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LIVE REVIEW

American Football Live In Tokyo 2015

2015.6.30 (tue) @ Shibuya TSUTAYA O-EAST, Tokyo

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90年代後半に1枚のシングルと1枚のアルバムを残し解散したUSエモ・シーンの伝説的バンド、American Football。昨年届いた再結成&ツアーの電撃的ニュースに驚いたのもつかの間、まさかの日本公演の実現に涙した方も多いことだろう。この前日に行われたO-EAST公演はソールド・アウト、追加で発表されたこの日もフロアは満杯の状況だった。

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カラオケのビデオを模した映像とともにチャーミングなパフォーマンスを見せてくれたBirthmark、終始ストイックに硬質なアンサンブルで圧倒したBraidに続き、ステージにファースト・アルバムのモチーフとなった家の写真のバックドロップが掲げられる。おもむろにメンバーが登場し、オープニングはシングルのラストに収録されたインストゥルメンタル「Five Silent Miles」。清涼感溢れるイントロから「The One With the Tambourine」。精緻を極めたアンサンブルと、透き通るマイク・キンセラのヴォーカルが響き渡る。続いてセンチメンタルな「Letters and Packages」とシングル全曲を演奏した前半のあとは、アルバムからの選曲となる。「Honestly」からドラムのスティーヴ・ラモスの美しいトランペットから始まる「Sure」という流れで表現されるイノセントには鳥肌が立った。

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昨年デラックス・エディションで再発されたファースト・アルバムのエヴァーグリーンな印象のまま名曲群がプレイされる中盤、その再発盤にボーナス・トラックとして収録されていたブログレッシヴなインスト「The 7's」から「Stay Home」への展開には──もちろん、再結成発表後各地でのライヴを続けていたわけだけれど──とても15年休んでいたバンドとは信じがたいアンサンブルの構築と瑞々しさがあった。そう、美しいメロディライン以上に彼らがリズムに並々ならぬ研ぎ澄まされた感覚を発揮していたことは再発見だった。スティーヴのドラミングはもちろん、タンバリン、マラカスとパーカッションを随所に用いて音像に広がりを生み出していた。

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本編最後はアルバムのラスト曲「The One With the Wurlitzer」。おそらく全ての楽器がテクニックを発揮したおそろしく高度なプレイをしているのだと思うけれど、それをテクニカルに感じさせないエモーションと情景の見え方、それこそがAmerican Footballが長きに渡り愛されてきた理由なのではないかと、淡々と演奏を続ける彼らの姿から感じた。

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アンコールに応えた彼らは、まさにこのタイミングにふさわしい歌詞を持つ「The Summer Ends」、そして「Never Meant」をプレイ。「So let's just pretend / everything and anything / between you and me / was never meant」というサビをシンガロングできたことは、この場所にいた全てのオーディエンスの記憶に永遠に残ることだろう。次回はぜひ新曲を、そして野外のステージで彼らのリリカルな音を味わってみたい。

Text : Kenji Komai
Photo : Kazumichi Kokei

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