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OLDE WORLDE "The Blue Musk-Oxen"

2014.6.6 (fri) @ Kichijoji STAR PINE'S CAFE, Tokyo

2年半振りのニュー・アルバム『The Blue Musk-Oxen』リリースを記念してのワンマン。リリース以降、初のバンド編成でのライヴは、彼の透き通ったエヴァーグリーンなメロディが多様な音楽的滋養をバックグラウンドにしていることを、あらためて確認できるものだった。

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OLDE WORLDEこと沼田壮平を中心にギター、ベース、ドラム、キーボードという布陣、序盤の「Your Bird」の開放感溢れる世界から一気に彼の世界に引き込まれていく。音源だとその透徹した印象の強いOLDE WORLDEの音楽だが、バンドのアンサンブルにより生々しくそのオルタナティヴな気質が伝わってくる。

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とりわけ、アコースティックなタッチの楽曲しか知らなかったリスナーにとっては、2010年の1stフル・アルバム『Anemone “Whirlwind”』収録曲で、沼田がハンドマイクで歌う「New Delhe」のビースティー、ベックを継承するヒップホップなグルーヴは驚きを持って迎えられたことだろう。

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こうした90年代以降のざらりとした手触りのオルタナ感を咀嚼しながら、たまらなくメランコリックな「Lemon Lake」のような、『The Blue Musk-Oxen』で獲得した透明感溢れるテクスチャーをステージで完璧に再現してしまう、その表現力には恐れ入る。続いて、あのいつまでも心に刻まれるイントロから「Thinking About You」へ。昨年後半から今年前半、様々な場所で耳にしたこの楽曲の普遍性は、やはり歌の説得力からくるのものだと感じた。

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それはウッドベースが導入された「Realize Poppies」や、アコーディオンが印象的な「Beating」といった、楽曲の世界観を見事に引き立てるバンドのサウンドにより、より彼のヴォーカルの強度が引き立っていたからかもしれない。淡々としたMCをはさみながらのライヴの終盤はアルバムと同じく、MGMTを思わせるキラキラとしたアレンジメントの「Good Boy」、最後はアコースティックな「Be Alone」で締めくくられた。

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アンコールに応えた沼田は「やってみたら短かった」と現体制のバンドで初のライヴの感想を満足げに語る。オーディエンスのクラップとともにプレイされた「mother&boy」の牧歌的な響きのなか、マジカルなOLDE WORLDEの描く風景を十二分に体感できるライヴだった。しかもステージ観るとまたCDを聴きたくなる、そして完成度の高い音源を聴くとまたライヴを体験したくなる、そんなシンプルだけど幸福な連鎖を味わうことのできるアーティストは、いまなかなかいないと思う。

Text : Kenji Komai

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