2011.6.24 (fri) @ LIQUIDROOM ebisu
ACTs : SOIL&"PIMP"SESSIONS / quasimode / カルメラ (Opening Act)
大阪を拠点に活動する、この日のオープニング・アクトを務めたニュー・カマー、カルメラ。ジャズの代名詞的存在の名門レーベルBLUE NOTEと正式契約を果たし、日本のクラブ・ジャズ・シーンを代表するバンドのひとつと言ってもいまや過言ではないquasimode。そして、自身初の試みとなる、豪華共演アーティストを迎えた東名阪ツアーのホスト役SOIL&"PIMP"SESSIONS。原稿の冒頭を、ライヴ終盤のシーンから入ってしまうのは順序的にイレギュラーだが……。この三者が一堂に会したあまりにすごいセッション・ステージはどうしても書かずにはいられない!
社長「今からはじまることは一切打ち合わせをしてません! 今日だけのエクスクルーシヴ・セッション、このステージと、この客席で、何かが作れるんじゃないでしょうか……。今日しかない音を作ろうぜ、誰からはじめる!?」
SOILの秋田ゴールドマンがベースで口火を切り、quasimodeの松岡"matzz"高廣のパーカッションが加わり、ブラス隊、ドラム、ベース、ギター、ピアノ……。個性豊かなプレイヤーを次々とフィーチャーしながら、その一人ひとりの音色が重なって一体のグルーヴを作る。さらにそこへオーディエンスが手拍子と歓声を重ねて、その場に居る者全てがひとつになってLIQUIDROOMの空気を振動させている。この音で踊らないでどんな音で踊るの? そんなことを心から言いたくなる、この日しか体感することができない最高に躍動的な音楽がそこにはあった。
社長「こうやってシーンっていうのは広がっていくんですよ。場所とか土地とか関係ないよね。人と人とが出逢い、愛、Love……」
大阪ではPE'Z、名古屋と東京2デイズの初日はハナレグミ、この日はカルメラとquasimodeをゲストに招いて、音楽へのLoveがめいっぱい詰まったステージを展開した今回の"ニコニコツアー2011"。いかつい風貌とは裏腹の(失礼! 笑)かわいらしいツアー・タイトルの生みの親にして、この圧巻の音楽空間の中心軸を担ったのはSOIL&"PIMP"SESSIONS。話を戻して、彼らがこの日展開したステージもまた凄かった!
「共に音を作ろうぜ!」。社長のアジテーションが場内の熱気をさらに煽り、ドラム、ウッドベース、ピアノのスピーディーなアンサンブルが弾ける。その疾走感にブラス隊が続き、社長は拡声器で激しいアジテーションでさらに続いたオープニング・ナンバーは「KEIZOKU」。目の前の空気を切り裂くかのごとく切れ味鋭いサウンドをいきなり鳴らし、かと思えば「閃く刃」は、社長の「みんなで歌おうぜ!」という先導にオーディエンスの大合唱が続く。激しく高揚しながらも、ピースなムードと一体感でオーディエンスと繋がるステージは、まさしく"SOIL"のライヴならではの風景だ。
その後も、「I Believe In Miracles」をはじめとする多彩な楽曲ラインナップで、フロアの人波は縦へと横へと揺れに揺れる。ハイテンポからミドルテンポへ多彩に入れ替わるリズムの中で、社長がサンプラーを操り電子音をうねらせたのは「GO NEXT!!」。爆音に包まれながら、そのサウンド・スタイルをジャンルで言うならどうなるんだろう、などとふと考えると……。あえて言うなら、エレクトリック・パンキッシュ・スウィング・ジャズ? いや、そんなカテゴリー分けなんてどうでもいい。磨き上げられたプレイヤーのスキルを全身全霊で駆使して、楽器に自らのエモーションを叩き込むSOILのステージは、ジャンルの壁を壊す。そんなことをあらためて実感した「GO NEXT!!」から続いた「Darkside」は、ジャジーなムードに一転。「Fuller Love」では美しいピアノの調べに歓声が降り注ぎ、場内にこの日一番の大合唱を巻き起こる。そして、縦横無尽なグルーヴで沸きに沸いたツアーの大団円は冒頭で書かせていただいた、この日だけのエクスクルーシヴ・セッション!
「アンプとかは関係ないからね。空気を震わせているのは人の息なんだよ、管楽器というのは。声っていうのも、声帯を震わせて、空気を震わせております。一緒なんだよ、いくぜ……」
ブラスの音色と大合唱が、場内の空気を震わせる。ドラムととともに、ピアノも打楽器になったかのようにアッパーなリズムで、場内の空気を震わせる。LIQUIDROOMを震わせていたのは、間違いなく、音を通して表現する"人間"の息吹だった。素晴らしい楽器や機材を使うことはもちろん音楽の聴きどころになるけれど、テクノロジーがどんなに発達しても、それを扱うのは結局人間だ。イコール、楽器にも、どんなツールにも、人間の心がこもっていなければ良い音楽が生み出せるはずはないということ。音から汗がほとばしってくる画が浮かぶようなエモーショナルな音色と、楽器を大切に愛でるように繊細な音色を奏でた、この日のSOIL&"PIMP"SESSIONS。彼らのようなバンドの音楽がもっと多くの人まで届けば、シーンはもっともっと面白いことになっていくと思う。さらにジャンルの壁がぶっ壊れて、人間くさい魅力たっぷりの音色が広がって欲しいと切に願う!
Text : Toshitomo Domei
SOIL&"PIMP"SESSIONS OFFICIAL WEBSITE
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MOVIN' SOIL&"PIMP"SESSIONS |
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Soil & Pimp Sessions Presents Stoned Pirates Radio SOIL&"PIMP"SESSIONS |