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Pay money To my Pain "Tour 2009 -1st ride-"

焦土と化したラウド・ロックの荒地を耕し続けてきた4人組が、大きな収穫期を迎えた。2004年の結成後、1年も経たずに元GUNDOGのK（Vo）が渡米(現在、日本に戻っている)し、"遠距離バンド"としての活動を余儀なくされてきたPay money To my Pain。しかし、この日はバンドの実力と人気の高さを証明するようにソールド・アウトを果たした。

ド頭は今年3月に出たばかりの2ndアルバム『after you wake up』の収録順通り、「Here I'm singing」～「Position」の流れで始まる。前者はボトムを揺さぶる重戦車リフで攻め立てるミディアム曲、後者はスクリームと速射ビートが濁流のごとく襲いかかってくるファスト曲で観客をねじ伏せていく。前半、ステージ袖で観ていたRIZEのJesseが曲に合わせてヘドバン＆ダイヴをかますわ、「今日はKYONOさん（THE MAD CAPSULE MARKETS～WAGDUG FUTURISTIC UNITY）やDir en greyのメンバーも来てる」と、K は喜々とした表情で話していた。同業者も熱い視線を注ぐ中、元drug store cowboyのT$UYO$HI (B)、元KAMINARIのZAX (Dr)を含むツワモノ揃いのバック陣の演奏は、深い谷底からトグロを巻くようなDEFTONES級の超重量級サウンドで迫り、そこに毒気と妖艶さを兼ね備えたKの歌声が咲き乱れる。しっとり聴かせるバラードから、怒涛の畳みかけを見せるハードコア調のナンバーまで完璧に歌いこなす様は、まさにカリスマの称号に相応しい貫禄があった。やはり、ここまで洋楽色の強い鉄壁の音だと、ヴォーカルが貧弱では話にならない。その点Kは、男形の気迫と女形の色気を自在に操るベテラン歌舞伎役者のごとき振れ幅の広い表情で観客を魅了する。それは海外バンドと比べても、遜色なき輝きを誇示していた。

ショウ自体も攻撃偏重に陥らず、引きや溜めの美学を兼ね備え、暴れさせて聴かせる両輪の魅力を遺憾なく発揮していたように思う。本編最後では「みんなにも帰るところがあると思うけど、もしなかったらオレのところに来い！」と、Kが言い放った後に披露された「Another day comes」の美しいメロディと重厚なへヴィネスの反復が生み出す壮大感に引き込まれてしまった。アンコールでは「Here～」を再度プレイする掟破りの暴挙もあり、シーンやブームの後立てがなくとも、国産ラウド・ロックの矜持を堂々見せつける力強いショウだった。

Text : Ryosuke Arakane