2010.9.19 (sun) @ Shibuya CLUB QUATTRO, Tokyo
ACTs : Donkey vegetable voxxx!!! / イルリメ / ASPARAGUS / YOUR SONG IS GOOD / CUBISMO GRAFICO FIVE
5周年を迎えた昨年はライヴ・ハウスから野音へと飛び出し、夏の終わりの野音を飾るステージを展開。もしや野音イヴェントとして定着か? と思いきや、今年は東名阪ツアーという新たな展開を見せてくれた"KAKUBARHYTHM meets Niw! Records"。9月11日の名古屋、12日の大阪を経てたどり着いた渋谷CLUB QUATTROで大爆発したライヴのレポートをお届けします。
松田"chabe"岳二 (CUBISMO GRAFICO FIVE) & サイトウ"JxJx"ジュン(YOUR SONG IS GOOD)
今回は共演バンドが前説を担当するスタイルということで、YOUR SONG IS GOOD(以下、YSIG)のサイトウ"JxJx"ジュン、CUBISMO GRAFICO FIVE(以下、CG5)の松田"chabe"岳二が登場し、紹介されたのは、Niw! Recordsの超新星、donkey vegetable voxxx!!!。ドラム、ギター、ベース、シンセ&more、ツイン・フィメール・ヴォーカルという構成で、パンク・ミーツ・ニューウェーヴなサウンドを展開する彼ら。ハイトーンでテンションの高いツイン・ヴォーカルもさることながら、さまざまな音楽のフレーズ、ニュアンスを盛り込んだアイディアたっぷりの演奏も聞き応え十分。フロアでも野外でも活躍してくれそうなバンドがまた一組Niw!から登場したことを印象付けた。
donkey vegetable voxxx!!!
続いては、この日大阪でのライヴを終えて2ステージ目というイルリメが、「はいどうもー」と、そんな疲れを感じさせない様子で登場。サンプラーを観客に渡したり、フロアを自由に歩き回りながらライヴする姿は、どんな会場で見てもとても親密で、人情味すら感じさせるもの。そして、そこで鳴らされているのが最先端のヒップホップであるというそのギャップは彼ならではのものだ。観客のハンドクラップだけでラップしたり、フロアから引き上げた観客の女の子にワイヤレス型のDJツールを渡してコラボレーションしてみたり。新しい音楽をクリエイトしつつ、笑顔の絶えないライヴができるイルリメというアーティストの凄味を改めて感じさせてくれた。
イルリメ
3番手には、ヴォーカル&ギターの渡邊忍曰く「友達枠で(笑)」3P3Bから参加したASPARAGUSが登場。パンク、メロコア・バンドと彼らのことをくくりながらも、これほど美しいメロディと洗練されたアレンジの楽曲をそのように呼んでいいものか? と、聴き手のジャンルに対する線引きをぶれさせる楽曲と歌はこの日も健在。緩急溢れるセットリストに、フロアがモッシュ&ダイヴの渦となったところで差し挟まれる下ネタ満載のMC、と、ある意味トークも含めた完璧な流れのままラストへ。3ピース・バンドの表現力の広さを久々に目の当たりにできたライヴだった。
ASPARAGUS
モッシュ&ダイヴが支配した後のステージに現れたのは、なぜか、お笑いのゆってぃと、ゆってぃの衣装をつけているけれどよく見ればCG5の恒岡章(つねってぃ)の2人。2人仲良く「小さいことは気にしない!~(以下省略)」と叫んだ後登場したのは、このイベントの顔的存在となったYSIG。1曲目から絶唱&絶叫、ダイヴしながら演奏と、手加減なし、全力疾走のパフォーマンス。JxJxにいたっては自分の顔を叩きながら演奏と、極限状態のような興奮のなか繰り出されるグルーヴはとてつもなく刺激的だ。そして、MCを挟んだ「Unbreakable」では一転、グッと重くスローなアンサンブル。その一音一音を噛み締めるような演奏は、フロアをクールダウンさせつつバンドの一味違った一面を垣間見せるような演出だった。
YOUR SONG IS GOOD
トリを務めるのは、イヴェント皆勤バンド、松田率いるCG5。昨年8月に5人から4人に新体制となったバンドが作り上げた最新アルバム『DOUBLE DOZEN』は、驚くほど突き抜けたパンク・アルバムだった。そしてこの日は、アルバム以上に突き抜けた、パンキッシュでエネルギッシュなパフォーマンスを展開。スカもハードコアもパワー・ポップも、ほとんどメタルのような楽曲も、バンドの持ち味であるポップさを伴っていてじつに楽しい。初期衝動をぶつけつつも、各々が培ってきたテクニック、音楽への愛をファストな曲たちにギュギュッと詰め込み、あっという間にその持ち時間を終えた。
CUBISMO GRAFICO FIVE
その後繰り広げられたアンコールでYSIGをフィーチャーした「あいつによろしく」、「JAMAICA JUMP UP」が演奏されるころには、(これも毎年のことなのだけど)“今年の夏がとうとう終わってしまった”というせつなさがこみ上げて、早くも来年の"KAKUBARHYTHM meets Niw! Records"に思いを馳せてしまうのです。
Text : Ayumi Tsuchizawa
Photo : Taku Tatewaki (Donkey vegetable voxxx!!! / イルリメ / ASPARAGUS / YOUR SONG IS GOOD ) / Rui Hashimoto SOUND SHOOTER (CUBISMO GRAFICO FIVE)
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