2008.11.12 (wed) @ Zepp Tokyo
気付けばいずれも今のロック・シーンを代表・先導するバンドへと成長していた髭(HiGE)とフジファブリック。この2組による対バン・ツアー東京公演 in Zepp Tokyoは、満員御礼、ライヴ前からフロアはすごい熱気&湿気。
そんな中登場したのは、髭(HiGE)。須藤寿(Vo,G)自身、「一番やり慣れてない曲(笑)」と紹介していたように、リリースされたばかりの新曲「髭よさらば」からスタート。「ドーナツに死す」「溺れる猿が藁をもつかむ」といった、どちらかというとオルタナティヴな選曲で、じっくりと、その中毒性の高い楽曲を聴かせるような展開の序盤だ。
コテイスイ(Dr)が拡声器を持ってステージを自由に動き回る新曲「オーバーグラウンドアンダーグラウンド」以降は、ベースとツイン・ドラムのじりじりとしたグルーヴがうずまくサイケデリックな世界を展開。「白薔薇」では須藤がドラム~キーボードを、斉藤祐樹(G)はサンプラーを操ってのフリースタイルのセッションを繰り広げたかと思えば、「ハリキリ坊やのブリティッシュ・ジョーク」「ロックンロールと五人の囚人」「ダーティーな世界」と、それまでのじわじわと盛り上がってきていた客席のヨコノリを、一気にタテノリに変えるハイライト。そしてラスト「電波に乗って」を終え、熱を孕んだ独特の浮遊感を残してステージから去っていった。
続くフジは、そのムードを引き継ぐのかぶち壊すのか? 果たして彼らの1曲目は「モノノケハカランダ」。引き継ぐでもぶち壊すでもなく、まったく違う方向からいきなり大爆発するようなエネルギーを放出しながらのスタート。志村正彦(Vo,G)と山内総一郎(G)が大きく客席を煽れば、タイトなリズム隊と豊かなメロディを放つキーボードがさらに盛り上げる。
新作に向けて制作モードにある彼らはこの日、ヘヴィーかつニューウェーヴな新曲「メリーゴーランド」、そして、英語詞とスポークンワーズ?ラップ?が織り込まれた、これまた異色の「シムラップ」で客席を驚かせる。ただでさえ変態的な(褒め言葉です)楽曲の多い、懐の深いバンドだけれど、新曲を聴く限りその幅は、ますます広がりを見せているよう。そして後半は、「TAIFU」「Surfer King」「銀河」と、最近の定番ラインナップで一気に駆け抜けていく。アンコール「虹」も含めて11曲のライヴはあっという間で、それは、演奏も含めてライヴ・パフォーマンスの完成度が高いということ。改めて、今一番おもしろい2組のライヴを観られた充実感に満たされるイベントだった。
Text : Ayumi Tsuchizawa
Photo : Wataru Umeda