2010.10.11 (mon) @ Makuhari MESSE KOKUSAI TENJIJO, Chiba
今年初めにPIZZA OF DEATHのHPにて謎のカウントダウンが表示され、長い導火線でファンの期待心に火を付け、やっと"DEAD AT BAY AREA"という名の大花火が打ち上げられた。その中身は音楽シーン全体、それを取り巻くカルチャーを俯瞰しているという意味で、横山健個人の思いを膨らませた極大イヴェント、いや"新しいフェスのかたち"を提示していたと思う。幕張メッセ内に入ると、TOWER RECORDS出張店で横山レコメンドのCD100枚がコメント付きで紹介、また菊池茂夫、岸田哲平、TSUKASA、3名のカメラマンによる横山の特大写真を展示、さらにタトゥー・ショップまで設置されていた。もちろん、物販や飲食ブースは普通のフェスと比べても遜色ない充実ぶりだった。
そして、13時20分からアコギ・ライヴが幕を開ける。高本&CHUN2(COMEBACK MY DAUGHTERS)、SUGA(dustbox)、YUTA(HAWAIIAN6)、渡邊忍(ASPARAGAS)の順番に30分ずつ演奏し、ステージ向かって右の壁にはプレイヤーの表情を仔細に追うスクリーンまである。早い時間にも関わらず、既に多くのキッズが熱い視線を注ぐ中、バンド形式とは真逆の人間臭いライヴが展開された。特に普段は寡黙のYUTAがぼそぼそ語り、スクリーンに映し出される自分の表情をちらちら見て大笑いするシーンは、会場の爆笑を誘っていた。約1時間半のブレイクを挟み、17時30分からピザの新人MEANINGがステージに立つ。おそらくレーベル史上最重記録を更新したメタリック・ハードコアで、ゲリラ豪雨のような激しい弾丸音を打ち込んでいく。最後にHAYATO(Vo)は観客側に飛び込み、クラウド・サーフしながら気迫の塊のようなシャウトを響かせた。続いて、意外にもこれが初顔合わせとなったマキシマム ザ ホルモンだ。ナヲは「5年前、健さんと付き合ってました。5年後、幕張で会おうねって!」とTPOをわきまえた(?)ギャグをかまし、必殺曲「F」を皮切りに地響きのような轟音を矢継ぎ早に放ち、モッシュ&ダイバーを大量生産する剛腕を遺憾なく発揮していた。
19時30分、遂にKEN BANDの登場だ。「やばい、ここから見える景色、壮観だよ!」と横山は喜びを隠し切れないコメントを吐き、ポップかつタイトなパンク・チューンを幕張の場内に轟かせる。すると僕の横を、PIZZA OF DEATHのロゴ入りTシャツを着た子供を肩車したお父さんがジャンプしているではないか。そんな親子が数組、目に入った。子を持つ親・横山のライヴらしい光景である。ライヴ自体はいつものジョークもあれば下ネタもありと、伸び伸びとしたKEN BANDらしいパフォーマンスを展開する。恒例の「パンク・ロック! パンク・ロック!」を幕張メッセに集まった1万人で大合唱した後、「Ricky Punks」~「Ricky PunksⅡ」と畳みかけるシーンも凄まじかった。「マジメなことあまり言わないけど、今日は本当にありがとう! 音楽はいいよなあ、バカになれるから」としみじみ語り、「こんな大掛かりなこともうできないかもしれない……、でもまた来年、再来年会いましょう!」と力強く現役続行を宣言する辺りも実に彼らしかった。後半、「Stay Gold」~「Walk」とHi-STANDARD、HUSKING BEEのカヴァーが連結した場面では、観客の盛り上がりも最高潮に達した。
数度のアンコールでは、トランクスを脱いで股にチ○コを挟むストリップを披露するわ、SIONの「がんばれ がんばれ」の日本語カヴァーで驚かせるなど、2年前の初の武道館公演同様、てんこ盛りの内容だった。ただ、僕がもっとも心を揺さぶられたのは、本編最後の曲である。「物を売る人は頑張ってほしい! 俺も大声を出して、みんなの気を引いていくから。どんどん伝えて行こう!」と前置きした後、「Let The Beat Carry On」が演奏された。取材時に彼は「音楽が消費物になって、性根を据えてロックを鳴らしても、誰も見てくれなかったりするのが現実だと思う。それでも諦めずにやってくれよ、という気持ちもあって」と、この曲を解説してくれた。ロックの素晴らしさをタスキのように人から人へ伝え続けてほしい。このイヴェントそのものに込めた魂が爆発したような熱きプレイに、多くの人が何かを受け取ったことだろう。
Text : Ryosuke Arakane
Photo : Tsukasa Miyoshi (上から1枚目) / TEPPEI (上から2枚目、3枚目)
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