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LIVE REVIEW

サカナクション "SAKANAQUARIUM 2011 ZEPP ALIVE"

2011.6.28 (tue) @ ZEPP TOKYO, Tokyo

ラララ、きっと僕が、踊りくれる、夜の闇に隠れ潜む
ラララ、ずっと僕が、待ち焦がれる、恋のような素晴らしさよ──

サカナクション、"SAKANAQUARIUM 2011 ZEPP ALIVE"最終日の舞台をまず彩ったのは、「ナイトフィッシングイズグッド」の一節をフィーチャーしたコーラスだ。アカペラの合唱隊のようにメンバー全員の声をひとつに合わせた美しいハーモニーが、開演を待つ会場の熱気を包み込み、雄大に広がり……。リズムとデジタル・サウンド、そして吹き上がるスモークとともに「インナーワールド」の生音のグルーヴが弾け、フロアの人波が激しく動き出す! 音楽と演出を融合させてオーディエンスを驚かせるシーンを展開して会場の空気をいきなり掴んでしまう、サカナクションらしい意外性に飛んだオープニング・シーンでライヴの幕は切って落とされた。

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そして、「セントレイ」は煌びやかなシンセの音色とバンド・サウンドと溶け合い、「アドベンチャー」はファンのハンドクラップがメンバーとともに軽やかなリズムを刻む。かと思えば「Klee」は激しい光の明滅から、ビートが渦を巻くようなグルーヴを展開、大きく反響する山口の歌声に陶酔感を誘われる……。高揚感たっぷりのスタート・ダッシュから、ライヴは目まぐるしくも滑らかに、その表情を変化させていく。

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山口「みんな、歌える?」

ララララ、ララララ、ララララ、ララララ──。メンバーとオーディエンスがひとつになった大合唱で幕を開けたのは、「潮」。会場いっぱいに広がっていくサウンドと歌声に合わせて、メンバーの背のスクリーンではオイル・アートの色彩が独特な模様をうごめかせる。サカナクションのライヴは、サウンド、ヴィジュアル、ライティング、様々なアイデアを駆使して新たな音楽体験を与えてくれる。他にも、変幻していく色彩と音の緩急がシンクロする美しい光景に思わず見惚れた「シーラカンスと僕」など、素晴らしいシーンの連発だった中盤ではニュー・シングル「『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』」も披露! メンバー全員で歌い上げる、一度聴いたら心に刻まれる印象度抜群のメロディ。躍動的にロールするドラムに、ベース、ギター、シンセが重なり、一瞬切れ込むピアノの音色でブレイクし、山口のエモーショナルなヴォーカルが鮮烈に響く。そして、歪んだ電子音が肌をビリビリ揺らす。キャッチーなメロディは間違いなく歌もの、もっと言えばJ-POPとしても当たり前すぎるくらい当たり前に成立するポップ・センスを持ちながら、エッジィなオルタナティヴ・ミュージックやダンス・ミュージックのエッセンスが色濃く見え隠れする。ロックのフォーマットを良い意味で壊し、新たな価値観を創出してきたサカナクションの新たな境地は、またもめちゃくちゃ刺激的だ。

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刺激的な場面はまだまだ続く。ベースの草刈愛美がサンプラーを駆使してエレクトリック色をさらに濃く加えた「ホーリーダンス」から、山口は緑色の光を放つカオスパッドを手にし……。ステージ上には、揃いのゴーグルを着用して様々なデジタル機器を駆使するメンバーが整列! 身体を芯から揺らすデジタル・サウンドの音圧と、会場を埋め尽くすレーザー光線の鮮やかな色彩……。「montage~ホーリーナイト」のパフォーマンスはもう完全に、ライヴ・ハウスのそれではなくクラブ的な様相だ。かと思えば、「ルーキー」のイントロでは草刈とギタリスト岩寺基晴が和太鼓奏者のごとくスティックをふるいパーカッションで重々しい鼓動を奏で、フロアの人波もそれに合わせてさらに激しく揺れまくる。あの手この手でオーディエンスを驚かせる音色とパフォーマンスの連発に、一瞬も目を離せない。

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山口「本編でズラズラズラッと聴いていただいた、観ていただいたこのエンターテインメントはですね、"今のサカナクション"でございます。楽しんでいただけたでしょうか?」

本編では、MCはほんの一瞬のみ。メンバーが演奏する楽曲と、その世界観を、多彩な照明や映像を駆使して演出する、"今のサカナクション"”超エンターテインメント・ステージに、アンコールでは会場から惜しみない歓声があらためて贈られた。

「こういうアイデアを出し合うミーティングみたいなのはツアーの前にあるんですけど、僕が悪ふざけで色々言ってみるんですよ。例えば、「空中ブランコ乗りたい!」とかね(会場笑)。そういうふざけたアイデアを、僕達の"チーム・サカナクション"のみんなは真剣に聞いて、それをどうエンターテインメントに変えていくかっていうのを一緒に議論してくれます。で、こうやって皆さんにショウを、ライヴを届けることができてます」

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このステージを作った"チーム・サカナクション"への大歓声であらためて包まれるZEPP TOKYO。そのアンコールでは、メンバー全員がツアー・ファイナルを迎えられたことへの感謝を伝えるとともに、山口がギターで先導してドラムの江島に「夜の東側」や「フクロウ」を歌わせちゃったり(笑)。こんな楽しい遊び心が観られるのも、ライヴならではの醍醐味だ。さらに、笑顔で包まれるZEPP TOKYOに、13ヶ所15公演を展開する秋の全国ツアーと、関東では11月6日に幕張メッセへ初進出することも報告! ジャンルやカテゴリーの壁を壊して、"チーム・サカナクション"のエンターテインメント・ショウはたゆまない進化を続けている。「目が明く藍色」の雄大なアンサンブルでエンディングを飾った"今のサカナクション"のステージは、幕張メッセでもさらなる迫力で展開するはずだ。彼らの新たな表現を目の当たりにできる日に、大いなる期待を注がないわけにはいかない!

Text : Toshitomo Domei
Photo : Daisuke Ishizaka (Hatos)



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