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LIVE REVIEW

NANO-MUGEN FES.2011 Day 1

2011.7.16 (sat) @ YOKOHAMA ARENA
ACTs : ASIAN KUNG-FU GENERATION / THE RENTALS / THE YOUNG PUNX! & PHONAT / WEEZER / ASH with Kensuke Kita / the HIATUS / 磯部正文BAND / ねごと / オオルタイチ / WE ARE SCIENTISTS

「ASH、WEEZER……、僕らが10代のときに入れあげていたバンドを迎えられて、とても嬉しい」とゴッチ(Vocal / Guitar)は感慨深げに語っていた。自分たちが憧れていたアーティストを、自分たちのフェスに招き、横浜アリーナを隅々まで満杯にする。"NANO-MUGEN FES."は、国内外のバンドを招聘したバンド主導のフェスとしては間違いなく日本で最大級の規模だろう。ミュージシャンにとって、ひとつの理想郷を現実にしたASIAN KUNG-FU GENERATIONの人気と信頼は揺るぎない。ただそれもそのはずというか、会場内にもバンド側のきめ細かな心遣いが毛細血管のように張り巡らされていた。ゴッチ愛用の眼鏡が展示(実際にかけることもできる)、伊地知潔(Drums)が使用していたドラムが年代順に設置され、ゴッチ自ら編集長を務める未来新聞『THE FUTURE TIMES』が壁に掛けられ、ほかには被災地に対するアーティストメッセージ(募金箱)や、アジカン推薦と銘打たれたフード・エリアなど趣向が凝っており、どこもすごい人だかりだった。

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ライヴは言うに及ばず、どのアクトも実に見応えがあった。ここでは初日の模様をお伝えしよう。WEEZERの曲をSEに登場するつもりが、うまく機能せず、「ごめんね」の謝りの言葉からはじまった磯部正文BAND。ソロ作からHUSKING BEE時代の曲まで散りばめた選曲で、イッソンの力強くも滋味豊かな歌声は大舞台でも格段に映えていた。「アリーナの曲やります。そんなのアリーナ~♪」と突然歌い出す茶目っ気ぶりも見せ、観客の笑いを誘う。さらにアジカンがカヴァーしたハスキン・ナンバー「欠けボタンの浜」も披露し、観客の心を鷲掴みにしていた。

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そのアジカンの喜多建介(Guitar / Vocal)をフィーチャリングしたASHは、「ケンチャン、イッショニデキテ、サイコー!」とTim(Vocal / Guitar)も上機嫌の中、重厚なサウンドをパワフルに響かせる。「Kamakura」からラストの「Burn Baby Burn」まで甘美なメロディとタイトな演奏で突っ走る。喜多もバンド・サウンドに違和感なく溶け込んでおり、ここでしか観れないスペシャルな演出に会場のテンションは上がりっぱなしだった。

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熱くなった場内を違う形で盛り上げたのはthe HIATUSだ。最新シングル「Hatching Mayflies」の全3曲を織り込んだセット・リストは、やはり以前の彼らとはまた違う雰囲気を醸し出していた。初っ端から細美武士(Vocal / Guitar)はアコギを持ち、静謐な白銀世界を見せてくれるような「Snowflakes」で幕を開け、会場を一瞬で自分たちの世界観に染めていく。さらに「Bittersweet / Hatching Mayflies」で聴けるファルセット・ヴォーカルは、"人間オーケストラ"と命名したくなるほど壮大なメロディを歌い上げ、ほれぼれするような素晴らしさだった。終盤は「The Ivy」、「Insomnia」ときっちりロック・モード全開で鮮やかに締め括った。

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そして、トリ前に登場したアジカンは淡々とプレイに没入しているようで、歌と演奏の一音一音に魂がこもった熱演を繰り広げる。観客も歌い、拳を上げ、ハンドクラップで応えるなど、会場全体が一体化した光景はなにより美しかった。

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「震災があって、今年はできないんじゃないかと思ったけど、自分の中の復興というか、2日間ここで音を鳴らせば何とかなるんじゃないかって」とゴッチがこのフェスに希望の光を見い出した心境を告げると、多くの人が真剣に聞き入っていた。それから「ループ&ループ」、「リライト」、「君という花」、「ソラニン」と名曲を連発する後半の流れは、ハイライトのひとつと言える盛り上がりだった。

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最後はWEEZERが務め、Rivers(Vocal / Guitar)は登場するや紙袋から映画「おくりびと」のDVDを取り出し、「ニホン、ダイスキデス」と言い放ち、ショウはスタート! しかし曲間に「崖の上のポニョ」を歌い出すわ、2曲目が終わればステー下に降りて、カメラマンのカメラを取って観客を撮影したり、やんちゃなワルガキのごとく暴れ回る。かと思えば、さらっとステージに戻り、「My Name is Jonas」で感動と大合唱の渦を巻き起こすのだから、もうある意味無敵の存在感だ。後半に再びRiversはステージ下に降り、右から左へと会場を走り回り、客席内で歌ったり、溢れんばかりのサービス精神で観客に笑いと驚きをもたらす。アンコールではRADIOHEADのカヴァー「Paranoid Android」、ラストは「Buddy Holly」を披露し、「ガンバッテ、ジャパン!」と底抜けの明るさで叫ぶRiversの言葉が実に印象的だった。


Text : Ryosuke Arakane
Photo : TEPPEI (磯部正文BAND / ASH with Kensuke Kita / WEEZER) / Kazumichi Kokei (the HIATUS / ASIAN KUNG-FU GENERATION)




"NANO-MUGEN FES" OFFICIAL WEBSITE
ASIAN KUNG-FU GENERATION OFFICIAL WEBSITE


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