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FRONTIER BACKYARD "NEO CLASSICAL 『Rock The Boomy Style』 Release Tour"

FRONTIER BACKYARDはいよいよバンドとしてのモードへ、ギアをハイに入れた……そんな思いを感じさせてくれたのが、先だってリリースされた彼らの3rdアルバム『Rock the Boomy Style』だった。以前の彼らの作品は、FBYのメンバーそれぞれが旬に感じているサウンドを、旺盛な音楽的好奇心をもって自らのスタイルに落とし込み、すこぶるフレッシュで斬新な音楽表現として発信してきた。もちろん、このサード・アルバムでもその姿勢は変わらない部分はあるのだが、これまでの彼らの探究ぶりが、少々ストイックすぎるきらいがあって、どこかバンドというより“ラボ”というような印象があったのだが、2ndをリリースして以降、FBYのライヴをサポートする松田“CHABE”岳二（パーカッション、キーボード）や古川太一（riddim saunterのドラマーだが、FBYではシンセ・ベースを担当）とのステージ上でのコンビネーションも回を重ねるごとに強固なものとなり、ライヴの充実が『Rock the Boomy Style』の圧倒的な勢いと、突き抜けた開放感につながったのだと思う。

そんな新作アルバムを引っさげてのツアー・ファイナル。リキッドルーム、ワンマン。フロアを埋め尽くす期待感が高まった頃、おなじみのSEが流れ、メンバーがステージに登場。そのままテーマといえる「demand shatter」でいきなり最高のテンションへと突入し、「PIRATES of the wood」、そして新作の中でもとびきり疾走感あふれる「FAKE US」と飛ばしていく。全国を回って、新作からの楽曲もしっかりと血肉化されているのが、続いて披露されたリード・トラック「Putting on BGMs」や「look at me」「the mess-age」などの新曲群が、「WHITE WORLD」など、さんざんライヴでも披露されてきたFBYの定番曲と並べてもなんら遜色ない盛り上がりを見せ、さらに言えば、すでに同じぐらいにクラシック化してるんじゃないか？って感じで、すっと馴染んでいるのだ。

圧巻は後半、「we want crazy sticks」のあと、ドラムスのTDCがすさまじくパワフルでグルーヴするドラム・ソロで魅せたあと、そのままリズムはキープしつつ、ドラムスティックが太一→チャーベへと渡り、3人のドラマー（打楽器奏者）が三様のソロを聴かせるという粋な演出。で、終わるかと思いきやステージ上でドラムリレーが続いているうちに、こっそりとTDCがフロア後方にまわり、特設ステージにセットされたドラムで、またソロをぶっ叩くという、サプライズな演出が。リキッドルームが恵比寿に移ってからいくつもライヴを観てきたが、フロアの後ろにドラムを持ってくるっていうアイディアは初めてで、その斬新で遊び心満載なパフォーマンスに大いに盛り上がる。

さらに、アンコールでは、フロア横の、通常はDJブースなどが設置されるところにも舞台があって、そこでTGMX、KENZI、太一がプレイし……と、ライヴハウスという限られたスペースの中で、自由自在に音楽を楽しみ、その楽しみを会場全体で共有しようという、ライヴバンド＝FRONTIER BACKYARDの心意気を余すところなく堪能した、大充実の一夜だった。

Text : Takeshi Miyauchi （ramblin')
Photo : Rui Hashimoto