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LIVE REVIEW

LITE "For all the innocence tour"

2011.8.26 (fri) @ Shibuya WWW, Tokyo

最新アルバム『For all the innocence』を引っさげたリリース・ツアーの東京公演へ足を運ぶ前の予習の意味も含めて、あらためてチェックしてみたNew Audiogramでのアルバム・インタヴュー。そこには、この日のライヴでもまさに感じた、LITEというバンドの魅力を物語る言葉が光を放っていた。

井澤 「ジャンルを超えて、新しい音楽を追い求めている人たちのアンテナに引っかかってくれればいいなって思います」

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そう──、2011年8月26日・渋谷WWWで彼らが見せてくれたのは、ジャンルを超えて、新たな刺激や感動を与えてくれる音楽だった。『For all the innocence』のオープニングも飾った「Another World」、そして「Red Horse in Blue」で幕を開けたこの日のステージ。ツインギター、ベース、ドラムひとつひとつの重なりが、静かにゆらめくさざ波を思わせる厳かな音色を奏でる。そして、そのサウンドは厚みと一体感をどんどん増し、美しく、かつ力強い音世界を描いていく。ドラマー山本が立ち上がりながら気合いを込め、圧巻のドラミングを展開した「Human Gift」、軽快なリズムでリフレインするピアノと爆音が融合した「Rabbit」……。そこにあったのは、ロックのダイナミズムを根底に置きながら、シンセサイザーや多彩なSEなど様々なアイデアを駆使してハイヴリッドなサウンドを生み出す、LITEならではのジャンルレスな感覚だ。

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武田 「今日は、たっぷりやりますよ。楽しんで下さい」

チケットがソールド・アウトした報告に祝福の歓声が舞う中で、シンプルな言葉だけれど意気込みが十分伝わるMCを武田は続ける。その言葉どおり、『For all the innocence』収録の新曲を軸に据え、「Ef」や「Infinite Mirror」など既発の人気曲を随所に加えた、ヴォリューム感たっぷりのこの日のセットリスト。その中でハイライトになったのは、今回のツアーで各地の対バンを務めた面々との共演! まずは、avengers in sci-fiとアチコを招き入れての「Pirates and Parakeets」だ。LITEの4ピース・スタイルに、avengers in sci-fiのメンバーはドラム・スティックを振るいさらなるリズム感を加え、アチコは色とりどりのヴォーカル・ワークで重層的なコーラスを響かせる。その音色、リズム、歌声のアンサンブルのなんて躍動的なこと! LITE流のトロピカル・テイストといった雰囲気の中で、ステージもフロアも手拍子で埋め尽くされた。

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武田 「最高の出来だったね!」

もう1曲の共演曲「Ghost Dance」でavengers in sci-fiとアチコを見送った後、LITEのメンバーの表情は一様に昂揚感が浮かぶ。そんなアッパーな空気の中へ、さらに招き入れたゲストはDE DE MOUSEだ。シングルとしてもリリースした「Rabbit」収録のヴァージョンではDE DE MOUSEがリミックスを担当した「Image Game」、そして「Flim」、さらにDE DE MOUSEの「baby's star jam」をこの日は“LITEバージョン”で披露! 美しく広がる音の粒、オリエンタル・ムード漂うメロディ・ライン……。DE DE MOUSEならではのたおやかな音像と、LITEの生演奏によるセッションが生み出すルーヴは、これもまたまさしく、NEW AUDIOGRAMのインタヴューで武田が語ったこの言葉どおりの仕上がりだ。

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武田 「このアルバムを作っているとき、いい意味でいろいろなことを忘れていたんです。例えばポストロックやマスロックのように自分たちの音楽を既定する言葉やジャンルだったり、もっと言えば自分たちがインスト・バンドであるということだったり、そんなことを忘れて、純粋にいい音楽を作りたいという気持ちだけで曲作りに没頭していたんです」

音楽をジャンルでカテゴライズして、その枠の中だけで好き嫌いを判断することほどつまらないものはない。そんな思いはアーティストなら誰もがきっと望んでいるはずだが、今のLITEは、ジャンルの壁をぶち壊して様々な音楽ファンを巻き込む力を間違いなく持っている。テクニカル、かつエッジ&フックを効かせたサウンドは先鋭的な音楽を求めるロックファンの心にフィットするに違いないし、そのサウンドに包まれて響く叙情的なメロディは、よりキャッチーなものを求めるリスナーも感動させそうな可能性を感じる。ジェットコースター・ムーヴィーばりに起伏に富んだ展開と、激しい音の渦の中に美しいメロディを紡いだ本編ラストの「7day Cicada」などは、現在のLITEが持つポテンシャルを凝縮させたような圧巻のナンバーだった。

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武田 「激しいの、欲しくないすか?」

満員のオーディエンスからのアンコールに応えたナンバーは、超高速カウントから攻撃的なサウンドが一気に弾けた「Tomorrow」。そして、電子音と生演奏の融合が陶酔感を誘う「100 Million Rainbow」から、厳かな音色から轟音へ展開、圧巻の迫力でエンディングを飾ったのは「Contemporary Disease」。たしかなセンスとテクニックに裏打ちされた演奏力が生み出す音の変化に、リスナーは揺れ、ときに暴れ、ときに目を閉じ楽曲の世界をかみ締め……。様々な醍醐味を内包した新たな音楽体験を、現在のLITEは提供してくれる。この日のステージで発表した来年2月の恵比寿リキッドルームでのワンマン・ライヴではそのスケールをどれだけアップさせているのか、さらなる進化を期待してやまない。

Text : Tositomo Domei
Photo : SARU


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