2008.4.25 (fri) @ Shinkiba STUDIO COAST
昨年11月7日にリリースされたハワイアン6のミニ・アルバム『RINGS』。その発売当日に下北沢シェルターから始まった“RINGS TOUR”は、長い冬を駆け抜けて年をまたいで今年の3月末まで、超過密スケジュールで続く予定だったのだが、フタを開けてみれば全国どこも大盛況。熱い希望によって実現した追加公演も次々とチケットが売れていき、結局は4月25日、このスタジオコーストで千秋楽を迎えることになったのだった。

会場に着いてまず目を奪われたのは、広い会場全体に飾られたメンバーのパネル写真だ。普段の何気ない笑顔や貴重な楽屋裏の顔、そしてステージ上の熱い表情まで、古くは8年前にさかのぼる写真たち。それらはカメラマン・橋本塁によって撮られたもので、50点ほどのパネルは最終的にファンへのプレゼントとして大放出された。スタッフ・サイドの愛を感じる太っ腹な企画だが、それが特別な予算で作られた記念品のようには思えなかったところがじつにハワイアン6らしい。いつもどおりのライヴをいつもどおり重ねてきた彼らが、いつもどおりの顔を見せることで、いつもどおりの愛情をファンに注いだ感じ。「いつもどおり」でこういうことができるバンドとファンというのは、なんだかとても幸せ者だなと素直に思う。


新作の1曲目「The Betrayer」で幕を開け、セカンドから明るめの「World」、そして1stを代表する泣きの疾走チューン「Light And Shadow」と進んでいくオープニング。最初から名曲ばかり飛ばしすぎじゃないかと不安になるが、考えてみればハワイアン6に箸休めの1曲などは存在しない。全曲がつねにカツカツのテンションで、狂おしいほど熱くてドラマチックな展開が待ち受ける。それを観る側も演奏する側も本当にカツカツだったのが1stを出した5~6年前のこと。両者ぶっ倒れる寸前みたいなテンションで衝突していたから、当時のライヴにはすさまじい緊張感があったのだろう。でも今は少し違う。余裕があると書けば語弊があるが、途切れることのない熱量を発しながらも、メンバーは観客を受け入れる懐の深さを身に付けたし、観客だってメンバーをさらに煽っていく貪欲さを手に入れた。お互いの信頼と理解が深まっているから、会場の空気はどこか優しくてアットホーム。頭が朦朧とする湿気に包まれていようとも、だ。


そんなだから、違う目線で見れば、新鮮な刺激や驚きの新展開はほとんどない。どの曲も速く激しく、明るいか暗いかという違いはあっても、昭和歌謡を下敷きにしたメロディは全曲親しみやすい。基本のフォーマットが同じだから、嫌な言い方をすれば、金太郎飴のような2時間である。だが、それが悪いことだと思えなかったのは、 1曲1曲に“これしかない”という確信があるから。演奏の前に「戦争はなくならないけど反戦の歌を歌い続けます」「俺たちはいつだってライヴハウスに居続けます」といった説明を添える畑野のMCも、今日に限ったものではなく、何年も前からずっと耳にしてきたものばかりだから、よけいに痛感する。進化や変化ではなく、続けること。ひとつの理想を追いかけて、繰り返し繰り返し走ること。そこにハワイアン6の意味があるのだと、楽曲およびメンバーは主張しているようだった。

だからこそ感動的だったのは、この10年を振り返ったラスト間近の「The Pride」、そしてその演奏前に畑野が言った「夢は見てみるもんだよ」というひと言だった。ハワイアン6の“変わらない信念”は、まさしく“夢”という言葉に置き換えることができる。自分勝手に描く夢だから、シーンの現状や時流は関係ない。最初こそメロディック・シーンのホープとして扱われていたハワイアン6だが、今の彼らを同じように見ている人はほとんどいないだろう。10年経った今、そのことが非常にはっきりしたし、それは今後、15年、20年とバンドが続いていけばなおさら明確になるのだろう。その時になっても武骨なまでに変わらないハワイアン6というものを、見てみたいと思った。
Text : Eriko Ishii
Photo : Rui Hashimoto