2008.5.31 (sat) @ Shinkiba STUDIO COAST
今やインディーズ・ロックシーンの中で飛ぶ鳥を落とす勢いを見せているのが男女ツイン・ヴォーカルの3ピース・バンド、凛として時雨。これまでに渋谷CLUB QUATTRO、恵比寿LIQUIDROOM、SHIBUYA-AXと、着実にライヴの規模を広げてきた彼らが、今年4月23日にリリースした1stシングル「Telecastic fake show」を引っ提げたワンマン・ツアーのファイナルとして迎えた新木場STUDIO COAST公演。当日はあいにくの雨にもかかわらず、今か今かと開演を待ちわびるオーディエンスでフロアがごった返すほどの超満員。こういう光景を見ると、いやが上にもライヴへの期待感が高まってしまうのは、筆者だけではないはずだ。
ふっと照明が弱まるとおもむろにメンバーが登場し、ボトムの効いた「DISCO FLIGHT」のイントロが鳴らされるやいなやフロアのボルテージも一気に上昇! 3人が紡ぎ出すバンド・サウンドの渦に飲み込まれていくかのように、オーディエンスがステージに向かってどっと押し寄せていく。空間を切り裂くようなTKと345のハイトーン・ヴォーカル、動物的な荒々しさを感じさせながらも正確無比のリズムを刻んでいくピエール中野のドラミング、そして楽曲の持つ、焦燥に駆られた世界観。自身初のSTUDIO COASTワンマンであっても、一瞬にしてその場を自分たちのモノにしてしまうところに、今の彼らの勢いを伺い知ることができる。
1曲目に続けて、ヴォーカル2人の掛け合いが絶妙な心地良さを生み出す「Sadistic Summer」や、めまぐるしく入り乱れるリズムが強烈な「テレキャスターの真実」と立て続けにハイテンポな楽曲が繰り出されるころには、早くもフロアの酸素が薄くなるほどの熱気に場内は包まれた。
MCでは「新木場だけに気張っていくから」とピエールも戦闘モードに突入。「凛として時雨史上、最も激しいナンバー」との紹介で始まった「nakano kill you」では、観る側と演奏する側の両者がぶつかり合わんばかりのテンションを見せ、TKのソリッドなギターも345のうねるベースも半端じゃない勢いで掻き鳴らされている。それどころか、「COOL J」「想像のSecurity」「感覚UFO」と怒涛のナンバーが休む暇なく展開され、まさにアドレナリンが全身を駆け巡っていくかのようだ。さらにこの日は、レーザービーム照明やカラフルなミラーボールを使用したり、メンバー後方のスクリーンに映像を流したりと、要所に効果的な演出を導入することで、楽曲の持つ世界観をより鮮明なものにしていたことも印象的だった。
1stアルバム収録曲から最新作まで、まんべんなく選ばれたセットリストで進行されたこの日のツアー・ファイナル。ラストの「傍観」では、一言ひとことを噛みしめるようなヴォーカルとバンド・アンサンブルを聴かせ、ライヴ・バンドとしての強い存在感をまざまざと見せつけた彼ら。秋の全国ツアーのほか、『FUJI ROCK FESTIVAL '08』への出演もアナウンスされた凛として時雨が、今後どんな大躍進を遂げていくのかじつに楽しみで仕方がない。
Text : Rishu Yamada
Photo : Yoshiharu Ota
Set List
01. DISCO FLIGHT
02. Sadistic Summer
03. テレキャスターの真実
04. CRAZY 感情 STYLE
05. Telecastic fake show
06. ターボチャージャーON
07. 秋の気配のアルペジオ
08. 鮮やかな殺人
09. RE:automation
10. 24REVERSE
11. 新曲
12. ラストダンスレボリューション
13. nakano kill you
14. COOL J
15. 想像のSecurity
16. 感覚UFO
17. 傍観