2011.8.26 (fri) @ Shibuya O-NEST, Tokyo
ACTs : にせんねんもんだい / hununhum / GAGAKIRISE / LAGITAGIDA
回を増すごとにラインナップのバラバラ具合と観終わった後の納得度が増している"LAGITAGIDA presents キャタピリズム"の3回目は、ギター+ドラムによるインストゥルメンタル・ツービース・バンド、GAGAKIRISEからスタート。
ループの中毒性を備えたスラッシー度高めなハードコア・サウンドながら、その中にツボを押さえたロックンロールの味わいがある。別に歌ものっぽいという意味ではなく、インストなのにそう聴こえないアンサンブルは、SXSW出演をはじめ海外からお墨付というのも納得のクオリティ。ハードコア好きを狂喜させるなかにチャームがあるその個性は、8月活動を休んでいた間にできたという新曲のキラキラ度にも片鱗がうかがえた。
次に登場したのは、今年の春にはSONARに出演するなど(また12月にはBATTLESがキュレーターを務める"All tommorow's party Nightmare Before Christmas"への出演も決まっている)、いまやライヴ・ハウスのみならずエレクトロニック・ミュージック系のフェスティヴァルにも引っ張りだこのにせんねんもんだい。ここ最近のモードを象徴する、四つ打ちのリズムからスタート。
Sebastien Tellier風の、あるいはドリームポップやチルウェイヴとも共振するレトロなキーボードのタッチがアクセントとして、いつもの淡々とした態度でプログレッシヴな音響を構築。このあたりのざらついた音をビルドアップさせる様にたまらなく官能を感じる。「FAN」など代表曲を交え、途中ベースのトラブルも切り抜ける様は、さすがホームともいえる渋谷O-NESTでのプレイだった。
続いてのhununhumもまた素晴らしかった。ROTARY CONNECTIONのような女性コーラスを含む大所帯からトライバルなグルーヴを繰り出すバンド。GANG GANG DANCEのような奇妙なコミューン的たたずまいと開放感を持ち、日本語の豊かな響きには、じゃがたらの系譜を受け継ぐ、リズム重視ではなく言葉をちゃんと大切にしているのだということが感じられる。
VAMPIRE WEEKENDらに通じるファンカラティーナな楽観性やラウンジ・リザーズを思わせるフェイク・ジャズ風味など、様々な音楽的要素がごった煮となり、ラストのスペクタクルへと導かれていく。
そして3回目の自主イベントを締めくくるLAGITAGITA。頭をかきむしりながら弾くギター大竹が「雨を吹っ飛ばすような爽やかな曲、西海岸風の……(笑)」と曲紹介していたけれど、シンフォニックなアンサンブルを描き込む手腕が、巧すぎてもはやAORみたいになってきたというのは言い過ぎだろうか。これまでの性急感やエネルギーを持て余すかのような様相から、明らかにそれをコントロールし、エンターテインメントとして出していこうという気概が感じられる。
暴力的なリフを持つ新曲も、バンドとしてのストレートな勢いを重視させることで説得力を増幅させているように思う。ともかく、ファースト『CaterpiRhythm』リリースから間もないものの、早くもバンドのネクストレベルに足をかけていることをアピールした夜だった。
そして、大竹が嬉々として引用していたGAGAKIRISEの言葉「キャタピろうぜ!」は今後のイヴェントの決め台詞となるかもしれない。
Text : Kenji Komai
Photo : Masanori Naruse