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LIVE REVIEW

LOSTAGE "LOSTAGE TOUR"

2010.8.15 (sun) @ Shibuya CLUB QUATTRO, Tokyo

五味岳久(兄)によるTwitterなどで描いたファニーな似顔絵イラスト(通称:五味アイコン)が展示会を開くほど話題になる以前、バンド本体は決して笑っていられない状態であった。昨年末に中野博教(Guitar)の脱退を受け、今年初めに3人編成での活動続行を決意する。そこには踏み固められた安全な道よりも、難儀でも危険な荒野に進んで行こう、とする強い意志を感じた。バンド名も小文字から大文字に変更し、セルフ・タイトルを冠した新作に伴うワンマン最終日は、新生LOSTAGEの面目躍如たるパフォーマンスを堂々見せつけてくれた。

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空気を引き裂く鋭いカッティングと共に新作の冒頭曲「ひとり」がはじまると、黒髪黒ドレスの女性ダンサーがステージ中央で、髪を振り乱しながら激しく舞い踊る。不穏な激音に妖しい華を添えたような意表を突く演出に、いきなり耳目は釘付けになった。その1曲のみでダンサーは奥へ引っ込み、立て続けに新曲5曲をプレイする流れには現体制に対する自負に満ちているようだった。そう、3人編成になったことで各楽器の主張や個性が浮き彫りになり、プレイ面でも抜き差しやカオティックなせめぎ合いなど、躍動感や息を飲むスリリングな緊張感が高まっている。


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中盤、印象深いベースの音色ではじまる「裸婦」は、ジャジーなムード漂う大人びたナンバーで新たな魅力を際立っていた。音源ではサックスを導入し、プログレ的雰囲気を滲ませていたが、サックス抜きでも楽曲の色気が香り立っている。煌々と回るミラーボールとストリップ・バー風味のダークレッドな照明も曲の雰囲気を盛り立て、とりわけ五味兄の艶めかしい歌声には心底ゾクゾクさせられた。

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そして、これで最後と前置きしながら、五味兄は昨年末のメンバー脱退の件に触れる。音楽的な相違ではなく、人間的にぶつかったと律儀に説明した後、岩城(Drums)が機材者の中に忍ばせたという中野と清水雅也(中野の前のギタリスト)がやっているバンドのデモ音源を聴き、すごく良かったと素直に感想を述べた。「音楽はドロドロやグチャグチャした感情を超えて、心にスッと入ってくる。自分たちの音楽もお客さんの心にスッと入っていきたくてやっている。今回のツアーを通して、この3人でやっていく自信が付いた」と長めのMCを挟むと、「このメンバーを誇りに思う」と五味拓人(弟)が続き、兄の方を向いて「ありがとう」と告げる一幕もあった。

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そんな温かい人間劇場を見せられると、彼らの音がより親密さを帯びてくるから不思議だ。後半には本人自ら"五味アイコン"にも触れ、それを機にバンドを知ってくれる人が増えたのは事実で、前作のファイナル(同会場)を上回る過去最高動員数をこの日は記録した。しかし、"五味アイコン"をずっと続けるつもりはなく、バンドが本業と潔く言ってのける辺りはなんとも彼らしかった。最終曲「手紙」を含め、アンコール2回に及ぶ2時間弱の長尺ライヴ(五味兄弟のお喋りも込み)は、時に暴力的、時に官能的、時に人間的ぬくもりまで滲ませた熱きショウをやってくれた。今のLOSTAGEには一点の曇りもなく、迷いもない。オルタナティヴ・ロックの闇を背に、光の方角に突き進んでいく彼らの姿はかつてなく攻撃的で凄まじく力強い。

Text : Ryosuke Arakane
Photo : Shigeo Kikuchi




NATV : 「「ひとり (IWAKI ver.)」
PREMIUM : Q&A 30 vol.33 LOSTAGE



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