR'S CHOICE:エディターたちが厳選した最新レビュー!

LIVE REVIEW

sleepy.ab “archive tour 08”

2008.3.9 (sun) @ Daikanyama UNIT

幻想的な世界へといざなう北から届いた旋律

2月にバンドの10年を振り返るベスト・アルバム『archive』をリリースしたsleepy.ab。そのレコ発ツアーの東京公演がUNITで開催された。

080309_sleepy_ab_01.jpg

ライヴが始まるとすぐに、エフェクティヴなギター・サウンドとタイトなリズムに飲み込まれて、スーッと時の流れが変わっていくような感覚を覚える。透き通った、それでいて力強い成山 剛のヴォーカルが、その印象をよりいっそう強烈なものにしていく。音源で体験する彼らの世界は、流れていく風景を見ているような感覚を覚えるものなのだけれど、ライヴでは、その風景の真っ只中に自分がいるような、また別の体験をすることになる。

080309_sleepy_ab_02.jpg
080309_sleepy_ab_03.jpg

演奏の合間に挟まれる緩やかなMCとともに、特別に感情を吐き出すわけでもなく、ある種淡々と進むライヴがとても心地良い。ただひたすらいい演奏をし、いい歌を歌う彼らの姿勢が、曲それぞれの持つ魅力や個性を引き立たせているようだ。

080309_sleepy_ab_04.jpg

途中、ベースの田中秀幸が「こっちに来るたびに、時間の進む速さが違うと感じます。ライヴは東京でもたくさんやりますが、制作はこれからも北海道でやっていきます」というようなことを言っていた。本当に、彼らの曲の持つスケール感やタイムレスな感覚は、北海道の風景や時間の中で生まれ、形作られてきたものなのだろう。

080309_sleepy_ab_05.jpg
080309_sleepy_ab_06.jpg

甘く、せつないミディアム・ナンバー「雪中花」や、アルバムにはストリングス・バーションも収録されていた彼らの代表曲「メロディ」など、エヴァーグリーンな輝きを持った曲がメインに据えられたこの日のライヴは、これからのバンドの姿そのもののようにも思えて、なんだかとても嬉しい気持ちになった。もちろん、ダークな、ほの暗い世界を描いた曲も演奏されたのだけれど、その光と影のコントラストが強ければ強いほど、彼らの持つ光はいっそう明るく輝くのだ。

080309_sleepy_ab_07.jpg

『archive』を経て、バンドを次の段階に進めたい」と、どこかのインタビューで成山が語っていたけれど、観客一人ひとりが各々の映像や感情を抱いただろうこの日のライヴは、すでに彼らが次の段階に進んでいることを証明する内容だったと思う。

Text : Ayumi Tsuchizawa
Photo : Ryo Nakajima (SyncThings)

New Audiogram: DISC REVIEW
LIVE REVIEW: MONTHLY ARCHIVES
LIVE REVIEW: SEARCH
LIVE REVIEW: ARCHIVES