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androp "angstrom 0.1 pm"

メディアにも、オフィシャルサイトにすらプロフィールを一切公表していないにも関わらず、ロック・シーンから熱い視線を浴びている新星・androp。ただただストイックに、音楽そのものの魅力で聴き手を惹きつけている彼らの世界は、超満員のオーディエンスで埋まった代官山UNITでも圧巻だった。

開演前に響くのは、ループするピアノの音色。静かに開演を待つフロアは、ライヴの幕開けとともに景色が一転！ メンバーの背に広がるスクリーンに浮かぶ七色の光が、1曲目「Colorful」の抑揚豊かな演奏に合わせて明滅する。「Tonbi」は、夜にきらめく街の灯り、「Merrow」は上空から降り注ぐ光の粒……。ヴィジュアル、ライティング、音響が一体になって、聴覚から視覚からあらゆる感覚を刺激してくるのが彼らのライヴのスタイルのよう。音と光と景色をシンクロさせて生む、ドラマチックな雰囲気に引きこまれる。

「今日は、ワンマン・ライヴへ来てくれてどうもありがとうございます。初ワンマンです、楽しんでますか？ ぼくらはこの日をすごい楽しみにして来ました」
そう言ってはにかむような笑顔を見せた一幕を含めて、MCは極めて少ない。言葉は寡黙なぶん、演奏力、表現力で彼らはあくまでも勝負する。「Glider」は、連打するドラムに支えられながら、激しい音が渦を巻くようにうねる。「Traveler」では、そこはかとなく牧歌的な雰囲気のメロディに轟音ギターが切れ込み、「Nam(a)e」はダンサブルなリズムからサビのキャッチーなメロディへ流れるように展開する。かと思えば「Halo」や「Roots」では、疾走するエネルギッシュなサウンドがオーディエンスに拳を突き上げさせる。

変化に富んだフレーズや、ときに見せる激しさはポストロックやポストコア。広がりのあるサウンドはUKロックやシューゲイザー、etc……。音ひとつひとつが個性的で、かつ多彩に変化するスリリングな演奏からは、個人的にはそんな様々なジャンルを連想した。と同時に、独特なバンド・サウンドとともに響くメロディは、どの曲でも存在感が本当に強い。ギターのアルペジオと、風に舞う雪のような光がシンクロする。そこへ、繊細なファルセットを時折駆使しながら奏でる歌声が重なった「Basho」などから伝わってくる情感には、思わず胸が熱くなった。サウンドのオルタナティヴ度はかなり高いにも関わらず、洋楽とは確実に一線を画す日本的な叙情性を、彼らの音楽は持っている。

「アンコールありがとうございます。嬉しいです──」
　万雷の拍手で迎えられたアンコールを、感謝の実感たっぷりな一言とともに締めた1曲は「Image word」。アコースティック・ギターにバンド・サウンドが重なり、ドラムロールが厳かに鳴り響く。そして、ビートが加速するとともに、音像が雄大に広がっていく。革新的なスタイルとポピュラリティが共存する彼らのサウンドは、日本のロック・シーンへ、もっと言えばJ-POPのシーンにまでその魅力が広がっていくかもしれない。そんな予感すら覚えた初ワンマン・ライヴのエンディングは、希望を感じさせる光で包まれていた。

Text : Toshitomo Doumei
Photo : Rui Hashimoto

LIVE REVIEW : "angstrom 0.1 pm"

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