2010.8.26 (thu) @ Shinkiba STUDIO COAST. Tokyo
ACTs : the HIATUS / STRAIGHTENER
音源を望遠鏡に例えるならば、ライヴはその望遠鏡の遥か彼方に広がる銀河系を見せてくれる場と言えるのかもしれない。the HIATUSのセカンド・アルバム『ANOMALY』レコ発ツアー中盤戦は、新木場STUDIO COASTで2日間おこなわれ、25日は9mm Parabellum Bullet、26日はSTRAIGHTENERが対バンを務めた。後者の組み合わせは、去年末のカップリング・ツアー以来になる。そのときのバトルも凄まじかったゆえ、今日も期待せずにはいられなかった。
開演時刻19時ジャスト、STRAIGHTENERはエレクトロなSEで華々しく現れ、ホリエアツシの哀愁に満ちた美声を金看板に、序盤から鉄壁のアンサンブルを浴びせてくる。ナカヤマシンペイの躍動感溢れるドラム、ファンキーな刺激音を叩き出すひなっち(日向秀和)というキャラ立ちした盤石のリズム隊を土台に、ホリエと大山純の2本のギターが鮮やかに絡み合う。各楽器は丁々発止の激しいやりとりを繰り広げる一方で、会話でも楽しむような剛柔自在のグルーヴ感に富んでいた。個々の演奏は主張が強いにもかかわらず、根底の部分で気持ちが通い合った一糸乱れぬ呼吸に、溜息が零れるほど感動した。
迎え撃つthe HIATUSは、観る度にこちらの予想を上回る圧倒的空間を作り上げていく。この日はその先進性が見事にスパークしていた。もっと言えば、いままで観てきたライヴの中で最高値を記録する凄まじさだった。新作『ANOMALY』は、彼らの底なし沼と化した創造力が、もはや"音楽"という枠組みさえ蹴破った"一大アート"に昇華されていた。最初のSEからラストに至るまで息つく暇がない。今日のライヴ・メンバーは、細美武士(Vocal & Guitar)、ウエノコウジ(Bass)、堀江博久(Keyboard)、柏倉隆史(Drums)、masasucks(Guitar)。バンドとしての一体感が増し、スリリングな演奏がある一点で交わることで眩しい光を放ったり、線となって重なり合うことでウットリするほど美しい波形を描く。聴いている内に、まるで打ち上げ花火の中心に磔にされたような興奮と、深海に潜っているような神秘的な陶酔感が交互に襲いかかってきた。その強烈な演奏を帆にして、伸び伸びと歌い上げる細美武士のヴォーカルは、強さと繊細さにより一層磨きをかけた表現力で魅了する。ショウが進むにつれて、五感がどんどん研ぎ澄まされ、足場のない宇宙に放り投げられていくような感覚に陥った。
バンドという名の"総合芸術集団"たる趣さえ感じた。音楽の可能性をひらすら信じ、突き詰めることで、自分たちも見たことがないような景色を追い求めていく。そして、オーディエンスも共通の次元に引き上げていく未曾有のパワーに溢れていた。すべてを観終えた後、最終公演はどうなってしまうのだろうかと、深く深く唸ってしまった。
Text : Ryosuke Arakane
Photo : Rui Hashimoto
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