2009.8.9 (sun) @ YUMENOSHIMA RIKUJOU KYOUGIJOU, Tokyo
昨年スタートした夏の野外フェスティヴァル"WORLD HAPPINESS"が今年も夢の島で開催された。入場者にはレジャーシートが配られたように、緑豊かな公園内に設置された会場で、親子連れもゆったりと楽しめるフェスとしてますます人気を集めるこのイヴェント。今年は約1万4千人が詰めかけた。
今年のトピックはなんといっても、Yellow Magic Orchestraの出演! HASYMOなどでの活動はあったものの、YMO名義では日本でのライヴが16年ぶり。幅広いミュージシャンが出演する中でも、やはりYMOを目当てに足を運んだファンは多かったよう。
会場にはセンターとレフト、2つのステージが設置され、まずはレフトにコーネリアス、くるりなどのサポートで知られるドラマー、あらきゆうこのユニット、mi-guが登場。タイトなドラムと歪んだギターによるスペーシーなサウンドに、時折はさまれる無機質なヴォーカルが、まるで映画のサントラのようだった。
pupa
パフォーマンスと共に、オープニングを祝福するような拍手に続いて、メインには、高橋幸宏率いるpupaが。フォークトロニカというサウンドの枠を広げていくような、力強くも繊細なプレイで、一気に観客の心を掴んでいく。涼やかな歌声を響かせた原田知世の存在も大きかっただろう。
LOVE PSYCHEDELICO
坂田学と村田シゲという強力サポートを迎えて軽やかな歌声を披露したコトリンゴの後に登場したのは、LOVE PSYCHEDELICO。「Freedom」「Last Smile」などヒット曲のオンパレードで、ここにきて夏フェスにふさわしいストレートなロックを客席に放つ。かと思えば、「Lady Madonna」とYMOのカヴァー「NICE AGE」をミックスするなど、すべてのファンを満足させるセットリストだったと思う。
そして、こちらも「ベステンダンク」「虹の都へ」「夢の中で会えるでしょう」といった大ヒット曲を惜しみなく披露し、デビュー20周年を迎える存在感を示した高野寛。終始、大合唱とハンドクラップが鳴り響く、温かなステージだった。続いては、まりんことY.Sunaharaがセンターステージに出演。景色を切り取ったような映像と、オーガニックなエレクトロをシンクロさせていく。
ASA-CHANG&巡礼
このあたりから、それまで歌モノ中心だったラインナップが変化を見せ、次に現れたのは、パーカッション用のマイクに顔を近づけて、「低いところから失礼します」と、会場の爆笑を誘ったASA-CHANG&巡礼。笛やタブラのあまりにもテクニカルな演奏に、会場には息をのむような緊張感がみなぎる。そしてそれらのアコースティックな楽器が生む緩やかなグルーヴが、その緊張感をいつの間にか運び去っていた。
スチャダラパー
こちらもフェス対応のセットリストだったのが、スチャダラパーとロボ宙だ。「今夜はブギーバック」を皮切りに、「Get Up And Dance」「Hey! Hey! Alright」「サマージャム'95」、そして合間には時事ネタを盛り込んだMC(&癒し系の映像)など、さすがと言いたくなるほど完璧な盛り上げ。後に続く、いとうせいこう、かせきさいだぁ≡らによるユニット、THE DUB FLOWERへみごとなバトンタッチだった。これがお披露目ライヴとなった彼らは、思った以上にダビーなサウンドと、いとうによる強烈なメッセージが鮮烈。BOB MARLEYの「EXODUS」から井上陽水の「傘がない」を繋ぐアレンジも秀逸だ。
そして、高桑圭、白根賢一ら凄腕メンバーをバックに、Charaが登場。「やさしい気持ち」「Junior Sweet」など、会場からも歌声が響く代表曲から、リリースされたばかりの新曲「Breaking Hearts」までを熱唱。メロウなサウンドと甘くせつない歌声が夕暮れに似合っていた。
グラノーラ・ボーイズ
揃ってアロハシャツで現れたのは、キリンジの堀込高樹を中心に田村玄一、矢野博康らによる新バンド、グラノーラ・ボーイズ。MICHAEL JACKSONの「I CAN'T HELP IT」、黒澤映画『どですかでん』の主題歌などをハワイアンなアレンジでカヴァーするなどマニアを唸らせる選曲も、この顔ぶれなら納得。
そろそろヘッドライナーに近づき、観客のざわめきも大きくなってきたころ、ムーンライダーズのステージがスタート。ここまでさまざまなアーティストが登場したにも関わらず、その個性を一際感じたのは、鈴木慶一の真っ赤なサッカーウェアのせいだけじゃないだろう。サポート・ドラムを迎え、サイケなロックンロールを聴かせたかと思えば、ラストにはサッカーボールを蹴り込むなど、過剰で、猥雑で、ライヴが進むにつれさらにパワーが増していくような力強いステージだった。
大御所たちに挟まれ、早くも代表曲となった「LOVEずっきゅん」をはじめ、未発表曲「ペペロンチーノ・キャンディ」など5曲を披露した相対性理論。この後に控えるYMO目当てのファンも合わせて、大スクリーンに映し出されない彼らの顔を見ようと、観客がステージ前へと押し寄せていく。
Yellow Magic Orchestra
そんな中、いろいろな意味でもこの日のハイライトとなったYellow Magic Orchestraが、小山田圭吾、高田漣、権藤知彦といったゲストとともにステージに登場。THE BEATLESのカヴァー「HELLO, GOODBYE」による幕開けに一瞬どよめきも起こったけれど、高橋幸宏のメロウなヴォーカルや、細野晴臣のファンキーなベース・プレイは、本当に圧巻だ。6人はその音楽性を漲らせたまま、坂本龍一の「Tibetan Dance」や高橋の「Still Walking to the Beat」などソロ曲を織り込みながら、アンコールの「Fire Cracker」までを駆け抜けた。アンコール後に打ち上がった花火を見ながら、駆けつけたファンたちも、様々な名義での活動を経てバンドがようやくこの日のライヴへと至ったのだという実感を心から持てただろう。そして、ここからYMOの本格的な活動が始まるのだと改めて確信したはずだ。
Text : Ayumi Tsuchizawa