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曽我部恵一BAND "曽我部恵一BAND TOUR2008 キラキラ！"

いつものように、メンバーが円陣を組んでスタートしたライヴは、この数か月、全国をバンドワゴンで巡り（曽我部が何度も口にする言葉だ）繰り広げてきた＜キラキラ！＞ツアーの最終日。真夏日だった外の気温をそのまま持ち込んだような暑い暑いリキッドルームには、これからロック・バンドのライヴが始まるとは思えないほど、親子連れ、年配の男性女性、学生ふうのカップルなど、幅広い年齢層の観客がぎっしりと詰め掛けている（チケットはソールドアウト）。とはいえ、いったんライヴが始まってしまえば、会場にいる全員が等しく声を合わせて歌い、腕を挙げていた。

曽我部恵一BANDと名乗りをあげてから、もう数え切れないほどのライヴをこなしてきた彼らは、オーディエンスの心の動きが読めるかのように、上り詰めた会場のムードをさらに引き上げながらライヴを進めていく。最新アルバム『キラキラ！』の1曲目、ファンタジーであるはずの「天使」という曲がとてもリアルに響いたのは、メンバー4人が、演奏し、歌うだけでなく、その物語まで体現しようとしていると感じられたからだ。アルバムのタイトル曲「キラキラ！」や、ギター・上野智文が歌う「海の向こうで」、そして、「曽我部家のインサイド・ストーリー！　実話です（笑）」と紹介された「チワワちゃん」など、混じりけのないストレートな言葉、メッセージ、メロディが会場を満たし、そこにいる一人ひとりが、鳴らされる音楽を体験していく。改めて、ライヴがいかに個人的な体験であり、同時に、見ず知らずの人と共有できる体験でもあるということを思い出させてくれる。

ライヴの中盤には、出来たばかりの新曲「サニー」と「ハピネス」も披露。「ハピネス」の、突き抜けるような明るいメロディで歌われる＜幸せになりたい　いつ　どんなときも＞という歌詞の切実さとともに、サニーデイのころよりも圧倒的にシンプルな言葉で綴られる歌詞に、何度もドキリとさせられた。

アンコールに演奏された名曲「恋に落ちたら」、ここ最近のラストの定番「Stars」、マイクなしで歌われた「Mellow Mind」も含め、この日、サニーデイ～ソロ～曽我部恵一バンドの曲をまたいで演奏されたのは、じつに25曲。（悲しみやせつなさを含んだ）夢、愛、希望、情熱――そんな美しいものがきらめく曲たちを全力で駆け抜けた曽我部恵一バンド。アルバム・タイトルだけじゃなく、自分たちが輝くんだというメンバーの激しい思いが実現させた、本当に、夢のようにまぶしいライヴだった。

Text : Ayumi Tsuchizawa
Photo by : Yoshiyuki Mizuno

Set List
01. 恋人たちのロック
02. トーキョー・ストーリー
03. 天使
04. 結婚しよう
05. キラキラ！
06. 海の向こうで
07. 海とオートバイ
08. 5月になると彼女は
09. 有名になりたい
10. ジュークボックス・ブルース
11. ハルコROCK
12. チワワちゃん
13. TELEPHONE LOVE
14. スウィング時代
15. サニー
16. ハピネス
17. まちぼうけ
18. 街角のうた
19. あたらしいうた
20. シモーヌ
21. 胸いっぱい
22. LOVE-SICK
23. 青春狂走曲
24. 魔法のバスに乗って
-Encore 1-
25. 恋におちたら
26. STARS
-Encore 2-
27. mellow mind