2008.11.20 (thu) @ SHIBUYA-AX, Tokyo
ひさしぶりのワンマン――SHIBUYA-AXに集まったファンの“いつにも増した”期待はそれだけではなかった。アーバンなエレクトリック・ナンバー「Asobi」をはじめ、これまでとは違った手法で独自のファンクネスを結実させた最新アルバム『ZAZEN BOYS 4』が、ステージの上でどんなかたちで再現されるのか? 大方はそこに注目していたはずだ。
期待に応えるかのように、『ZAZEN BOYS 4』のなかでもとりわけ“NEW”なグルーヴを醸し出している「Idiot Funk」でステージは始まった。ドラムス・松下敦を囲み、4人の呼吸を確かめ合うように鳴らされていく一音一音に、観客の緊張感もぐっと高まる。この“新しい”ZAZEN BEATをどう受け止めればいいのか……そう考える間もなく、身体はステージから放たれるグルーヴにズブズブと吸い込まれていく。
おなじみ「SUGAR MAN」「HIMITSU GIRL'S TOP SECRET」をはさんで、『4』収録の「Honnoji」「Weekend」。ライヴのたびに変化し続けている「MABOROSHI IN MY BLOOD」「IKASAMA LOVE」~「安眠棒」「You Make Me Feel So Bad」。それにしても、ZAZEN BOYSのファンは順応性が早い。彼らがなにをやらかしてくれるのか、わくわくしながら待ち構えているとでも言おうか、新しいBEATが繰り出されても、ずっとずっと聴き親しんでいる楽曲であるかのように、熱いリアクションで応えてくれる。
『4』のなかでもダンス色の強い反復ビート・ナンバー「Asobi」「I Don't Wanna Be With You」を続けたときには、ZAZEN BOYSがひと際オシャレなバンドに見えた(笑)。と同時に、会場がダンス・フロアのように揺れていった……揺れた揺れた揺れた。終盤の「COLD BEAT」「Friday Night」「RIFF MAN」は、もはやライヴのハイライト。観客が俄然ヒートアップするこの位置での定番になっているだけはある“曲の強さ”をしみじみと感じさせてくれる。
アンコールの最後に、向井秀徳のメロディー・センスがキラリと光る「Sabaku」。『4』でもラストを飾っていたスロウ・ナンバーだが、この曲から浮かび上がってくるセンチメンタリズムに身を委ねながら、思わずナンバーガール時代の向井をオーバーラップさせてしまったのは僕だけじゃないだろう。
跳ねる、踊る、もんどり打つ、震える、締めつける――『ZAZEN BOYS 4』からの楽曲がセットリストに加わることによって、ZAZEN BOYSのライヴはこれまで以上に聴き応えのある、バリエーション豊かものになったんじゃないかと思う。しかし、まだまだこんなものじゃない。披露されはじめたばかりの『4』収録曲も、今回のステージでは忠実に再現される程度にとどまっていたが(もちろん、それでも十分にエキサイティング)、それがどんなふうに進化/深化していくのかも含め、彼らは恐るべき手の内を秘めているはずだから。
Text : Taihei Kubota
Photo : Taku Tatewaki