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LIVE REVIEW

OGRE YOU ASSHOLE "OGRE YOU ASSHOLE LIVE 10th anniversary"

2015.7.12 (sun) @ Akasaka BLITZ, Tokyo

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彼らほど、マイペースに自分たちの活動のスタンスを保ちオリジナリティを築き上げてきたバンドはいないだろう。10周年を迎えたOGRE YOU ASSHOLE、BLITZのステージは幕が降ろされた状態で、発売されたばかりのライヴ・アルバム『workshop』と同じく「ロープ (meditation version)」からスタートした。

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妖しい雰囲気を持つ「いつかの旅行」からヘヴィーなダブワイズが繰り広げられる「素敵な予感(alternate version)」と、アニヴァーサリーの祝祭感をいきなりぶった切るような選曲に驚く。そしてダンサブルな「見えないルール」が始まるところで、バンドの後方から照らされるライティングとともにようやくステージ前の幕が開く。

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現在のオウガを象徴する高揚感とサイケデリックな意匠をまとう『ペーパークラフト』収録のこの曲に続き「ムダがないって素晴らしい」「フェンスのある家」とパーカッシヴなアレンジメントが印象的なナンバーが繰り出される。

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この日もいつものように出戸のMCは少なめだったけれど、10周年ということで、と前置きしたうえで中盤は初期のナンバーがプレイされた。「クラッカー」「真ん中で」「フラッグ」と現在の彼らのアンサンブルで奏でられる楽曲には、オウガというバンドの持つ普遍性と同時に、ここ最近のディープさといい意味での軽さを兼ね備えた変幻自在のサウンドの構築からすると、よりシンプルさが際立つ。

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ストレートにロックな「コインランドリー」「ピンホール」そしてざっくりとしたガレージ感を生む「アドバンテージ」、「しらない合図しらせる子」。USインディーを中心に貪欲に様々なジャンルを飲み込んできた彼らなりの「初期衝動」と形容したくなる楽曲たちをあらためて聴くと、不器用すぎるほど自分たちの音にこだわり鳴らしてきたオウガというバンドの核の部分はこの時点で確固として存在していたことを感じる。

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そして、明らかに彼らにとってのターニングポイントとなったナンバーであろう『100年後』収録の「夜の船」。切ないメロディと浮遊感、そこにほのかな諦念を忍ばせたリリックが重なる。それまで歌詞において明確なバンドとしてのヴィジョンを表明することをあえて避けてきた感のある彼らが、この時期よりリリックで描く世界観についても変化を見せた象徴的な楽曲だ。

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「あと2曲です」という出戸のMCの後、「ロープ (long version)」。バンドの生み出すグルーヴ感と、満員のBLITZのオーディエンスの興奮が一体化して大きなうねりが生まれる。何度も彼らのライヴで聴いてきたけれど、この曲の驚嘆するスペクタクルが最大限発揮されたパフォーマンスだった。熱が冷めないステージに出戸ひとりが残り、ラジカセからトラックを流し、「他人の夢 (coda)」を歌い始める。先ほどの狂騒から一転、まさかのローファイな展開に驚きつつも、新しい音像の実験を重ねていく、彼ららしいエンディングとなった。

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再びステージに登場した4人は、「バランス」を披露。陽性のムードを持つこの曲をアンコールに用意したのは、ストイックな彼らならではの10周年のオーディエンスへのサービスなのだろう。さらなる10年後もきっと変わらぬ音の探求を続けているに違いないと思わせる、素晴らしい夜だった。

Text : Kenji Komai
Photo : Takeshi Hirabayashi() / Nami Maruyama()

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