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LIVE REVIEW

the band apart "4th album『Adze of penguin』release live SMOOTH LIKE BUTTER TOUR FINAL"

2008.7.13 (sun) @ MAKUHARI MESSE EVENT HALL

今年4月に、各楽器の放つ一音一音に確かな手触りを感じられる、4枚目にして最高傑作となった『Adze of penguin』をリリースしたthe band apart。東京・JCBホールからスタートした本作を携えてのツアーは、この最終日、幕張メッセ・イベントホールで33公演目。MCで荒井岳史(Vo,G)、原昌和(B,Cho)が何度も「ありがとう」と口にしていたように、全国を隅々まで回り駆け抜けてきたツアーの最終日であり、(幕張メッセという看板には興味はないものの)これまでで最大のキャパとなる会場いっぱいに詰め掛けた観客を前に、彼らも感慨深げだ。

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ステージ後方には、機材車やその荷物などがセッティング途中のように放置され、ツアーで各地を回り続けるバンアパにとても似合った舞台セットのように見える。その間を抜けメンバーがステージに姿を現すと、最新アルバムの冒頭を飾る「enter」~「falling」でライヴがスタート。ツアー初日にはまだきちんと馴染んでいなかったこれらの曲も、しっかりとダイレクトに心に響いてくる。人気曲「Eric.W」を早々に演奏した後、原が「命をかけて演奏します」とMC。その言葉以上に、この日の彼らのパフォーマンスは雄弁で力強かった。演奏されるすべての曲に存在感があって、観客一人ひとりに曲を届けるように、広い会場の隅々まで歌と演奏が行き渡っていく感覚がある。

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その感覚は、荒井がアコースティック・ギターに持ち替え演奏した「bacon & eggs」と「Pieces of Yesterday」で、静けさとダイナミズムを行き来する曲間からも滲んでいて、演奏のうまい下手に関係なく(実際、彼らほど高いテクニックを誇るバンドはなかなかいないのだけど)、原のMCに集約される、4人の音楽への、そして観客への熱い思いが感じられる。

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ライヴ後半「beautiful vanity」で突然、川崎亘一(G)がステージを駆け下り、フロア中央でいっそう激しい演奏をして、「from resonance」「coral reef」「waiting」で、一瞬も見逃がすことのできないライヴが終了。鳴り止まない拍手に応えて登場したアンコール「k. and his bike」での、力尽きたように座り込んでベースを引き続ける原の姿や、Wアンコールの「quake and brook」で今度はアリーナ後方のPA卓まで移動した川崎が、ライヴが終了した瞬間に周囲のスタッフに抱きついている姿には、会場にいたすべての人が、その思いを共有したはずだ。

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以前、「いい音楽をやりたくて楽器や機材にこだわった時期もあったけど、今は、音楽イコールその人でしかないっていうことがわかった。だから、自分の存在がいかに音楽しているか、自分がいかに音楽そのものになれるかが重要だ」と、あるアーティストが語っていた。この日のバンアパのライヴはその言葉をまさに体現していたと思う。もちろん音楽的なセンスやテクニックは必要だけれど、それらを手に入れてさらに、言葉や認識を超えたところで音楽を伝える彼らの存在の大きさと、その音楽の持つ普遍性を感じたライヴだった。

Text : Ayumi Tsuchizawa
Photo : Rui Hashimoto


Set List
SE-enter
01. Falling
02. I love you Wasted Junks & Greens
03. Eric.W
04. night light
05. July
06. led
07. Cosmic Shoes
08. Shine on me
09. FUEL
10. bacon & eggs
11. pieces of yesterday
12. Malibu
13. Moonlight Stepper
14. higher
15. cerastone song
16. ANARQ
17. beautiful vanity
18. from resonance
19. coral reef
20. waiting
-Encore 1-
21. can’t remember
22. in my room
23. k. and his bike
-Encore 2-
24. quake and brook

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