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SOIL&"PIMP"SESSIONS "One Man Live"

春のSOILライヴ……なぜか胸がざわついてしょうがないのは僕だけだろうか？　2006年『PIMP OF THE YEAR』リリース時の満員となったLIQUIDROOM、2007年『PIMPOINT』ツアー、豪雨のなか開催された野音で、水しぶきをあげながらプレイする彼らがまだ頭に焼きついている。そんなわけで、再オープン間もない赤坂BLITZのライヴでもなにかがあると、期待せずにはいられないのである。

どんなときでも、エンニオ・モリコーネ「The Ecstasy Of Gold」のあのメロディがなり出すととたんに戦闘態勢に入ってしまう。「準備はいいか？」。扇動する社長の声にも、久しぶりのライヴに期待と興奮を隠しきれない表情が浮かぶ。この日はオープニングから「Suffocation」「閃く刃」といきなりアッパーな曲の応酬。サックスの元晴が早くもステージ前方に乗り出し、トランペットのタブゾンビも応酬する。タブの印象的なソロから「Pluto」へ続く流れもすばらしい。フロアとの一体感もばっちりで、SOILのライヴらしく、楽しみ方もじつにフリーフォームなムードに満ちている。タテノリ同然でモッシュ状態の人、一心不乱に踊る人、ゆったりとヨコノリでくつろぐ人──そのさまざまなグルーヴの感じ方、一人ひとりの感性が一体となり、時に共鳴し、時にカオスとなっているのがSOILのライヴの醍醐味だと思う。この夜も社長が「今日の主役はお前らだ！」と語っていたが、音楽の自由な楽しみ方がここにはあるのだ。社長のアジテーションと連動する「WE WANT MORE!!!!!!」とライヴが続くなかで、この夜のSOILは割れんばかりの轟音ばかりではなく、パワフルななかに随所に繊細でメロディアスな側面を見せつける。

そうした、SOILが元来持っていながら、近年の超絶テンションのパフォーマンスおいては見えにくかったメロウな要素が色濃く現れていたのが、「Waltz for Goddess」そして、J.A.M（丈青、秋田ゴールドマン、みどりん）を挟んでの後半のスタートとなるブランフォード・マルサリスのカヴァー「Mo' Better Blues」においてだ。SOILのライヴではすでにおなじみのJ.A.Mパートだが、昨年のFUJI ROCK出演をはじめとする精力的なライヴ活動、そして今年3月にリリースされたアルバム『Just A Maestro』において、そのジャズ・トリオという枠からはみ出さんばかりの表現と存在感を強めたピアノトリオの活躍というのは、本体であるSOILのクリエイティヴィティを活性化させたことは間違いない。

後半はアグレッシヴな「First Lady」「Fuller Love」でさらに高みに上りつめていく。このあたりの丁々発止のテンションも、先ほどのしっとりとしたパートがあるだけによけいにクレイジーに感じられる。そして一気に夏を先取りしてしまうような「Summer Goddess」での開放感たるや！　こぶしを挙げての「ソイル！」コールとともに「殺戮ニューウェイブ」。秋田ゴールドマンがステージ前に出てきてのパンキッシュなナンバーで本編は終了した。

　アンコールでは社長から「自信を持って世に送り出せる」と胸を張るニュー・アルバムについてのインフォメーションがされ、その新作からのニュー・シングル「STORM」をプレイ。これまた彼らの新しい代表曲となること必至のドライヴ感溢れるチューン。さらにアルバムから、アップリフティングな「Khamasin」という願ってもないプレゼント。

初期の楽曲から発売前の新曲まで、まんべんなくセレクトされた、アルバム直後のライヴではなかなか体験することのできないセットには彼らの新たなる気概が感じられたし、新曲、そしてこの夜の構成からは、SOILが見据える次のヴィジョンを、オーディエンスは受け止めていたのではないかと思う。5月21日にリリースされるニュー・アルバム『PLANET PIMP』、そして6月からの全国ツアーへ、ワールドワイドに活動の幅を拡げる彼らの、さらなるDEATH JAZZの歴史が刻まれることを楽しみしていたい。

Text : Kenji Komai

Set List
01. Sufforcation
02. 閃く刃
03. PLUTO
04. SAHARA
05. WE WANT MORE!!!!!!
06. Waltz For Goddess
07. Quiet Passion (J.A.M)
08. Mo' Better Blues
09. First Lady
10. Fuller Love
11. SUMMER GODDESS
12. 殺戮ニューウェイブ
-Encore 1-
13 STORM
14 Kamasin