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LIVE REVIEW

"KINOSHITA NIGHT Vol.16 ~fuck you! art-school~"

2008.10.10 (fri) @ Akasaka BLITZ, Tokyo
ACTs : OGRE YOU ASSHOLE / 凛として時雨 / THE NOVEMBERS / the telephones / ART-SCHOOL

10月14日に30歳の誕生日を迎えたART-SCHOOLのフロントマン・木下理樹(Vo,G)。そんな彼の20代最後を記念するべく、約2年ぶりにART-SCHOOL 主催の恒例イベント"KINOSHITA NIGHT"が開催された。この日は強力な個性派4バンドも出演するということで、チケットも早々とソールドアウト。開演間もなくしてひとり登場した木下も、「今日はみんな楽しんで帰ってくださいね」と嬉しそうに照れ笑いを浮かべていた。やがてスタートしたライヴは、すでにライヴハウス・シーンで話題のOGRE YOU ASSHOLEから。


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涼しげな水色の照明に照らされたステージに現れたメンバーが、全員で向かい合い、うなずくようにしてサウンドを紡ぎ始めていく。新曲「しらない合図しらせる子」の多幸感に満ちたメロディが会場全体を包み込んだかと思えば、スリリングなバンド・アンサンブルが印象的な「アドバンテージ」でヒリヒリとした緊張感を生むなど、4人の奏でる音の振り幅は広い。出戸学(Vo,G)のタイトかつ粘っこいボーカルもエネルギッシュに繰り広げられ、気付けば初めて彼らのライヴを目にしただろう人も体を揺らしたり頭を振っていたり、OGREが自然とフロアの空気を自分たちのものにしていった。それほどまでに彼らの持つサウンドの中毒性は高い。


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十二分に温まったステージにニ番手として登場したのは、10月から始まるワンマン・ツアーの一環として赤坂ブリッツ公演を控える3ピース、凛として時雨。ノイズのようなSEが鳴り響くとともに、ドッとオーディエンスがフロア前方に押し寄せていく。今の彼らの人気の高さを象徴するように、イントロのギターフレーズと同時に巻き起こる悲鳴にも似た大歓声。1曲目はTK(Vo,G)と345(B,Vo)のツイン・ボーカルと、複雑なバンド・アンサンブル&リズム転調が印象的な「赤い誘惑」。ライヴを重ねるごとに音のタフさが増していて、3ピースの持つ表現力の可能性をいとも簡単に押し拡げていると感じているのは筆者だけではないはず。攻撃的な全6曲を、ほぼMC無しで嵐のように駆け抜けていった。


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そして本日のイベントの中盤戦は、THE NOVEMBERSがステージ上に登場。「こわれる」の鋭いギター・カッティングと、下腹部を直撃するようなドラムのビートが鳴らされると、フロア前方では歓声が沸き起こる。4人の卓越した演奏能力もさることながら、そのライヴ・パフォーマンス力の高さに体を動かさずにはいられない。徐々に溜まったエネルギーを一気にサビで爆発させるように、小林祐介がアドレナリン全開でシャウトし、ほかのメンバーも体全体を使うようにして強固なバンド・サウンドを叩きつける。彼らのライヴが初見の人も多かったと思うが、思わず盛り上がってしまった、というような客席の光景がじつに印象的だった。これぞライヴの醍醐味だろう。


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いよいよイベントも終盤戦に突入したところで、今のミュージック・シーンを破竹の勢いで突き進んでいるthe telephones。自身の楽曲「Happiness, Happiness, Happiness」をバックに恒例のアフロ姿で登場し、円陣を組んだ4人がオーディエンスと「KINOSHITA!」&「NIGHT!」のコール&レスポンスを巻き起こす。一瞬にしてこの圧倒的な一体感は、今の彼らの勢いを象徴するひとコマといえるだろう。「Are you DISCO!?」の掛け声で始まった「sick rock」を皮切りに、新曲「RIOT!!!」やブッチ切る疾走感で会場を揺らした「DaDaDa」など全6曲を披露し、終始ハンズクラップやシンガロングの止まらないハイテンションなライヴだった。MCでは石毛輝(Vo,G,Syn)が「今日はめでたいから、なんも言うことねえ」と会場の拍手を誘う場面も。

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やがて場内が暗転しAphex Twinの「Girl/Boy Song」をSEに、拍手とともに迎えられたのは、本日のトリ、ART-SCHOOL。木下の「Yeah!」という掛け声を合図に「FADE TO BLACK」の力強いギターが掻き鳴らされる。眩いばかりのバックライトで4人のシルエットが浮かび上がり、フロアも拳を上げておおいに沸いている。続く疾走感あふれる「サッドマシーン」ではシンガロングが起こり、ボーカルが全面に押し出された「Diva」でさらに場内をまくし立てていく。「20代をバンドに注いできたので、今日ソールドアウトになって本当胸がいっぱいというか、半泣きというか」と木下がMCで話せば、自然と「おめでとう!」とレスポンスが返ってくるなど、微笑ましいシーンも。バンドの新機軸も覗かせた新曲「ILLMATIC BABY」では、軽やかなシンセと抜けのいいコーラスが今までにない高揚感を生み出していて、オーディエンスも心地良く体を揺らしながらバンドの一挙手一投足に注目している。その後も「シャーロット」「ロリータ キルズ ミ-」「あと10秒で」など新旧織り交ぜたナンバーをアンコール2曲含め、全11曲を繰り広げた。

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いま本当に勢いのある個性的な5バンドによるすばらしいライヴ、そしてオーディエンスによる最高のレスポンス。この日の主役、木下にとって本当に幸せな一夜になったと思うし、何よりこのイベントに参加した一人ひとりにとっても大切なひと時を過ごせたことだろう。約3時間半にわたる長丁場にもかかわらず、終演後も笑顔を浮かべる人であふれていたことがそれを証明していた。

Text : Rishu Yamada
Photo : Taku Tatewaki


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