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LIVE REVIEW

COCOBAT "COCOBAT 20th Anniversary 『COCOBAT CRUNCH』"

2011.7.17 (sun) @ LIQUIDROOM ebisu

「ザッカザカで超ブリブリ」とは、COCOBATのデビュー・アルバム『COCOBAT CRUNCH』の帯に付いていたコメントだ。これほど彼らの血沸き肉躍るサウンドを簡潔に言い得たキャッチ・フレーズもないだろう。そのザッカザカで超ブリブリ伝説が、今年20周年を迎えた。それを祝して、現COCOBAT VS オリジナルCOCOBATの2部構成で、「歴史とは現在と過去との対話である」という有名句をそのまま体現するプレミア・ショウが開催された。当初このライヴは4月に行われる予定だったものの、震災の影響で3ヵ月延びたため、首を長くして待っていた!と言わんばかりの筋金入りのファンが大挙して押し寄せていた。

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初陣は現COCOBATが飾り、音が鳴った瞬間、雷鳴が迸るような音のデカさに先制パンチを食らう。RYOの手数の多い精確無比なドラミングは躍動感満載だし、坊主頭のHIDEKIはハードコア風のダミ声で吠え、TAKE-SHITは筋肉隆々の上半身裸にハーフ・パンツ姿でスラップ・ベースの嵐を吹かせ、ほかのメンバーよりも年齢が若いSEIKIは正統派メタルの血を受け継いだ流麗かつ叙情的なギター・プレイで弾き倒す。各々が相手の顔色を窺うことなく、好き放題に爆音を響かせる様は痛快極まりない。音的にはメタル、ハードコアの要素を踏まえながら、特定の枠に収まり切れない轟音グルーヴを吐き出している。そこが最大の魅力と言えるだろう。後半にはHIDEKI抜きの演奏陣3人による壮絶なインスト・ナンバーを披露し、ゴリゴリと執拗に畳みかける音像に圧倒された。また、「GHOST TREE GIANT」などのドラマ性の高いメロディアスな楽曲も聴き応え十分で、押し一辺倒だけではない側面も猛烈にアピールした。終盤は「TSUKIOOKAMI」、「GERONIMO」と激重ナンバーで盛り返し、最後はこれを聴かずには終われない「GRASSHOPPER」でトドメを刺した。メンバーも体の一部のように染み付いた楽曲だけに演奏のキレ具合は凄まじく、モッシュで応戦する観客の暴れっぷりも壮観だった。

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さあ、次は01年10月に新宿ロフトで一夜限り行われた『TRIPLE CRUNCH ~BACK TO THE 1991~』以来となるオリジナルCOCOBATによるライヴがようやく幕を開ける。あれから10年の月日を経て、現メンバーのTAKE-SHITを含むオリジナル・メンバー3人がステージに出揃うと、場内のザワザワ感はより一層高まった。

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背筋がピッと伸びたままシャープなドラムを叩くHIROSHI(2代目ドラマー)、前屈みでガニ股風にステップを踏みながら鋭いナイフのごときスラッシーなリフを弾くSUZUKI、右手を胸に当てつつ真正面を見据えて熱唱するRYUJIの姿といい……、見た目を含めたオーラや実際に鳴らされるサウンドは、現COCOBATとは全く別物だ。その"同名異種"感は、続けて観ることでさらに鮮明になった。特にSUZUKIとTAKE-SHITの丁々発止のやり取りは迫力満点で、今聴いても古臭さは皆無、むしろ新鮮な印象さえ受けたほどだ。90年代前半、まだまだ日本のラウド・シーンという言葉もなかった頃、未知の領域に素足でガンガン突き進んでいったスリリングな興奮が音に溢れ出ているのだから。イビツで粗削りかもしれないが、ロックが持つ野蛮な臭いがギラギラした生命力をまとって輝いていた。また、フィジカルに訴える衝動的なサウンドは、ステージ・ダイヴを誘発し、フロアをものすごい勢いで蹂躙していく。本編終盤にプレイされた「COCOBAT CRUNCH」は、この4人ならではの息遣いを封じ込めた荒々しさで、シビれるほどかっこ良かった。

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普通のバンドではちょっとあり得ない、メンバー入れ換わり形式の新旧COCOBAT対決はあっという間に終わった。もう二度と観れない(かもしれない)内容だけにこの場にいた観客のほとんどが記憶の底に焼き付けたことだろう。改めて、今も昔もずっと鼓膜をつんざく強烈なオリジナリティを放ち続けていたことに驚きを禁じ得ない。ノスタルジックな感傷気分を遥か彼方に吹き飛ばす、生々しすぎる爆音に終始震えが止まらなかった。

Text : Ryosuke Arakane
Photo : Ryo Nakajima (SyncThings)



COCOBAT OFFICIAL Myspace

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