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LIVE REVIEW

BRAHMAN "Tour AUTONOMY FINAL"

2008.7.6 (sun) @ JCB HALL

傑作4thアルバム『ANTINOMY』を引っ提げて、全国40公演を回ったツアー“AUTONOMY”の最終公演。できたばかりの東京ドームシティJCBホールは、ステージ前にスタンディングのアリーナが広がり、それを取り囲むように3階建てのバルコニーがそびえているという造り。ライヴハウスとは異なった荘厳な雰囲気が、ファイナルへの期待を否が応でも高めてくれる。

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案の定、スタートからいつもとは違う趣だった。おなじみのSEもないまま現れた4人は、じつにさりげなく「Kamuy-pirma」の演奏に入る。静かに緩やかに、じんわりと歌が染みる、特別派手な盛り上がりのない一曲だ。肩透かしを喰らったままの観客を驚かせたのは、その終了直後にいつものSEが流れ、ステージ前に降りてきた白幕に映像が映し出されるという演出だった。ツアー中に録りためた映像なども含んだ内容は、この数か月に対する万感の思いを託した、メンバーおよびスタッフが精魂込めた演出のひとつだったはず。だがそんな思いをあざ笑うかのように映像の途中で白幕があっけなく落下。突然のアクシデントに固まり、え、何事?とクエスチョンを浮かべるしかない観客。まさしく最悪の事態だが、落ちてしまった幕と鳴り続けているSEはどうしようもない。結果的に2曲目の「The only way」から4人はいつもどおり激しいパフォーマンスに突入していったが、どこか荒々しいプレイには悔しさが滲んでいたし、暴走寸前のエネルギーは張り詰めた緊張感というよりも火事場のクソ力みたいなニュアンスが強かったように思う。

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ただもちろん、そんなトラブルで崩れてしまわないのが今のブラフマンだ。重いスネアに確かな存在感を宿したRONZIはもちろんだが、全身を使って暴れるMAKOTOがどれだけ頼もしい躍動感を出しているのか、また複雑な音色を使い分けるKOHKIのギターがどれほど大胆に全体を引っ張っているのか、それぞれの重要性がはっきりと浮き彫りになっている。そして特筆すべきはTOSHI-LOWの歌心。もともとアクションの激しさや肉体美に注目が集まりがちだった、いわばパフォーマーとしての評価が先行するヴォーカリストだが、この日の彼は誠心誠意で歌い、その歌を客席の隅々にまできっちり届けようとしているのがよくわかった。歌から逃げないこと。肉体的興奮と同じ熱量でメロディに向かうこと。そんな変化がこのツアーの収穫だとすれば、ブラフマンは本当にいいライヴ、いいコミュニケーションを重ねてきたのだと思う。精神的な強さだけでなく、今なお成長しようとする音楽的な向上心。当たり前の話かもしれないが、この努力なしにバンドは続かないし人気だって維持できるわけがない。「ファイナルだから」という演出がダメになってしまったからこそ、剥き出しになったバンドの本質と体質がよく見えてきたのだ。

また最高だったのは、本編とアンコールを経てもう一度敢行された、オープニングのやり直しである。客席を半分外に出して舞台スタッフが幕を張り直すなど手間はずいぶんかかったし、結果的に1時間も客を待たせたことには是非もあるだろう。だが、改めてきちんと流れた映像の圧倒的な美しさ、そして2度目の「The only way」が終わった後にTOSHI-LOWが言った「失敗しても何度だってやるよ。ありがとう」の一言に、ブラフマンというバンドの持久力と忍耐力、説得力と求心力のすべてが表れていた気がする。こんなにも不器用でタフで打たれ強く、結果的に何よりドラマチックになってしまうバンド、絶対に他にはいないのだから。

Text : Eriko Ishii
Photo : Tsukasa Miyoshi


Set List
01. Kamuy-Pirma
02. The Only Way
03. Speculation
04. Epigram
05. You don't live here anymore
07. THE VOID
08. BASIS
09. Handan's Pillow
10. 逆行
11. Oneness
12. Stand aloof
13. Causation
14. BEYOND THE MOUNTAIN
15. DEEP
16. NO LIGHT THEORY
17. SEE OFF
18. NEW SENTIMENT
19. 時の鐘
20. A Silent Day
21. Fibs in the hand
-Encore 1-
22. A WHITE DEEP MORNING
23. FOR ONE'S LIFE
24. SHADOW PLAY
25. ANSWER FOR
26. ARTMAN
-Encore 2-
27. TONGFARR
28. The Only Way

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