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フジファブリック "TEENAGER FANCLUB TOUR FINAL"

今年1月23日に3rdアルバム『TEENAGER』をリリースしたフジファブリック。その直前の2007年12月には両国国技館でワンマンを行い、約2年振りとなるフル・アルバムのリリース前だというのに超満員のオーディエンスに迎えられた彼らは、そのライヴで、広いステージ全体を使うように動き回り、全身で自分たちの音楽を、自分たち自身を表現していた。それは本当に、表現者としての彼らの真摯な姿だったと思う。

そして、3月からスタートしたアルバムを携えたリリース・ツアーは各地で盛り上がりを見せ、5月16日・17日には、中野サンプラザでツアー・ファイナル公演を行った。この日はサンプラザ公演2日目であり、チケットはソールド・アウトという大盛況だ。

オープニングは、「ペダル」「記念写真」「B.I.O.P.」という、新作でも冒頭を飾る曲でスタート。どの楽曲もツアーで磨かれてきたらしくアレンジされ、力強く響いてくる。楽曲の持つ広がりがより壮大に表現された「ペダル」、「B.I.O.P.」では照明やパフォーマンスも含めショウのような演出もあって、広い会場でのエンタテインメントを意識して彼らがステージを進めていることがわかる。

『TEENAGER』というアルバムは、決して10代のころを懐かしむものではなく、当時の自分を相対的に見ることで浮かび上がるたった今の自分自身、というものが表現された作品だと思う。そういう意味で、本作の楽曲を中心に据えたこの日のライヴはとても今のフジファブリックの姿を表出させていた。そんな中、彼らのデビュー曲であり、郷愁を誘う「桜の季節」が演奏されるとともに、ヴォーカル・志村正彦が以前サンプラザ近くのコンビニでアルバイトしていたこと、そのときからここでライヴをする夢を抱いていたことがMCで語られた。この日のライヴは、彼のそんな思い入れがたっぷり詰まった公演でもあったのだ。

とはいえその後も、80sディスコな「パッション・フルーツ」、「We Will Rock You」なアレンジの「ロマネ」、ストレートな疾走感溢れるポップ・チューン「星降る夜になったら」、山内総一郎がジミヘンばりに頭の後ろでギターを弾く「TAIFU」など、個性溢れる曲を次々とプレイ。改めて、彼らの懐の深さと趣味の広さを感じたし、とても多作とはいえないバンドだけれど、その作品はとても濃密なものだということを実感した。

本編ラストとなったのは、新作のタイトル・ナンバー「TEENAGER」。彼らのポップネスが爆発したようなこの曲を聴きながら、ステージ上で、激しいパフォーマンスではなくあくまで自然に、歌いたいように歌い、演奏したいように演奏するメンバーが、このアルバムの持つテーマを客席に届けることを楽しんでいるように感じられた。そんな彼らの表情はきっと、フジファブリックが今いかに充実した活動を行っているかに直結していくのだろう。

アンコールは、ワンマンの定番、ベース加藤慎一が抜群の小芝居をするグッズ紹介コーナーからスタート。5人それぞれがソロ・パートで演奏しまくる「ダンス2000」、志村が東京に出てきて初めて書いたという名バラード「茜色の夕日」で、ライヴが終了。これほど、自分たちが描くさまざまな思いをヴィヴィッドに客席へと伝えることができる彼らが、追加公演として決定している、志村の故郷である富士吉田市でどんなライヴを観せてくれるのかが今から楽しみで仕方がない。

Text : Ayumi Tsuchizawa

SET LIST
01. ペダル
02. 記念写真
03. B.O.I.P.
04. Sunny Morning
05. Chocolate Panic
06. 桜の季節
07. 唇のソレ
08. パッション・フルーツ
09. ロマネ
10. 蒼い鳥
11. まばたき
12. 若者のすべて
13. 星降る夜になったら
14. 銀河
15. TAIFU
16. Surfer King
17. TEENAGER
-Encore 1-
18. ダンス2000
19. 虹
-Encore 2-
20. 茜色の夕日