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LIVE REVIEW

"DEVILOCK NIGHT '09"

2009.5.24 (sun) @ Makuhari MESSE, Chiba
ACTs : ACIDMAN / The Birthday / 9mm Parabellum Bullet / dustbox / the HIATUS / LOW IQ 01 & MASTER LOW / POLYSICS / the telephones / RYUKYUDISKO

96年のスタート以来、数々の名バンドが出演して日本のロック・シーンに輝ける歴史を刻んできた"DEVILOCK NIGHT"が約5年ぶりに復活! 現在の音楽シーンに鮮烈な刺激を与えている精鋭陣を迎え、過去最大級の規模で開催された一大イベントの模様をお伝えしよう。

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RYUKYUDISKO

否が応でもイベントへの期待が高まる中、トップに登場したのは沖縄出身の双子テクノ・バンド、RYUKYUDISKO。ステージ上には"琉球電舞"と書かれたのぼりが立ち、2人が演奏するDJ&機材ブースには沖縄の首里城の絵が描かれている。そこからブッとい4つ打ちビートが放たれると、午前11:30のスタートがウソのように、会場はあっという間に真夜中のパーティに強制連行! 廣山哲史(兄)と廣山陽介(弟)の2人は、エレクトロニックなサウンドでガンガンにアゲまくる。ハイサイなナンバーでは、オーディエンスも手を挙げて踊りまくり。久々に観た彼らのライヴは、THE DREAM ACADEMYの「LIFE IN THE NORTHERN TOWN」や、FATBOY SLIMの「THE ROCKAFELLER SKANK」をサンプリングしてのガッシガシなフィジェットハウスを聴かせたりと音楽性の変化も感じられた。そして、ブースにパーカッションも用意されトラックに合わせて2人が叩くなど、ライヴでのステージングに磨きがかかっていたぞ。

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the telephones

続いて、ミラーボールがキラめく中、「アー・ユー・ディスコ!?」の掛け声からライヴをスタートさせたのはthe telephones。7月にメジャー・デビュー・アルバム『DANCE FLOOR MONSTERS』のリリースも決定し、ただ今ノリのノッてる彼らは、大会場だろうがライヴハウスと変わらないハイテンションでブッ飛ばす。シンセの岡本の発狂ダンスっぷりもすごい。ヴォーカル&ギター石毛のハイトーンヴォイスが広い会場にこだますると、オーディエンスも何かに取り憑かれたかのように大歓声を上げ、そしてダンスの嵐が巻き起こる。ロックとクラブ・ミュージックをミックスした高速チューンで、彼らは大バコをも完全制圧。ほんと、この4人のパワー恐るべし。

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POLYSICS

3番手は、「トイースッ!」の挨拶とともにPOLYSICSの出番だ。the telephonesでも"ロックとクラブ・ミュージックをミックスしたサウンド"と書いたが、彼らは10年以上もそうしたサウンドを出し続けてきたバンド。テンションは高いが、それまでの2バンドの力技全開のサウンドだけでなく、緩急を効かせた楽曲でオーディエンスを魅了していく。海外でのライヴ経験も抱負なだけに、どんな状況だろうと自分たちのペースでライヴを展開し、コントロールできるまでになったんだなと、その成長ぶりに感心してしまった。シャウトし派手なアクションでギターを弾きまくるハヤシ、髪を振り乱してベースを弾くフミ、淡々とキーボードを弾きながら、ときにロボ声で歌うカヨ、細い体から信じられないくらいのビートを叩きだすヤノ。堂々としたパフォーマンス(大暴れっぷりも含めて)に、ちょっとした風格さえ感じてしまったほどだ。今のPOLYSICSは鉄壁です。

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LOW IQ 01&MASTER LOW

POLYSICSのライヴ後、オーガナーザーの遠藤憲昭がステージに現れ、オーディエンスとバンドに感謝の言葉を述べると、会場中から大きな拍手がわき起った。そして彼の紹介でステージに登場したのは、"DEVILOCK NIGHT"常連中の常連、LOW IQ 01&MASTER LOW。今回のメンツの中で、以前からこのイベントに出続けているのはイッチャンだけだ。バッチリ衣装をキメ込み、パンキッシュにファンキーに、オレ節ワールドを展開。モニターの上から上へと渡り歩き、ステージの端から端へと走りながら歌い続け、さらにはバク転を見せる(後日聞いた話が、すでに痛めていた腰がバク転でさらに悪化したそうだ。「それでもやるのが男でしょ(笑)」<イッチャン談>)など、エンターテイナーぶりを発揮。今年ソロ・デビュー10周年を迎えるイッチャンは、おなじみのナンバーに新曲を織り交ぜたショーを披露。オーディエンスとのコール&レスポンス、大ハンドクラップ大会を巻き起こしたりと、明るく激しく楽しいイッチャンらしいライヴを見せてくれた。

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the HIATUS

続くのは、2008年9月に活動休止したELLEGARDENの細美武士による新ソロ・プロジェクト、the HIATUS。4月の"PUNKSPRING 09"に続いてのライヴということで、注目が集まる中、オーディエンスの大手拍子でステージにメンバーが迎えられると、ヘヴィでパワフルな中にせつないメロディが響くナンバーをプレイ。そして、ダークかつ勢いのあるナンバー、センチメンタルな雰囲気を豪快に突き破るような抜けのいいナンバー、ミッド・テンポで明るくメロディアスな楽曲など、ELLEGARDENとはひと味違う、壮大なサウンド・ワールドを聴かせていく。ヴォーカル&ギターの細美を支えるのは、ウエノコウジ(Radio Caroline / B)、柏倉隆史(toe / Dr)、Masasucks(FULLSCRATCH / G)、そして、伊澤一葉(Key / 東京事変)という強者ばかり。ピアノが導入されたタフなバンド・サウンドをバックに、ときに日本語詞で歌う細美の姿はとても新鮮。正直、ライヴ・バンドとしてのコンビネーションはこれからという部分もあったが、それをも上回る音楽の力に圧倒される。オーディエンスもその破壊力に驚きながらも大歓声で応える。「スゲー楽しい!」「何言っていいかわかんないけど、今日はありがとう!」というMCから、この場でライヴをできていることを心から楽しんでいる細美の気持ちが伝わってきた。ここから、the HIATUSの世界観がどのように変化し作り上げられていくのか、やはり目は離せないでしょう。

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dustbox

「Right Now」の伸びやかなメロディが響き渡り、沸き上がる大歓声。そして……一気に、疾走開始! the HIATUSが残していった熱気を受け継いだdustboxのアクトは、もうまさにベースのJOJIの言葉どおり。「俺たち3人は、ここがライヴハウスだと思っています。お前らならできるよ!」。彼らのお家芸と言って良い加速感満点なナンバーの連打は、幕張メッセという大会場さえも、いつものライヴハウスと同じテンションでオーディエンスを揺らしに揺らす。さらに、厳かな音色から、全身全霊を叩き込んだ激しいサウンドを爆発させた「Wall Of Ice」などでは、スピード一辺倒だけではない音楽的な幅の広さもかいま見せる。メロディック・パンクの王道を行くスタイルを磨き上げ、そこへ自分たちだけの個性を注入して作り上げたdustboxの"らしさ"を、みごとに表現したステージだった。

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9mm Parabellum Bullet

絶叫、渦巻く爆音、弾丸のように放たれる言葉……。オープニング・ナンバー「Vampiregirl」から、強烈なインパクトをぶっ放してみせたのは9mm Parabellum Bulletだ。カオティックな展開と、耽美な雰囲気をほのかにまとったメロディが同居する「Psychopolis」。独特のグルーヴ感で幕張メッセを狂ったように踊らせた最新シングル「Black Market Blues」、etc……。感情のおもむくままにステージを暴れ回りつつ、1曲のなかに多彩なフックを仕掛けてくる巧みな演奏。それでいて、キャッチーな"歌もの"であることも忘れないこのバンドの世界観は、どう考えても他にはない孤高な代物だ。「みんな、アレでしょ? どうにかなりに来たんでしょ? お手伝いします!」(菅原)。"どうにかなりそう"なくらいの尋常じゃない興奮で聴き手を刺激する、9mmの個性が爆発したライヴ。イベント終盤に来て、幕張メッセはさらにヒートアップだ。

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The Birthday

チバユウスケの叫びにも似た声が、ただならぬ緊張感を伴ってエコーした刹那、幕張メッセは彼らの色に染まった。「6つ数えて火をつけろ」で幕を開けたThe Birthdayのステージは、パンキッシュなビートが走る「Nude Rider」をはじめ、古き良きロックンロールのニオイを感じさせるバンド・サウンドが高揚感を誘う。それとともに、「グロリア」や「カーニバル」などのメロディが醸し出す、なんともいえない哀愁がたまらなく胸に染みる。そんな、そんじょそこらの若者バンドでは絶対に出せない"大人"ならではのロックのハイライトは、「涙がこぼれそう」。静かにリフレインするギターのストロークから、チバが一瞬マイクの前から離れる。そして、ファンが贈る大合唱を受け止め、再び疾走! 彼らのライヴには、盛り上げ系のMCなどはいっさいない。しかし、感情のすべてを音楽のみで伝える空間には、感動がまちがいなくあった。

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ACIDMAN

総勢9組でタスキを繋いだ一大イベント、そのアンカーを務めたのはACIDMAN。個人的には大会場で観ることが多い最近の彼らのライヴは、迫力がとにもかくにもすばらしい。すがすがしい雰囲気を放ちながら、音像がどんどん広がりを増していく「FREE STAR」。「悲しい歌ではありますが、それを乗り越えていこうという強い決意のこもった歌です」。大木の曲紹介に続いた新曲「Under the rain」も、抑制を効かせた音色から、体内に溜めたエネルギーを一気に放射するかのような演奏が圧巻! 「CARVE WITH THE SENSE」と「飛光」で激しく、かつエモーショナルに締めくくったステージに、アンコールの歓声が降り注ぐ。「赤橙」と「Your Song」の2曲で、それに熱く応えたこの日の彼らのパフォーマンスは、アリーナクラスの大会場に十二分に映えるスケール感を携えていた。5年ぶりの開催となった"DEVILOCK NIGHT"のエンディングは、最高にピースなムード!

Text : Keisuke Tsuchiya (the HIATUS / LOW IQ 01 & MASTER LOW / POLYSICS / the telephones / RYUKYUDISKO), Toshitomo Domei (ACIDMAN / The Birthday / 9mm Parabellum Bullet / dustbox)
Photo : Rui Hashimoto


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