2011.11.11 (fri) @ SHIBUYA-AX, Tokyo
ACTs : BATTLES / にせんねんもんだい
SonarSound Tokyo、FUJI ROCK FESTIVAL出演に続き、2011年3回目の来日となったBATTLESのヘッドライナー単独ツアー。オープニング・アクトのにせんねんもんだいがその自らの活動スタンスと同じく、シンプルかつ揺るぎのないパフォーマンスでフロアを沸かせた後、BATTLESの3人が登場。
アルバム『Gloss Drop』と同じく「Africastle」で幕を開ける。日本でのライヴを観続けてきて、新体制になってからのバンドの変化が手に取るように感じられる。ほぼ初披露であった4月の新木場STUDIO COASTでは、とにかくバンドの肉体性のようなものがヒリヒリと伝わってくる力技のようなものを感じたし、続いての苗場のGREEN STAGEでは、そのストイックさにフェスならではの祝祭性を加えてみせる。そして今回のツアーでは、『Gloss Drop』で目指されたアフリカ音楽をはじめ多様なリズムの実りが、バンドのフィジカルなコンディションと相まって、堂々たるスケールを打ち出していた。
その象徴的なオープニングに続き、「Sweetie & Shag」ではステージにカズ・マキノが登場。センシュアルなヴォーカルで華を添える。この楽曲のみならず、ヴォーカルをフィチャーした楽曲には、メンバー後方のスクリーンにヴォーカリストが登場し演奏とリンクする。こうした手法ひとつとってみても、ほぼ『Gloss Drop』の楽曲で占められたセットリストからは、リリース後のライブを経て、これらの楽曲を血肉化しきっていることの自信のようなものさえ感じられた。
中盤に披露された前作『Mirrored』からの「Atlas」、「Tonto」も当然の盛り上がりなのだが、『Gloss Drop』でバンド・サウンドをベースにしながらのリズムへのさらなる挑戦を味わってしまうと、極めて直情的なサウンドに聴こえてしまうのも興味深い。それは単なるオリエンタリズムにとどまらず「My Machine」でのGary Numan御大の歌う姿を前にしたまさにマシーナリーなビートには、グループの試行錯誤を突き抜けた痛快さがあった。これまでのBATTLESの歴史は大げさに言えば「人のプレイはどこまで機械に近づけるか」というものだったように感じる。エラーやノイズも含めて、バンドのアンサンブルでエレクトロニックな感触を再現すること。そこから一旦離れ、ポップになったとかセルアウトしたというのとは別の意味で、『Gloss Drop』の改革は成功だったのだと実感できる。マシーナリーなビートにこだわり続ける生まれる狂気も抜け、バンドとしての堂々たる佇まいが終始印象的な、充実のライヴだった。
アンコールは、そのアルバムのスケールの大きさを最も象徴するような「Sundome」その前のMCで、イアンが「7年前の初来日のときにTHE MARS VOLTAの前座でこの渋谷AXに出させてもらったのは貴重な経験だった。今はツアーまでできるようになったよ、ありがとう」となんとも謙虚なMCをしてくれたのにも泣かされた。
Text : Kenji Komai
Photo : Masanori Naruse, Tadamasa Iguchi (Qetic)
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