2011.4.26 (tue) @ Shibuya O-NEST, Tokyo
ACTs : クリプトシティ / あらかじめ決められた恋人たちへ / uhnellys / LAGITAGIDA
インディ・シーンでカルトな人気を集めていたマヒルノのメンバーを中心に結成されたインスト・バンド、LAGITAGIDA。2010年4月1日のマヒルノ解散ライヴから1か月足らずの同月20日に初ライヴをおこなったその登場には驚かされたが、ハイペースな活動を続ける彼らがそこからわずか1年で初の音源リリース、そして自主企画イヴェントを敢行した。
渋谷O-NESTのステージに最初に登場したクリプトシティは、USハードコア、パンクをルーツとしながら、ヒプノティックなそのグルーヴ感には、インディ・ロックの現在進行型とのリンクも感じさせる。中尾憲太郎のベースを中心として、エフェクティヴなギターとドラムの3層の渦、ヴォーカルDeanの存在感との相性は未知の手触りを覚える。
底なしの轟音の間に少年性を出現させる、あらかじめ決められた恋人たちへ。フロントマン池永は舞台上のパイプにぶら下がったりといつもにも増して奔放な動きから叙情的なメロディを奏でる。ラストにはLAGITAGIDA大竹康範も加わり、暴力的なノイズをまき散らした。
3番目のuhnellys、ドラム+ベースという編成に加え、バンドという概念を突き動かすほど、ループをここまで音楽的に使いこなすバンドを知らない。kimのアジテーターとしてのキャラクターの立ち具合にも、ミクスチャーという自らの原点に返ったような潔さがあった。
そして主役のLAGITAGIDAの登場。この日、会場限定でリリースされたファースト・ミニ・アルバム『CaterpiRhythm』に収録されている5曲に未収録曲の楽曲を加えた7曲を演奏。アンコールでは「もっともメタルっぽい曲をやって締めくくろうと思います」というMCのあとその名も「Metal」、最後には河野岳人がベースを放り出してのプレイだった。
カオティックだけれど突き抜けている彼らのアンサンブルは、ライヴでは音源以上にエクストリームに感じられる。THE MARS VOLTAのような現代的な折衷度を誇るプログレッシヴな曲調を持ちながら、しかし決して大仰にはならない。いわゆる70年代ロックのオマージュでは決してなく、ギター大竹康範の笑ってしまうくらいの弾きまくりをはじめとして、メンバーそれぞれが異なるベクトルにエネルギーを放出しているようで、なぜかこの4人が同じ場で音を鳴らすと、混沌のなかに、これまで観たことのない、きらびやかなヴィジョンが飄々と現れる。その光景の現れ方こそが彼らの魅力なのではないかと感じる。
最後に、インスト・バンドだからインスト・バンドだけで集めた、というのでもなく、自らの個性に拮抗するオリジナリティをギラギラと放つバンドたちに声をかけ自主企画をプログラムしたことにも敬意を表したい。
Text : Kenji Komai
Photo : Ryo Nakajima (SyncThings)
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