2008.5.30 (fri) @ Shibuya DUO Music Exchange
今、もっともライヴが注目されているバンドのひとつと言えるのは、間違いなくこのthe telephonesだろう。大きな反響を呼んだ、彼らの1stフル・アルバム『JAPAN』のリリース・ツアー・ファイナルとなるduo MUSIC EXCHANGEは、ここ1年近くの間でみるみるうちに増殖していった“電話中毒”たちであふれ返っていた。
対バンの8otto、そしてavenger's in sci-fiがアツすぎるぐらいにヒートアップさせて、まるで東南アジアの繁華街にあるヤバいディスコみたいな熱気がフロア中を包むなか、ついにthe telephonesタイム!会場のあちこちには、大きいのから小さいのまで数えきれないほどのミラーボールが飾られ(フジロックなどでも活躍するMIRRORBALLERという集団が手がけたらしい)、さらにメンバーがステージに登場する時には、でっかいミラーボールの半球を持ってきたりと、ファイナルを飾る狂宴にふさわしいド派手な演出にも気分がアゲられる。
おなじみのカラフルなアフロのヅラを被って登場した4人だが、そのまま1曲目「Happiness, Happiness, Happiness」を飛ばし気味に演奏。そしてようやく(?)お約束の円陣を組んで、バンドもフロアもひとつにする(って、その前の曲で充分ひとつになってんだが)かけ声を叫んで、いよいよ本編スタート! 「DaDaDa」「sick rocks」「it's OK」「FREE THROW」と、アルバム『JAPAN』の収録曲とそのままの並びでセットリストは進行。この『JAPAN』の楽曲群が、今回のツアーで全国を回ってきたことでより肉体性を孕み、さらに強靭なグルーヴをもって進化してきたことがわかる。最近制作されたという新曲も披露し、その進化の先にあるものも垣間見せてくれたのも嬉しいところだ。
後半戦には「懐かしい曲も」なんて触れ込みで、前作『we are the handclaps E.P.』の楽曲も織り交ぜながら、グイグイと惹き込まれるようにライヴは進み、あっという間に終盤。「HABANERO」「urban disco」と前作からのナンバーで大盛り上がりのうちに、クレイジーでピースフルなダンスは終了……するわけもなく、鳴り止む予感すらないアンコールの声に押されて「Used Skin」「panic disorder」とさらに高みへと連れていくようなアッパー・チューンを立て続けに演奏。さらにダブル・アンコールでは『JAPAN』収録の「with one」を披露。踊り狂ったあとの高揚感が身体にまだじんわりと残っている一方で、アドレナリンを出し切ったあとの放心した感じとか、このまま楽しい時間が過ぎていってほしくないと願うせつない感情みたいなものが、すべて混ぜこぜになったようなこの「with one」は、彼らのツアー・ファイナルのオーラスを飾るにふさわしい名曲! こういうエエ曲もさらりと出せちゃうソングライティング力や、どこか日本人の土着的な感覚に引っかかるようなエッセンスを狂乱のダンス・チューンの中にさりげなく織り交ぜてしまう音楽的センスに、このバンドの計り知れないポテンシャルを感じさせられた、充実の一夜。いやあ、the telephonesは、これからまだまだ進化してくれることだろう。その証拠に(?)、会場に集まったメジャー・レーベルやらギョーカイ関係者の多さは、彼らが閉塞したシーンをぶち壊したり、なんかぶっ放してくれるんじゃないか?っていう期待度のデカさの表れだったように見えた。
Text : Takeshi Miyauchi (ramblin')
Photo : Ryo Nakajima (SyncThings)