EDITOR'S CHOICE:エディターたちが厳選した最新レビュー!

LIVE REVIEW

NEiLS CHiLDREN "X.ENC." JAPAN TOUR 2009"

2009.6.15 (mon) @ Shibuya CLUB QUATTRO,Tokyo
ACTs : NEiLS CHiLDREN / Lillies and Remains

ロンドンにおけるネオ・ゴス・シーンの先駆者でもあり、その象徴とされてきたNEiLS CHiLDREN。常々その音楽性と共に、メンバーのダークなメイク、ファッションでも注目されてきた彼らではあったが、EP「I'm ILL」を去年に発表したころからそのトレードマークともいえるゴスメイクを清く払拭し、新たな変革を起こした。そんな彼らの約2年半ぶりともなる来日公演をレポートする。

日本から向え撃つのは、待望のフルアルバム『Part of Grace』をリリースしたばかりのLillies and Remains。淡々とステージに登場した彼らはダークサイドから手をひくように、一音一音を奏ではじめる。デビューEP「Moralist S.S.」で日本人とは思えない楽曲センスとそのダークな世界観で、リスナーの度肝をぬいた彼らだが、ライヴにおける佇まいにもダークさが滲みでている。ヴォーカルのKENTの振る舞いはまるで伝説的なバンド、JOY DIVISIONのIAN CURTISの亡霊がのりうつったかのように、虚ろでありながらニヒルだ。まるで地面に沈んでしまうかのような重たいベースの音に、ずっしりとしたパワードラム、暗闇を劈くギター、時にさげすむように歌う、官能的な声が、Lillies and Remainsのダークネスな世界を形成していく。
その世界に身を沈めるかの様に、感覚を研ぎ澄ますオーディエンス、思い思い鑑賞するオーディエンス等を疾走するグルーヴで揺らし、突き刺すかの様なリフ、凶暴的なベースが交差する「Poles Apart」でたたみかけると、幽玄な煌めきをもったアルペジオがリフレインする。そこにのる低く渇いた残酷な声と憂いを含んだ艶やかな声が心の琴線を振るわせる。心の奥底の孤独あるいは激情を音楽として表現しているかの様な彼らの世界感がこれから更に煌めきをもって増幅していくだろうと感じるライヴだった。


ナイトメアー・ビフォア・クリスマスのようなミステリーとユーモアが同居したかのようなSEが流れると、まずドラムのブランドンが登場し、ドラのような音を叩き始める、それに誘われるかの様にベースのキース、ヴォーカルのジョンが登場。なんとジョンはバッサリと金髪の坊主になっており、シャツにスラックスとまるで、60年代中頃のイギリスに登場したスキンヘッズ・スタイルのようであった。彼らの音楽性からも伺えるモッズの要素の影響だろうか、とにかく以前のイメージは一掃したかのような佇まい。

neils_children_01.jpg

「STAND UP」で幕をあけるとそのエッジの立ったサウンドは変わりないが、痙攣してるかのようにギターをかき鳴らし、歌うその姿にさらに凶暴性は増したかの様な印象をうける。続く跳ねるビートにはじけ飛ぶようにキャッチーなメロディのパンク・チューン「REFLECTIVE/SURFACE」でぐっとオーディエンスを惹きつけるとトリッキーなギタープレイを炸裂させ、"ありがとう"と日本語でMCをし、いたずらしたように鼻で笑った。錆びれたメリーゴーランドに乗せられてしまったかのように、不協和音がぐるぐるリフレインする「SOMETIMES IT'S HARD TO LET GO」で彼らの持ち味であるゴシックな世界観がひろがると劈くギター、リバーヴの強いドラム、ベースのフィードバック・ノイズにたたみかけられ、確固たるNEiLS CHiLDRENの世界にまんまとひきずりこまれてしまう。

neils_children_02.jpg
neils_children_03.jpg
neils_children_04.jpg

トライバルなドラムパターンを叩きはじめたかと思うと、ジョンもステージサイドにおいてあったパーカッションセットを叩き始め、雄叫びの応酬。まるでTHE CLASHの「ROCK THE CASBAH」のように、問題提起してるかのような勇ましい歌が耳にのこる。途中シールドが抜ける、エフェクターがきかない、ギターが壊れる、というような滅多にないアクシデントに見舞われながらも、時に3ピース独特のタイトなアンサンブルをきかせたり、またパーカッションの応酬でプリミティヴなリズムを浴びせる彼らに、今までとは違う革新的なアプローチを試みているんであろうなという印象をうけた。そんな多彩なアプローチを持ちながらも、彼らの演奏には全くの無駄がない、3ピースというその必要最小限の編成は彼らの表現を最大限に引き出し、ひりひりと痛いほどにオーディエンスに伝えることができるのだ。常に変化を恐れずに進化し続ける、反逆的でアバンギャルドなNEiLS CHiLDRENの本質を感じられる夜になった。

neils_children_05.jpg

Text : Chihiro Onodera
Photo : saya38

Lillies and Remains Set List
01. Solitude of Vigour
02. Lasting Feast
03. Poles Apart
04. Moralist S.S.
05. Upsetter
06. Wreckage
07. The Fake
08. Sigmablade
09. Grind
10. Ivan, Knife, Lipcream

NEiLS CHiLDREN Set List
01. STAND UP
02. REFLECTIVE/SURFACE
03. SOMETIMES IT'S HARD TO LET GO
04. TERROR AT HOME
05. THE EYES OF A CHILD
06. I'M ILL
07. COMMUNIQUE
08. AN EXCHANGE
09. MOTORCAR
10. ALWAYS THE SAME
11. I CAN'T SEE YOU
12. ANOTHER DAY
13. INDIFFERENCE IS VITAL
-ENCORE-
14. WHAT AM I SUPPOSED TO DO ?


Warning: include(): http:// wrapper is disabled in the server configuration by allow_url_include=0 in /home/users/1/newaudiogram/web/newaudiogram.com/editors/livereview/172092201.php on line 117

Warning: include(http://www.newaudiogram.com/editors/livereview/right.php): failed to open stream: no suitable wrapper could be found in /home/users/1/newaudiogram/web/newaudiogram.com/editors/livereview/172092201.php on line 117

Warning: include(): Failed opening 'http://www.newaudiogram.com/editors/livereview/right.php' for inclusion (include_path='.:/usr/local/php/7.4/lib/php') in /home/users/1/newaudiogram/web/newaudiogram.com/editors/livereview/172092201.php on line 117

Warning: include(): http:// wrapper is disabled in the server configuration by allow_url_include=0 in /home/users/1/newaudiogram/web/newaudiogram.com/editors/livereview/172092201.php on line 120

Warning: include(http://www.newaudiogram.com/editors/livereview/bnr_livereview.php): failed to open stream: no suitable wrapper could be found in /home/users/1/newaudiogram/web/newaudiogram.com/editors/livereview/172092201.php on line 120

Warning: include(): Failed opening 'http://www.newaudiogram.com/editors/livereview/bnr_livereview.php' for inclusion (include_path='.:/usr/local/php/7.4/lib/php') in /home/users/1/newaudiogram/web/newaudiogram.com/editors/livereview/172092201.php on line 120