New Audiogram: オルタナティヴミュージック ウェブマガジン

MTV LIVE 04.28.08

MTV JAPANによる初のライヴイベント『MTV LIVE 04.28.08』が開催された。参加アーテストはmonobright、9mm Parabellum Bulletの日本勢、そしてTHE SUBWAYSにTHE MUSICというイギリス勢の計4組。正直、メンツの統一性をあまり感じられなかったり、バンド転換時の場内SEがなぜかシカゴ（しかも80年代以降の曲）とナゾな部分はあったけど、まあそれはそれ。バラエティに富んだ4つの個性をそれぞれ楽しんでしまえばいいだけのことだ。

まず先陣を切ったのは、メガネと白ポロシャツがトレードマークの4人組monobright。昨年デビュー以来、ライヴを重ねてきた彼らだけに、以前とは比べ物にならないほど、バンドの一体感、サウンドの切れ味が相当アップしている。『紅色ver.2』ではサビをお客さんが大合唱するなどつかみはバッチリ。「ここからは踊ろう！」という桃野のMCからデビュー曲『未完成ライオット』がスタートすれば、桃野のジミヘンとミック・ジャガーがごちゃ混ぜになったような変態アクションもさらに加熱。意外にも、SHIBUYA-AXには初登場だったというが、トップバッターとしての役目をしっかりと果たした。

続いてのバンドは、UKの若き3ピース、THE SUBWAYS。キュートなシャーロットはキラキラのワンピース、ビリーとジョシュの男子チームはしょっぱなから上半身裸という出で立ちでライヴスタート。ニューアルバムからの新曲『KALIFORNIA』から、ハードでメロディアスなロックンロールをブチかまし、『OH YEAH』では、会場中から“オー・イェーッ！”のレスポンスが巻き起こる。05年のデビュー時の、ヤンチャなガレージ野郎って雰囲気から、ライヴの腕もかなり上昇。「イクゼー！」「ハジメマシテ、コンバンワ！」と日本語を交えながら、ワイルドにステージを動き回り、オーディエンスをあおりまくる。新曲の『GIRLS & BOYS』を披露したあとは、「ミンナ、オドッテー！」と『ROCK & ROLL QUEEN』をプレイ。ヒートアップしたビリーは、ドラムセットから走り込んでフロアーにダイヴを敢行！ 世界を舞台に活躍し、グッと成長した3人のライヴは、最高にエネルギッシュだった。

さて、次のバンドは、昨年デビュー組の9mm Parabellum Bullet。4人がステージに登場し、1曲目の『Discommunication』がスタートすると、楽器をブン回しながら、タイトかつパワフルに、そしてソリッドで疾走感タップリの怒涛のサウンドを繰り出していく。ボーカル菅原の凛としたたたずまい、激しいアクションをまじえながら的確なサウンド奏でるギターの滝、低い位置にマイクを設置しシャウトしながら力強くベースをかき鳴らす中村、そして、2バスで高速のビートを叩き続けるドラムのかみじょう。ライヴパフォーマンスに定評のある彼らだけに、個性豊かなバンドに囲まれても、その存在感は全く負けてない。ツインリードギターと切ないメロディが炸裂する『Supernova』などは、もはやヘヴィメタル（良い意味ですよ）寸前だ。途中のMCで菅原は、THE MUSICのロブと会話できたことを報告。「ロブが以前雑誌で言ってた、“THE MUSICが一時期バンド解散の危機にあったけど、自分を信じることで復活できた”。その話に凄く共鳴したんです。僕も、今日来てくれたお客さんへの感謝しつつ、これからも頑張っていこうと改めて思いました」という、彼らの実直の気持ちの伝わる話を語ってくれた。1曲目からラストのダンサブルな『Talking Machine』で、畳み掛けるように楽曲を演奏し、最後まで、高いテンションで爆走していった9mm Parabellum Bullet。今後の活躍にさらなる期待が高まる4人組である。

さあ、本日のトリを務めるのは、久しぶりの来日となるTHE MUSIC。4人がステージに登場し、まず驚いたのが、ヴォーカル、ロブのルックスの変化。以前のロングヘアーをバッサリ切り、ソフトモヒカンになってる！ まさに、映画『タクシードライバー』のトラビス状態だ。もはや風格すら感じられて、これはアリですよ。そして『TAKE THE LONG ROAD』から演奏が始まると、ロックとダンスミュージックをミックスした、グルーヴ感タップリのTHE MUSICの音楽を聴かせていく。ロブの伸びやかなボーカルも冴え渡っているぞ。さて、ロックとダンスミュージックの融合といえば、今でこそニューレイヴ勢を思い浮かべるが、彼らは、02年のデビューの時からそれを実践していたわけだ。もっといえば、90年代初頭のマンチェスタームーヴメントと、00年代後半に現れたニューレイヴ勢をつなぐ、重要なバンドという位置づけもできる。しかもデビュー時は18歳で、現在もまだ25歳。つまり、ニューレイヴ勢と同世代なわけだ。若くしてロックンロールライフに飲み込まれバンドの危機を体験し、こうしてシーンに戻ってきた彼らだけに、サウンドの説得力が違う。『STRENGTH IN NUMBERS*』『THE SPIKE*』といった、ニューアルバムからのナンバーに加え、キラーチューン『THE PEOPLE』も披露。ニューレイヴ的なスピード感とは違う、大きなグルーヴでオーディエンスを巻き込んでいくステージングは、まさに百戦錬磨のたまものといったところ。その堂々としたパフォーマンスで、個性豊かな4バンドが揃ったこのイベントのラストを見事に締めくくってくれた。

Text : Keisuke Tsuchiya

monobright Set List
01. WARP
02. 紅色ver.2
03. あの透明感と少年
04. 未完成ライオット
05. 学校
06. 頭の中のSOS

THE SUBWAYS Set List
01. KALIFORNIA
02. OH YEAH
03. ALRIGHT
04. SHAKE SHAKE
05. I WANNA HEAR WHAT YOU HAVE GOT TO SAY
06. WITH YOU
07. GIRLS & BOYS
08. R & R QUEEN

9mm Parabellum Bullet Set List
01. Discommunication
02. Heat-Island
03. Supernova
04. Wildpitch
05. Sector
06. Termination
07. marvelous
08. Talking Machine

THE MUSIC Set List
01. TAKE THE LONG ROAD
02. THE SPIKE
03. FREEDOM FIGHTERS
04. STRENGTH IN NUMBERS
05. NO WEAPON SHARPER THAN WILL
06. THE PEOPLE
07. BLEED FROM WITHIN