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LITE "2nd Album 『Phantasia』 Release Tour"

台風がくると予想されたこの夜、注目を集めるインスト・シーンの最右翼のツアー・ファイナルだけに、場内は大きな期待に満ちている。おもむろにステージに現れる4人が、アルバムと同じく強靱なリフを持つ「Ef」を奏でると、ピリッとした緊張がUNITを走る。圧倒的なプレイヤビリティを誇る彼らが、アルバム『Phantasia』とツアーを経て、申し分のない成長を遂げていることがすぐに伝わってきた。

エモなメロディが際だつ「Contra」、そして「Tomorrow」と続くにしたがってグッとフロアの温度が上がっていく。プログレ的な変化に富んだアンサンブルは次々にその色合いを変えていく。落ち着いたギターの音色からポストロック的なポリリズミックな楽器の重なりとなる「Black and White」では、風景が見えるスケール感でフロアが満たされている。

ストイックな彼らのプレイ・スタイル、しかしそのなかにこめられたエモーションは尋常ではない。タイトルのとおり、深い海をさまよっているような不思議な浮遊感のあるタッチを持つ「Shinkai」「Past Three Days」など、緻密さとダイナミクスをさらに向上させている。

レコ発らしく、アルバムでも中盤に配置された小品「Interlude」を挟んだ二部構成。ステージにギタリストが2人となりプレイされたその曲では、重厚な音圧を誇る彼らとはまた別の繊細な手触りを感じることができた。そして2部のスタートは「Infinit Mirror」。どうにも耳にこびりついて離れないイントロのギターの旋律からまたしてももっていかれる。不穏なコード感、そしてベースの井澤のアグレッシヴなプレイに象徴される爆発的なテンション。「I miss seeing all」そして「Human Gift」に続いていくこの瞬発力はすさまじい。

「徐々に前に進んでいるなという気持ちでやれている」とギターの武田がMCで謙虚に語っていたけれど、間違いなくエモ、ポストロック、そしてメインストリームのロックに至るまでのファンを魅了させるLITEの音世界はこの数年で着実に浸透した。今回のライヴの後も1か月に及ぶ3回目となる海外ツアーが決定しており、海の向こうでもさらに大きな反響を得られることは間違いない。ゆったりとした「Solitude」そしてアルバムタイトル曲「Phantasia」では、現時点での集大成ともいえるパーフェクトな彼らの世界が強固に築かれていた。ラストは、トレードマークとも言えるあの変拍子に心騒がずにはいられない、「Contemporary Disease」で締めくくられた。

アンコールはベースの井澤に替わり、reach up to the universeのチェロリスト高橋淳子がステージに登場し、リリカルな柔らかさを持つ曲「Sequel to The Letter」を披露。なお、井澤と高橋淳子は、ストレイテナー/THE PREDATORSのナカヤマシンペイ、the chef cooks meの下村亮介らとともにSEABARAというバンドも結成し、なにやら動き出している模様で、こちらにも注目したい。そしてシューゲイズ的美しいノイズに満ちた感動的な「Fade」で胸に迫るフィナーレ。アルバムでさらなるステップに到達した、まじりっけのない、ピュアなLITEを体感できるワンマンだった。

Text : Kenji Komai
Photo : Ryo Nakajima (SyncThings)

01. Ef
02. Ghost Dance
03. Contra
04. Tomorrow
05. Black and White
06. Ripple Spread
07. Shinkai
08. Past Three Days
09. Interlude
10. Infinit Mirror
11. I miss seeing all
12. Human Gift
13. Solitude
14. Phantasia
15. Contemporary Disease
-Encore-
16. Sequel to The Letter
17. Fade