2008.11.26 @ Daikanyama UNIT, Tokyo
ストレイテナーにとっては8月に開催された<Broken Scene>以来であり、ギターの大山純が加わっての4人体制で初となるライヴ。まずステージ上、向かって右からホリエ、大山、ナカヤマ、日向というセッティングが生む新たな4ピースのフォルムを会場全体が固唾をのんで見守っている。
4人になっての初の音源となる配信限定シングルであり、彼らの最初の表明である「Black Hole」からいきなり、そのサウンドの厚みと緊張感が押し寄せてくる。そしてセットが続くにつれ、彼らが目指す変化を随所にはっきりと感じとることができた。ホリエと大山のふたりのギターの関係性はまだ研究中の部分も少なくないと思うが、単純に、これまでホリエが弾いていたギター・パートを大山がプレイすることも増え、それに呼応するようにバンド全体のアンサンブルもより深みを増している。序盤の「The Novemberist」の高らかなギターのフレーズとともに大山がステージ前方に出てきて手を挙げるシーンは目に焼きついたし、ステージ中央のキーボードをプレイしたり、「シンペイと純くんが遊びでバンドをやっていたころに作った曲」(ホリエ)を現在のストレイテナーで作り上げた新曲も披露され、大山の存在感がバンド内にフレッシュな空気を生み出していることが新曲のみならずこれまでの楽曲、そして、ステージ上のメンバーの佇まいからも伝わってくる。
そのものズバリな「Melodic Storm」を経て、「SIX DAY WONDER」から続く「TRIBUTE」「WHITE ROOM BLACK STAR」の展開には、その自由度を増したアンサンブルにより、歌とメロディの際立ちが強調されていたように感じられた。もちろんメランコリックに響く旋律を強調するとともに、彼らの〈初期衝動〉を象徴するアグレッシブなシングル「Little Miss Weekend」の枷が外れんばかりの凶暴さには日向も「この曲はかっこいい!」と自らこぼしていたほどで、持ち前のシャープな音の切れ味がここでも新たな表情を見せていた。
シガーロスのように凍てついた美しさを生む「MARCH」「ETERNAL」、そしてラストの突き抜けるカタルシスを持つ「TRAVELING GARGOYLE」「TRAIN」「BIRTHDAY」でエンディングを迎えるまで。ホリエの「(今夜は)「Little Miss Weekend」のリリース・パーティ」の言葉もあったように、4人になってのお披露目のパフォーマンスということもあり、まだ結論をつけることは早いかもしれない。けれど、テナーのソリッドなバンドのグルーヴに加え、歌の力をことさら強く感じたし、彼らのこれまでの楽曲はサイケデリックと形容したくなるほどさらに豊かにそして広がりを持って表現されていて、4人が集まるところに限りないクリエイティヴなうねりが巻き起こっていることを感じずにはいられなかった。バンドの可能性を存分に押し広げていたこの夜を拠点に、ツアーが終了するころには信じられないほどの怪物に成長しているような気がする。
Text : Kenji Komai
Photo : Rui Hashimoto