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LIVE REVIEW

80kidz "THIS IS MY SHIT TOUR '09"

2009.6.23 (tue) @ LIQUIDROOM ebisu, Tokyo

今やジャパニーズ・エレクトロ・シーンに限らず世界中から注目を浴びている3ピース・エレクトロ・ユニット、80kidz。Ali&、JUN、MAYUの3人からなるこのユニットは、07年にDJユニットとしての活動をスタートさせ、オリジナル・ミックスCDやクラブミュージック・マナーに乗取ったオリジナル・アナログ音源のリリース、また国内外の著名アーティストのリミックスを手掛けることで、まさに飛ぶ鳥落とす勢いでその人気と知名度を上げてきた。そんな彼らが待望の1stフル・アルバム『This Is My Shit』をリリースし、東名阪をツアー敢行。意外にも国内では数少ない彼らのライヴセットをレポートする。

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彼らの主催するレーベル"Kidz Rec"所属のDJがフロアをあたためると、緩めのブレイク・ビーツと共に幕がひらき、Ali&、JUN、MAYUが登場。Ali&がシンセサイザーを鳴らし始めると待っていましたと言わんばかりの歓声がひろがり、繰り返すフレーズに観客が身を揺らし始めた。正直当初3人の音のバランスがとれていなく、全体の鳴りとして物足りなさを感じたが、それは演奏が進むにつれ徐々に、3人がシンクロしだし、それにまた観客がシンクロし、体を突き動かされるに充分な鳴りとなった。「最後まで楽しんでいってください」と今までKeyを担当してたMAYUがMCをすると突如ハンドマイクになり、今回のアルバムのタイトル曲「This Is My Shit」が始まる。

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序盤はミニマルな展開ながらも、歌いながら客を煽るMAYU。それにエモーショナルなシンセの音が入るとさらに激しくなり、それにあわせて会場の温度はさらに上昇するばかり、沸点に達するという直前でDJがカットインで曲をつなげるかの様に彼らの代表曲「Fxxk Fox」へ繋がる。確信的に投下されたキラーチューンに会場は早くもピークタイムへ、ブーミーなベースラインでヘッドバンキングする観客や、拳を突き上げ歓声をあげて踊る観客。こんな光景はクラブでも、ライヴハウスでも見たことがない、完全に80kidzのオリジナルな空間と化した。
エモーショナルなフレーズにタイトなビートとベースが印象的な「Miss Mars」、彼らとも交流のあるautoKratzをフィーチャーした「She」とつづく、繰り返されるフレーズは切なさや色々な感情を喚起させ、たびたび起こるブレイクにその感情を爆発させるかのような激しい歓声があがる。

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そんな激しい一面を見せたかと思うととても親しみやすい感じで「みなさんも歌ってください」とMCをし、THE SHOES「KNOCK OUT!」の80kidzリミックスを演奏、去年のサマソニにも出演したTHE SHOESだが、彼らの初来日は80kidzプレゼンツのもと行われた。彼らとしても思い入れがあるのだろう、当初の緊張していた様子は消え、とても楽しそうに演奏してみせた。

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ライヴセット用に、CDとは違うアレンジがされたトラックに観客は焦らされたり、高揚させられたりし、さらにMAYUがタンバリンをもってあおるなど、時折POPな一面もみせてくれる。ダンスフロアでもモッシュピットでもないけれど、その二つに感じるハッピーさが80kidzのステージには溢れているのだ。
彼らの出世曲「Disdrive」では感涙して、うまく演奏できないMAYUを観客が応援するなど、微笑ましいシーンも。抜群に完成したアートワークやイメージを彼らは持っているものの、蓋をあけてみればとても親しみやすく、いろんな表情で私たちを楽しませてくれる。このツアーのタイトルでもあり、アルバム名でもある『THIS IS MY SHIT』。それは海外のスラングを背伸びして使っているわけでもなく、ましてや日本人的な謙遜などでも全くない。彼らなりのユーモアを含んだオリジナルの表現であるのだ。それは80kidzの音楽自体を表現しているかのように思えた。

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彼らは最新の音楽的手法でアプローチをしているが、彼ら自身は音楽の根源的な愉しみ方を知っているのだ。ここ近年のトレンドとなっているロックとダンスの融合を彼らオリジナルの方法で作品にし、それを音源とライヴの両方で違った面を魅せるといった特異なスタイルが彼らの強みだと感じた。そしてそれがさらに熟成したとき80kidzはクラブ・シーンとロック・シーンをリアルに繋ぐ、新世代のパイオニアとなるだろう。

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Text : Chihiro Onodera
Photo : Ryota Mori

Set List
01. Intro
02. Go Mynci
03. Flying Buttress
04. Turn Baby Turn
05. This Is My Shit
06. Fxxk Fox
07. Yellow Rambler
08. Miss Mars
09. She
10. Arab.Hertz Club
11. Frankie
12. Knock Out
13. Alt A
14. Fait La Danse
15. Stay The Same
16. Disdrive
17. Life Begins At Eighty


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