2008.5.6 (tue) @ Shibuya CLUB ASIA
ACTs : Buffalo Daughter / WRENCH
DJs : Duck Rock / AYASHIGE
WRENCH主催により、これまで新宿LOFTで行われ、メルツバウからBACK DROP BOMBに至るまでまさしく異種格闘技的バトルを繰り広げてきたこのイベント。オープニング、そしてバンド間のDJを務めるDUCK ROCKのプレイはエレクトロ~ダブをメインに、ジミー・キャスター・バンチ、ESG、フランク・チキンズ、マルコム・マクラレン「バッファロー・ギャルズ」などを鮮やかにミックスしていく。なお、彼とともにこの夜も登場したDJ AYASHIGEはこのASIAにおいて5月より新たにマンスリー・レギュラー・パーティ"service"をスタートさせることになっており、これから彼らの音楽的アイディアの源泉や、コラボレーションの拠点となっていく場所になるのではないだろうか。

最初に登場したBuffalo Daughter。「今年はライヴをやります」というムーグ山本のMCもあったように、ここ数か月で、このWRENCHの後もiLL、DE DE MOUSEとったアーティストたちとの対バンを控えている。もはやハンドマイクでフロアを煽るムーグの姿も完全に板についたように、とかくエクスペリメンタルな部分を強調されがちな彼らだが、ことステージにおいては、大野由美子、シュガー吉永にドラムの小川千果を加えた4ピースのバンド感を強く感じることができる。

不穏なムードも含め、つねに時代の空気を感じ、それをアブストラクトかつポップなサウンドとして表現してきた。かつてチベタン・フリーダム・コンサートにしたこともあるBullfalo Daughterだが、ムーグが、「小さい声で、〈フリーチベット!〉」と、決してヒステリックにならずに表明するといった場面もとても彼ららしく、チャーミング。コンセプチュアルで完成度の高い作品以上に、彼らのアクティヴなメッセージを感じることができる。そしてまたしても『Pshychic』『Euphorica』でさらに強まったポップな抜けの良さと、世界で最もかっこいいギターを弾く吉永と、世界で最も好きなヴォーカリスト大野のアイコンタクトからなるインプロビゼーションや、シンプルなシークエンスが重なり合って大きなグルーヴを生み出していくBuffalo Daughterの世界の虜になってしまうのだ。
続いてWRENCHの登場。作品ごとに驚くべき変化を遂げていく彼らだが、昨年リリースされたニュー・アルバム『nitro』にある破壊力にはおそれいった。日本においていち早くロックとエレクトロの結合を目指した彼らのサウンドの最新型であり、他のアーティストにつけいる隙を与えないほどのスケールの大きなフォルムとして完成した作品。このバンドの変化と世界観の広がりはもちろんライヴ・パフォーマンスにも確かに現れていた。凶暴なエレクトロ・サウンドにより2曲目あたりで早くもフロアではモッシュが始まる。まるでステージの上にスタジオを組んでしまったかのようにシンセサイザーなどを自らの周りにぐるりと組み、しかもそれらを駆使しながら、両手を高く挙げ、フロアに乗り出し、シャウトするSHIGEの姿は、まるでこの祝祭の場をコントロールするコンダクターのようだ。


「楽しんで帰って」という彼のMCとともに、7月にリリースされることが決定したコラボレーション・アルバムについても告知がされる。浅野忠信、ギターウルフ、石野卓球、HIFANAといった個性的かつ豪華なラインナップとともに、どのような化学反応が起こされるのか期待が高まるが、とにかく現在のWRENCHのライヴを見逃す手はない。オルタネイティヴなエレクトロニック・ミュージックをベースに、強靱なハードコアのスピリッツを持ち独自のフットワークの軽さで活動を続けてきた彼らにとって、この"EDGE OF CHAOS"というパーティは、作品とともに現在進行形のアティテュードとしてアピールできる場所なのだと思う。

Text : Kenji Komai
Photo : Ryo Nakajima (SyncThings)