2010.9.25 (sat) @ Shibuya CLUB QUATTRO, Tokyo
激越変態キワモノ・バンドから、紛うかたなきロック・バンドへ成長を遂げた記念碑的一夜となった。kamomekamome(以下カモメ)は、そもそも元NUNCHAKUの向達郎(Vocal)と世界一周の旅に出ていた元SWITCH STYLEの中瀬賢三(Bass & Chours)とのメールのやり取りをきっかけにはじまった。02年の出来事である。そこに向と仲がいい現buddhistson / OCEANLANEの嶌田"Marcy"政司(Drums)が加わり、嶌田の知人だった織田壮一郎(Guitar)、白金史(Guitar)の凄腕ギタリストが入り、そのタイミングで中瀬が抜け、代わりにbuddhistsonの上沼康彦(Bass)が加入し、5人組で始動した。そして、08年に創始メンバーの中瀬が電撃復帰し、新5人体制で作り上げたのがタイトルもずばりな3rdアルバム『Happy Rebirthday To You』だった。
そのレコ発ファイナルは、メタルコアの新鋭CROSSFAITHが先陣を切り、ダンサブルな打ち込み音にヘヴィな音を混ぜ、意気軒昂たる躍動感を叩き付ける。ステージ脇でノリノリで踊る向の姿が目に入った。今回数カ所共にツアーを回ったHAWAIIAN6がそれに続き、HATANO(Drums)曰く「いいツアーでした。頭が下がる思いだった」と振り返りつつ、爆風のごときパンクでフロアを激しく掻き乱した。
遂に主役が登場すると、いきなり向の歌ではじまる「エクスキューズミー」で火蓋を切り、大入りの場内は瞬時に沸点に達する。あまりの観客の狂乱ぶりに、デビューから観てきたひとりとして感慨深いものがあった。周囲を遮断し、内面世界とひらすら格闘していた初期カモメの姿は微塵もない。最新作から曲順通り3曲聴いた時点で、今日はとんでもないことになる! と確信できた。SWITCH STYLE時代から異彩を放っていた中瀬の金切り声シャウトと向の壮絶すぎる掛け合いは、ハードコア色を格段に高め、過去最高に鋭利な矛先で観客の心を射抜いていく。フロアの大熱狂ぶりに向も興奮を抑えられず、「満員御礼、本気でありがとう! 涙流しそうになるから……」と感謝の意を述べていた。
前作2ndフル『ルガーシーガル』以降、バンドを取り巻く環境は確かに激変した。メロディック・バンドを含め様々なバンドと対バンを遂げ、それ以外にも多くの人との出会いがあり、凝り固まっていたものが静かに溶けていったに違いない。今のカモメは、聴き手の懐深くに生身で体当たりしてくる凄まじさがある。ショウ自体は平均7分台の楽曲が並んだ大作志向の1stフル、ライヴを想定したリフ攻めの2ndフルから必殺ナンバーを織り交ぜつつ、難解さを極めながらもキャッチーな要素を大量に散りばめた3rdフルを核に据えた内容だった。
正直なところ、序盤、中盤、終盤、どこを切り取ってもクライマックスの連続と言えるほど奇跡的なライヴであった。複雑難解なフレーズを多用してものの、どこまでも開放感に溢れたフックとグルーヴに体ごと持っていかれてしまう。本編最後の「Happy Rebirthday To You」からアンコール・ラストの「プロメサイア」の流れも圧巻で、"ブチ上がれる本能のロック"としての魅力を骨の髄まで味あわせてもらった。
Text : Ryosuke Arakane
Photo : Wataru Umeda
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