2011.9.3 (sat) @ Shinkiba STUDIO COAST, Tokyo
開演前のトイレで男の子が「全力で楽しむ」と気合を入れているのを聞いたけれど、Nothing's Carved In Stone、3ヶ月におよぶ全国ツアーの最終公演となる新木場STUDIO COAST全体のムードがそんな感じだった。
ソールドアウトとなったこの日の公演は、オープニングの「Truth」からアルバム・ラストでもあり本編最後を飾った「Tho Where My Shoe Points」まで、6月にリリースされた『echo』の世界観を、アルバムで完結させることなく、さらに展開させた内容だった。リズムやサウンドの構築に関する音楽的な挑戦とポピュラリティを両立させ、ライヴでの再現は困難なのでは思われるほどのプロダクションを誇るサード・アルバムをほぼ全曲(!)プレイ。前半のたたみかけるような「Spiralbreak」のダンス・ビートにがっつり観客がついてきているのにいきなりさすがと思うと同時に、バンドが確かに音の挑戦をモノにしていることに驚く。
ドラムの大喜多はツアーの間、できるだけMCでしゃべるようにして、少しでも自分たちの想いを伝えることができたらと思っていたという。震災のあった地域への心配りを忘れずに、“ようやく宝物のようなおれたちの想いがこもったアルバムを作ることができて嬉しく思う”と清々しく語る姿にも、ある意味、Nothing's Carved In Stoneのここまでの集大成となるアルバムを仕上げることができたことへの自信が感じられた。
『echo』の抑制されたムードに、「Sunday Morning Escape」といったこれまでのキラーチューンを含む1、2枚目の初期衝動を盛り込むことで、決してリスナーを置いてきぼりにしない。後半の「Rendaman」、「Around The Clock」、「Isolation」というライヴでは定番のロックな楽曲のスケールの大きさには、長きにわたるツアーを今日でやり切ることができることへの充足感と楽しさをファンと共有したいという気持ちがひしと伝わってきた。アンコール前に生形が“今日は大人な雰囲気でやろうと思っていたけど、ひなっちがやりたい! というのでやるよ!”と語っていたように、この日の演奏を形容するなら、大の大人が全力でやんちゃをしている、といった感じだろうか。
そして、かっこいい大人は約束を果たす。“BLITZのとき、STUDIO COASTでやろうと言って、できました”と満足気に告げアンコールのアッパーな2曲をぶちかまし、さらに“終わりじゃなくて始まりだから”との言葉の後披露されたダブル・アンコール、そして客だしのBGMが、残念ながら対バンが中止となったJIMMY EAT WORLDだったことまで、隅々にまで彼らの男っぽい美意識が貫かれたツアー・ファイナルだった。
Text : Kenji Komai
Photo : Rui Hashimoto (SOUND SHOOTER)
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